弁護士川原俊明のブログ

川原総合法律事務所の弁護士活動日記

長崎市長銃殺事件で思うこと

2007-04-19 13:34:09 | 日記・コラム

市長選挙を目前にした現職市長への銃殺は、民主主義の根底を揺るがすものです。犯人の暴力団員が、交通事故処理や公共事業の受注を巡る長崎市との個人的怨念を口走っていることを、果たして鵜呑みにしていいのか、という疑問があります。
 いくら市への個人的怨念を晴らすために、市長を狙撃するとしても、余りにも、タイミングが良すぎるからです。背後に、隠された政治的意図がないことを祈るのみです。
 今回の事件の問題点の一つに、犯人がピストルを使用したことです。
これまで、日本の社会は、警察や自衛隊以外、一般国民には拳銃の持てない安全な国というイメージがありました。しかし、このイメージも、少し前から崩れだしています。暴力団に大量の拳銃が行き渡っていたり、一般市民ですら、拳銃を使って自殺したりする新聞記事が時折見かけるからです。
これは、とんでもないことです。平和日本の崩壊が始まっています。
長崎市長銃殺事件に前後して、アメリカでは、バージニア工科大学での、銃乱射事件で32人の犠牲者が出ました。
アメリカでは、西部開拓時代の名残で、今だに一般市民といえども、拳銃の所持が許され、容易に購入することができます。犯人とされる学生も、いとも簡単に銃を購入し、犯行に使用しました。その結果、大学構内で大惨事が発生したのです。なぜ、アメリカでは、銃規制ができないのか。以前から議論されていることですが、強大な政治献金を背景に、銃の規制論議を政治の世界から追放している全米ライフル協会の存在があります。
 共和党も、決して銃規制に賛成ではありません。でも、これだけアメリカで、神聖な学問の砦の中で、今までにも乱射事件がいくつも発生し、多くの犠牲者を出しているにもかかわらず、今もなお、銃が野放しにされているのは、世界の中で、最先進国を自称するアメリカ合衆国の後進性を垣間見るようです。日本は、今のうちに、もっと法規制をして、銃規制を強化すべきです。銃砲刀剣類所持等取締法31条の3では、銃を所持したものに対する規制として、1年以上10年以下の懲役が定められています。
でもはたして、これでいいのでしょうか。
銃を所持する、ということは、他人を殺害する目的がある、ということです。人を殺害する意思がなければ、拳銃を所持する必要もないのです。
中国では、昔のアヘン戦争時代の名残もあり、麻薬所持だけでも死刑になります。銃は、もっと恐ろしい攻撃の武器です。日本の安全な社会を守るためにも、こんな甘い規制を容認すべきではありません。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。