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「子ども・子育てビジョン」閣議決定、数値目標が明らかに

2010年01月30日 10時04分57秒 | 子ども手当・子育て
29日の閣議で、今後5年間で取り組む少子化対策を取りまとめた「子ども・子育てビジョン」が決定された。目新しい取り組みはないが、その代わりに数値で約40の目標が定められており、実現する「方法」の議論から始めることができる。子ども・子育ての「あり方」や目新しい取り組みの是非について議論するよりも、現実的な目標を定めて着実に進めていく必要があるからだろう。

「子ども・子育てビジョン」について
~子どもの笑顔があふれる社会のために~
http://www8.cao.go.jp/shoushi/vision/

ビジョンに盛り込まれた主な数値は、今後5年間で認可保育所などの定員を215万人から26万人増(年間5万人程度×5年間)の241万人に、3歳未満児の保育所利用率を24%(75万人)から35%(102万人)に、学童保育の利用者を81万人から111万人に、保育所などでの一時預かりの利用を348万人から3952万人(年間延べ人数)に、「認定子ども園」を358ヶ所から2000ヶ所以上に、地域子育て支援拠点を7100ヶ所から中学校区に1つ=1万ヶ所にすることなど。
この施策により必要となる予算は、年間7000億円ほど(2014年度)。来年度は、子ども手当の国庫負担が重くなるだけに、それだけの予算を確保できるかわからないことに加え、その予算に見合った社会資源整備ができるのかもわからない。実効性に乏しいとの批判を跳ね除けるためにも、実現する「方法」の具体化を進めてほしい。

認可保育所の定員25万人増…子育てビジョン
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20100129-567-OYT1T00530.html

保育所定員5年で26万人増 子育てビジョン閣議決定
http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010012901000220.html

保育所定員5年で27万人増、政府の子育て支援策
http://www.asahi.com/national/update/0129/TKY201001290185.html?ref=goo

なお、これらの数値目標は、Output指標。子ども・子育てビジョンの成否を問う数値目標は、Outcome指標であらねばならない。子ども手当や高校授業料の実質無料化に加えて、これだけの子育て環境整備を行うのだから、「出生率がどれほど上向くのか」「子どもの数がどれほど増えたのか」などの政策のOutcome=効果を評価しなければならない。

また、ビジョンには「子ども家庭省(仮称)」の検討が明記された。このブログでも取り上げているが、厚生労働省と文部科学省の縦割り行政を解消するための法整備などを進めていく模様。省庁再編=子ども家庭省の実現がどれほど必要なのかわからないが、それよりも先に取り組むべきことは、Input=財源の確保とOutput=社会資源の整備の具体化、Outcome=出生率の低下や子どもの数の減少に歯止めをかけ、それらの数値を上向かせることだろう。

「子ども家庭省」の検討明記 政府が子育てビジョン
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20100130ATFS2903S29012010.html


なお、具体策を協議する「子ども・子育て新システム検討会議」の設置が決まっている。幼保一元化を含む子育て支援のための「包括的・一元的なシステム」の構築について検討し、6月をめどに基本方針を取りまとめるとのこと。

政府「幼保一元化」に着手、参院選前に基本方針
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20100129-567-OYT1T01216.html