童話と絵本の会

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童話と絵本の会 2018.09.10 しろくまの おうじさま(ノルエー)(1~10)

2018-09-10 15:54:52 | サ行の絵本
2018年 9月 10日(月)雨 25.5℃ 84%RH am7:45
童話と絵本の会の準備をしています。 お気に入りの童話や絵本がれば教えてください。

今日の絵本
_しろくまの おうじさま(ノルエー)(1~10) 
__北欧のむかし話 文 谷川慧子 絵 山中冬児 清水美智子 油野誠一 池田浩彰 
___1967 研秀出版株式会社 
___御器所教会蔵書 

ある、さむい ばんの ことです。
まずしい きこりの かぞくが、ストーブを
かこんで いますと、トン トン トン、
一とうの しろくまが、まどを たたきました。
「こんばんは、きこりさん。すえの むすめさんを
わたしに くださいませんか。そうすれば、
あなたがたを おかねもちに して あげますよ。」

こころの やさしい むすめは、
かぞくの みんなの ために、
しろくまの ところへ いく
けっしんを しました。
しろくまの せなかに のって、
ながい ながい ゆきみちを
あるいて やっと やまの
おしろに つきました。

しょくどうには ごちそうが
ならんで います。
「たくさん おあがりなさい。
ほしい ものが あったら、
この すずを ふれば、
すぐに でて きますよ。」
しろくまは、むすめに
すずを わたすと、
どこかへ いって しまいました。
むすめは ねむたく なったので、
すずを ふりました。
すると、ふかふかの ベッドに、
もう ねて いました。

むすめは、へやの あかりを けしました。
すると、だれかが、すっと はいって きて、
となりの ベッドで ねむりました。
そして、あさ、くらい うちに、へやを でて いきました。
つぎの ばんも、その つぎの ばんも、そうでした。
けれども、むすめは しあわせでした。
すずを ならせば、ほしい ものは なんでも、
すぐに でて くるのですから。

その うち、むすめは、おとうさんや おかあさんに
あいたく なりました。
「それでは、うちへ つれて いって あげましょう。
ただ、ひとつだけ、やくそくして ください。
まいばん、だれかが、となりで ねむる ことだけは、
だれにも はなさないで ください。
さもないと、かなしい ことが、おこりますからね。」


しろくまは、むすめを せなかに のせて、
おとうさん おかあさんの いえに いきました。
「さ、みんなに あって いらっしゃい。
でも、やくそくを わすれないで くださいね。」
と いうと、しるくまは、かえって いきました。

げんきな むすめを みて、おとうさん おかあさんは、
なみだを ながして よろこびました。
「ほんとうに、よく かえって きて くれたね。
かわいい おまえを、しろくまに やったりして、
わるかった。ゆるして おくれ。」
むすめの おかげで、いまでは、うちじゅう みんなが、
ゆたかに、しあわせに、くらして いました。 

むすめは、しろくまの りっぱな おしろや、
まほうの すずの ことを、みんなに はなしました。
ただ、しろくまとの やくそくを まもって、
よるの ふしぎな できごとは、だまって いました。
けれども、むすめは、とても きがかりだったので、
おかあさんと ふたりきりに なった とき、
とうとう、はなして しまいました。
「なんて おそろしい ことだろう。
それは きっと、わるい まものかも しれないよ。
そうだ。よる、その ひとが ねむって しまったら、
この ろうそくの ひで、かおを みて ごらん。」
おかあさんは、むすめに ろうそくを わたしました。
ゆうがた、しろくまが、また むかえに きました。

かえる とちゅう、しろくまが きました。
「やくそくは、まもって くれましたか。」
むすめは、こたえられません。
しろくまは、かなしそうに ためいきを つきました。
「では、おかあさんが すすめた ことだけは、しないで くださいね。
なにも かも だめに なって しまいますから。」

その ばんも、あかりを けすと、だれかが はいって きて、
となりの ベッドに ねむりました。
むすめは、どうしても、その ひとの かおが みたく なって、
ろうそくに ひを つけました。
まあ、なんと うつくしい おうじさまが、ねむって、いるでは ありませんか。

むすめは、おうじに、うっとり みとれました。
その とき、ろうそくの あつい しずくが、
おうじの シャツに おちました。
おうじは、はっと、めを さましました。
「ああ、あなたは、とんでもない ことを
して しまいましたね。
わたしには、まほうつかいの ままははが います。
わたしは、その むすめの はなながひめと
けっこんするのを ことわったので、
しろくまに かえられて しまいました。
よるしか、にんげんの すがたに もどれません。
でも やさしい むすめさんが、
わたしの ほんとうの すがたを みないで、
Ⅰねんかん、いっしょに くらして くれれば、
まほうが とける はずだったのです。
でも、もう だめであす。
あしたの あさ わたしは、
たいようの ひがし、つきの にしに ある
おしろに、つれもどされて いるでしょう。」
むすめは、ないて あやまりました。
でも、もう、どうしょうも ありません。

つぎの あさ、むすめが めを さますと、
おうじも おしろも、きえて いて、
むすめは、もとの ぼろぼろの ふくのまま、
くさの うえに ねて いました。
むすめは、おうじを さがしに、
たいようの ひがし、つきの にしに ある、
おしろに いこうと けっしんしました。
さびしい もりの なかを、むすめは、
なんにちも なんにちも あるきました。

ある ひ、むすめは、
いわやまの まえで、
きんの りんごを もった
おばあさんに あいました。
「たいようの ひがし、
つきの にしに ある、
おしろに いく みちを、
おしえて ください。」
「わしは しらんが、ねえさんが
しって いるかも しれない。」
おばあさんは むすめに、
きんの りんごと、うまを
くれました。

むすめは、うまに のって、たびを つづけました。
すると、いわやまの まえで、二ばんめの おばあさんが、
きんの くしで、かみを とかして います。
その おばあさんも、おしろへ いく みちを しりません。
「いちばん うえの ねえさんに ききなさい。」
と いって、おばあさんは きんの くしを くれました。」
三ばんめの おばあさんは、きんの
いとぐるまを まわして いました。
でも やっぱり おしろへの
みちを しりませんでした。
「どうしても いきたいのなら、
ひがしのかぜの ところへ いって、
きいて ごらん。
この いとぐるまを あげよう。
きっと やくに たつだろう。」
むすめは おれいを いうと、
また、 たびを つづけました。

むすめは、ながい くるしい たびを して、
やっと ひがしかぜの いえに つきました。
むすめは、おしろの ことを たずねました。
「その おしろなら きいた ことは ある。
でも ぼくは そよかぜだから、そこまで、
ふいて いった ことは、ないんだよ。
にしかぜにいさんに きいて みよう。」
ひがしかぜは、むすめを せなかに のせると、
ひゅーっと ひとふきで、
にしかぜの いえに つきました。
にしかぜも、おしろの ある ところを
しりませんでしたが、みなみかぜの いえに、
つれて いって くれました。
でも、みなみかぜも、やっぱり しりません。
「きたかぜにいさんなら、いちばん つよいから、
もしか したら、その おしろまで、
ふいて いった ことが あるかも しれない。
さあ、せなかに おのり。
つれて いって あげよう。」

きたかぜの いえの まわりには、
こおりのように つめたい かぜが、
ふきまくって います。
「なに しに きた。 ふきとばすぞ。」
なかから、おそろし こえが しました。
「おとうとの みなみかぜだよ。」
すると、かぜが やみました。
みなみかぜは、むすめが、おうじに あいに
おしろへ いきたがって いる ことを、
きたかぜに はなしました。
「ああ、あの おしろか。
いちど いった ことが ある。
あの ときは、わしでさえ くたびれたよ。
それほど とおいが、いくゆうきは あるかね。」
きたかぜは、しって いたのです。
むすめは、うれしく なりました。
「どうか、つれて いって ください。
どんなに つらくても、がまんします。」
「よし。こんやは、ここに とまりなさい。」(つづく)

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