きりたんの物語です。
「きゃ~っ やだっやだっ」と朝から大さわぎ。
きりたんは、まるできりたんぽのような自分が嫌いで鏡を見るたびに大さわぎをし、そして大きなため息をつくのであった。
そんなある日、少しでもかわいくなれるようにときりたんは思い切ってリボンをつけてみることにしました。
すると鏡に映った自分がとてもかわいく見え「もっとかわいくなりたい!」そう思ったきりたんは、次におなかの小さなでべそを治すことにしました。
しかし、でべそはそう簡単に治せるものではなお友達に相談することにしました。
その友達は「森の奥の大きな岩に住む魔女なら治せるかもしれないよ。」とうわさを聞いたことがあると話をした。その友達は魔女の家までの地図をくれました。
「どうもありがとう。」ときりたんは、早速出かけることにした。
魔女の住む森は、とても不気味であちらこちらからすすり泣くような声が聞こえてくる。
きりたんは怖くなり、「帰ろうかな・・・」と考えたがでも、もっとかわいくなるために勇気を出して歩き続けることにした。
しばらくして、魔女の住む大きな岩に着きました。
きりたんが魔女の家の扉を開けようと手を伸ばすと、扉がひとりで開いた。
「よく来たね。」しゃがれ声のとても大きなおばあさんが家の中から出てきました。
おばあさんはきりたんを見て、しわしわの顔でやさしく笑いながら言いました。
「どこを治してほしいんだい?」
「でべそを治してほしいの。」きりたんがおばあさんにおへそを見せると「簡単なことだよ。」と魔女は言って、杖を一振りすると眩しい光がきりたんのおへそから溢れました。
「まっ、まぶしい。」きりたんはぎゅっと目を閉じました。
光が消えたので、出べそが治ったと思ったきりたんは、目を開けて驚きました。
小さかったでべそが、なんとピョーンと飛び出している。
「ひっひっひっひ。」
おばあさんは意地悪く笑うと、家からきりたんを追い出し、扉を閉めてしまいました。
どうやら、おばあさんは悪い魔女だったのです。
困ってしまったきりたんは泣きながら家に帰りしました。一・二・三歩と歩いたときです。三の倍数と三の付く歩数でピョーンとおへそが飛び出したのです。
もう一歩あるくと引っ込み、三歩あるくとまた飛び出してくるのです。
前よりももっと出てしまった出べそを見て悲しくなり、
しくしくと泣きながら家に帰ろうとすると、道端で女の子が泣いていました。
その子のおへそもきりたんと同じで、三歩あるくと飛び出すのです。
ほかにも、魔女に悪い魔法をかけられて泣いている子がたくさんいたのです。
来る途中に森の中で聞こえたすすり泣く声は、この女の子たちの泣き声だったのです。
その中のひとりが、きりたんにかけられた魔法のことを教えてくれました。
『世界のナベ大王の魔法』
それは出べそを治すのではなく、出べそにする魔法でした。
その魔法を解くためには、不思議の石を五色の滝に投げ入れ魔法の呪文を唱えな
ければなりません。
不思議の石は、白神の山に住んでいる白神仙人が持っているというのです。
その話を聞いてきりたんは立ち上がりました。
今、ここで泣いていても何も始まらない。
もし本当に魔法が解けるのなら、みんなの魔法も解いてあげたい。
「ありがとう。」
教えてくれた女の子にお礼を言うと、きりたんは遠くに見える白神山へと走り出しました。
白神山は、魔女の住む森とは違い、とてもきれいなところでした。
きりたんは仙人を探し、山の中を歩き続けます。
しばらくすると、「クウン」と泣き声が聞こえてきました。
それはとても小さい声でした。
きりたんは立ち止まり耳をすましました。
「クウン」
きりたんは泣き声のほうへ走りました。
そこには足にけがをした子犬がすわっていました。
きりたんは頭につけていたリボンをはずして傷に巻いてあげました。
子犬を抱いて歩き出したときに後から声がしました。
「お待ちなさい。」
きりたんが振り向くと、そこには大きな木の杖を持った真っ白なひげのおじいさんが立っていました。
おじいさんは、きりたんがさがしていた白神仙人だったのです。
仙人が子犬にそっと杖をあてると、傷はあっという間に消えてしまいました。
子犬はきりたんにお礼を言ってリボンを返すと、元気に山をおりていきました。
「あーよかった。」
きりたんはとてもうれしくなりました。
「きりたん、子犬を助けてくれたお礼にお前にこれをあげよう。」
仙人は心のやさしいきりたんに不思議の石を渡し、魔法の呪文もおしえてくれました。
仙人はきりたんが伝説の勇者であることも、森での出来事もすべて知っていたのです。
五色の滝に着いたきりたんは、
仙人に教えてもらったとおりに不思議の石を滝の中に投げ入れ、
魔法の呪文を唱えました。
しばらくしても何も起きません。
ただ、ごうごうと水が流れ落ちる音が聞こえるだけです。
「ここまで来たのに、治せないのかなぁ。」
きりたんの目から一粒の涙が水の中に落ちました。
すると、あら不思議。
滝の水がパァッと明るく光り、光の中に六人の人影が見えました。
その中の一人が言いました。
「滝の水を、神々の聖杯に入れて飲みなさい。」
「 神々の聖杯って何?」
きりたんが考えていると、あの時助けた子犬が聖杯をくわえて走ってきました。
それは、今までに見たこともないとてもきれいな色と形をしたものでした。
きりたんは神々の聖杯を受け取り、もう一度滝を見るともう光も人影も消えていました。
きりたんは神々の聖杯で、滝の水をすくって一口飲みました。
すると出べそが、一瞬のうちに消えてしまったのです。
三歩あるいてみましたが、おへそが飛び出ることもありません。
「やったぁ!治ったんだわ!」
きりたんはうれしくてうれしくてたまりません。
「魔女の住む森で泣いていた女の子たちも早く飲ませてあげましょう。」
急いで森へ帰り、女の子達にも祝杯の水を飲ませ、世界のナベ大王の魔法を解くことができました。
もう、森の奥の魔女の家に行く女の子はいなくなり、魔法をかけられることもなくなりました。
おしまい
「きゃ~っ やだっやだっ」と朝から大さわぎ。
きりたんは、まるできりたんぽのような自分が嫌いで鏡を見るたびに大さわぎをし、そして大きなため息をつくのであった。
そんなある日、少しでもかわいくなれるようにときりたんは思い切ってリボンをつけてみることにしました。
すると鏡に映った自分がとてもかわいく見え「もっとかわいくなりたい!」そう思ったきりたんは、次におなかの小さなでべそを治すことにしました。
しかし、でべそはそう簡単に治せるものではなお友達に相談することにしました。
その友達は「森の奥の大きな岩に住む魔女なら治せるかもしれないよ。」とうわさを聞いたことがあると話をした。その友達は魔女の家までの地図をくれました。
「どうもありがとう。」ときりたんは、早速出かけることにした。
魔女の住む森は、とても不気味であちらこちらからすすり泣くような声が聞こえてくる。
きりたんは怖くなり、「帰ろうかな・・・」と考えたがでも、もっとかわいくなるために勇気を出して歩き続けることにした。
しばらくして、魔女の住む大きな岩に着きました。
きりたんが魔女の家の扉を開けようと手を伸ばすと、扉がひとりで開いた。
「よく来たね。」しゃがれ声のとても大きなおばあさんが家の中から出てきました。
おばあさんはきりたんを見て、しわしわの顔でやさしく笑いながら言いました。
「どこを治してほしいんだい?」
「でべそを治してほしいの。」きりたんがおばあさんにおへそを見せると「簡単なことだよ。」と魔女は言って、杖を一振りすると眩しい光がきりたんのおへそから溢れました。
「まっ、まぶしい。」きりたんはぎゅっと目を閉じました。
光が消えたので、出べそが治ったと思ったきりたんは、目を開けて驚きました。
小さかったでべそが、なんとピョーンと飛び出している。
「ひっひっひっひ。」
おばあさんは意地悪く笑うと、家からきりたんを追い出し、扉を閉めてしまいました。
どうやら、おばあさんは悪い魔女だったのです。
困ってしまったきりたんは泣きながら家に帰りしました。一・二・三歩と歩いたときです。三の倍数と三の付く歩数でピョーンとおへそが飛び出したのです。
もう一歩あるくと引っ込み、三歩あるくとまた飛び出してくるのです。
前よりももっと出てしまった出べそを見て悲しくなり、
しくしくと泣きながら家に帰ろうとすると、道端で女の子が泣いていました。
その子のおへそもきりたんと同じで、三歩あるくと飛び出すのです。
ほかにも、魔女に悪い魔法をかけられて泣いている子がたくさんいたのです。
来る途中に森の中で聞こえたすすり泣く声は、この女の子たちの泣き声だったのです。
その中のひとりが、きりたんにかけられた魔法のことを教えてくれました。
『世界のナベ大王の魔法』
それは出べそを治すのではなく、出べそにする魔法でした。
その魔法を解くためには、不思議の石を五色の滝に投げ入れ魔法の呪文を唱えな
ければなりません。
不思議の石は、白神の山に住んでいる白神仙人が持っているというのです。
その話を聞いてきりたんは立ち上がりました。
今、ここで泣いていても何も始まらない。
もし本当に魔法が解けるのなら、みんなの魔法も解いてあげたい。
「ありがとう。」
教えてくれた女の子にお礼を言うと、きりたんは遠くに見える白神山へと走り出しました。
白神山は、魔女の住む森とは違い、とてもきれいなところでした。
きりたんは仙人を探し、山の中を歩き続けます。
しばらくすると、「クウン」と泣き声が聞こえてきました。
それはとても小さい声でした。
きりたんは立ち止まり耳をすましました。
「クウン」
きりたんは泣き声のほうへ走りました。
そこには足にけがをした子犬がすわっていました。
きりたんは頭につけていたリボンをはずして傷に巻いてあげました。
子犬を抱いて歩き出したときに後から声がしました。
「お待ちなさい。」
きりたんが振り向くと、そこには大きな木の杖を持った真っ白なひげのおじいさんが立っていました。
おじいさんは、きりたんがさがしていた白神仙人だったのです。
仙人が子犬にそっと杖をあてると、傷はあっという間に消えてしまいました。
子犬はきりたんにお礼を言ってリボンを返すと、元気に山をおりていきました。
「あーよかった。」
きりたんはとてもうれしくなりました。
「きりたん、子犬を助けてくれたお礼にお前にこれをあげよう。」
仙人は心のやさしいきりたんに不思議の石を渡し、魔法の呪文もおしえてくれました。
仙人はきりたんが伝説の勇者であることも、森での出来事もすべて知っていたのです。
五色の滝に着いたきりたんは、
仙人に教えてもらったとおりに不思議の石を滝の中に投げ入れ、
魔法の呪文を唱えました。
しばらくしても何も起きません。
ただ、ごうごうと水が流れ落ちる音が聞こえるだけです。
「ここまで来たのに、治せないのかなぁ。」
きりたんの目から一粒の涙が水の中に落ちました。
すると、あら不思議。
滝の水がパァッと明るく光り、光の中に六人の人影が見えました。
その中の一人が言いました。
「滝の水を、神々の聖杯に入れて飲みなさい。」
「 神々の聖杯って何?」
きりたんが考えていると、あの時助けた子犬が聖杯をくわえて走ってきました。
それは、今までに見たこともないとてもきれいな色と形をしたものでした。
きりたんは神々の聖杯を受け取り、もう一度滝を見るともう光も人影も消えていました。
きりたんは神々の聖杯で、滝の水をすくって一口飲みました。
すると出べそが、一瞬のうちに消えてしまったのです。
三歩あるいてみましたが、おへそが飛び出ることもありません。
「やったぁ!治ったんだわ!」
きりたんはうれしくてうれしくてたまりません。
「魔女の住む森で泣いていた女の子たちも早く飲ませてあげましょう。」
急いで森へ帰り、女の子達にも祝杯の水を飲ませ、世界のナベ大王の魔法を解くことができました。
もう、森の奥の魔女の家に行く女の子はいなくなり、魔法をかけられることもなくなりました。
おしまい