FTTHの接続方式に関する記述として、誤っているものを1つ選びなさい。
a. シングルスター方式は、収容局から加入者宅まで光ファイバを分岐せずに専用で設置する方式である。
b. OLTは収容局側に設置され、加入者からのデータを判別する装置である。
c. 光スプリッタは、光信号と電気信号を変換するために、収容局と加入者の間に設置される装置である。
d. ONUは加入者側に設置される、光回線の終端装置である。
「うわ~、分からない用語がたくさん出てきたぁ・・・。」
「そうだね。まずは問題文のFTTHってのはわかるかな?」
「うん!それはわかる。家庭用に引き込む光回線のことだよね?」
「そうだよ。それじゃまずは以下の図をまず見てもらおうか。」
「FTTHの接続方式には、1つの光ファイバを1ユーザが占有できるシングルスター方式と、1本の光ファイバを複数のユーザが共有するダブルスター方式があるんだ。」
「さらに、ダブルスター方式は、アクティブとパッシブの2つがあるよ。」
「まずはシングルスターから説明するね。」「お願いしま~す。」
「シングルスター方式は1つの光ファイバを1ユーザが占有できる。」
「つまり契約者以外が同じ光ファイバを使うことが無いのでセキュリティ面も安全だし、混雑して回線速度が落ちる事も無いんだ。」「専用回線なんだね!」
「そうだよ。ただコストが高いと言うデメリットがあるんだ。」
「その点、アクティブダブルスター方式とパッシブダブルスター方式は、図にあるように1本の光ファイバを伝送路の途中まで複数の加入者で共用した後に分配するため、回線のコストを抑えることができるんだ。」「なるほど!お財布に優しいね!」
「ところで、アクティブダブルスター方式とパッシブダブルスター方式との違いってなんなの?」「図を見てほしいんだけど、加入者宅前での分岐点でアクティブダブルスター方式はRTで分岐、パッシブダブルスター方式は光スプリッタで分岐しているのは分かるかな?」
「あ!本当だ!この二つはどう違うの?」
「RTってのはリモートターミナルの略で、こいつは電源が必要で、信号の増幅なんかもしちゃう。」
「より長距離の伝送が可能だったり分岐数が増やせる装置なんだ。」「電源を使ってひと手間かけてるのがアクティブってこと?」
「そうだね、アクティブは日本語でいうと能動的。より積極的に仕事をする装置の事なんだ。オーディオとか電子楽器の世界も同じ感じだから、興味があったら調べてみてね。」
「じゃあ、光スプリッタはパッシブなの?」
「なかなか勘が鋭いね。光スプリッタは受け取った信号を分岐するだけで、電源も要らない。その分故障のリスクが少なくメンテが楽なんだ。」
「そういうのがパッシブなんだねー。」
「パッシブを日本語でいうと受動的。自分からはアクションを起こさない受け身なヤツなのさ。」
「ちなみにダブルスター方式ではどちらもONUで光の信号を電気信号に変換して、集合住宅なんかの場合だと更にそこからVDSL宅内装置まで既存の電話線で引っ張っていくパターンがあるよ。」「へーなるほどー。」
「あと図にあるMCとかOLTってなに?」「MCはメディアコンバータといって先ほど出てきたONUやVDSLのようなもので局および加入者側で光信号と電気信号を変換する装置だよ。」
「OLTは1つの光ファイバに複数の加入者が接続しているので、局側はどの加入者からのデータかを仕分けなければいけなくて、その際にこの装置を利用するんだ。」「なるほどね~、よくわかったよ!答えは『c』のスプリッタは光信号の変換装置ではないからこれが正解だね~。」
「はい!よくできました~。」
【 第21回 第2部 第9問 解答&解説 】
[解答]c.
[解説]
a. 正しい。シングルスター方式は、収容局から加入者宅に専用の光ファイバを設置する方式である。
b. 正しい。光ファイバを共用で利用するダブルスター方式では、複数の加入者からのデータを判別するためにOLTを収容局側に設置する。
c. 誤り。光スプリッタは複数の加入者の光信号を分配する装置であり、光信号と電気信号を変換するものではない。
d. 正しい。光ファイバを共用で利用するダブルスター方式では、加入者側に届いたデータを仕分けて電気化するONUを設置する。