仙台ドクタークラブ(2004~2008)

仙台市医師会野球部ホームページ
(広報部編集)
2004~2008年の活動の記録

対宮城県医師会健康センター戦

2006-10-18 | 2006年 対宮城県医師会健康センター戦
 とき  平成18年10月15日(日) 
 ところ   ウエルサンピアみやぎ泉
 天候  快晴   気温  21℃


今季最終戦は最高の野球日和となった。泉ケ岳は秋色に染まり、吹き降ろす涼風が日焼けした肌に心地良い。こういう日にグランドに立てる者は幸いである。昨年はこの対戦に勝ってようやく給金を直したのであった。今年はここまで8勝2敗と大きく勝ち越して、余裕綽々である。

先発は監督が柱とも杖とも頼む松井。ペガサス戦以来2ヶ月ぶりのマウンドであったが、先頭打者を3塁ゴロ、次打者を3球三振に打ち取ってリズムに乗った。その裏ド・クは健康センター先発鈴木の立ち上がりを急襲。菊地(徹)以下、矢野、板垣、宮地が連続4本のセンター前ヒットを放ちいきなり3点を奪った。鈴木の動揺収まらぬ2回裏にも、伊藤(清)がセンター前、矢野、板垣がレフト前と畳み掛け2点を追加した。2回を終わって5-1。今日も2桁得点かと思われたが、意外にも鈴木は3回から立ち直り、5回までド・クに追加点を許さなかった。

3回表、健康センターの攻撃は2死1塁。3番大槻がレフト前ヒット。ダッシュした綿谷は捕球と同時に2塁に全力投球。あわや「レフトゴロ」かと思われたが、1塁走者菅原が一瞬早く2塁ベースを踏みセーフ。しかしどうしたことであろう。菅原はそのままベースを駆け抜け5m先でようやく停止、悠然と引き返してくる。ボールを握った2塁手は一瞬事態の把握に苦しみ、怪しみながら走者にタッチ。塁審は「アウト」を宣した。直後、健康センターベンチから「菅原君、1塁は駆け抜けてもいいけど、2塁は止まらなきゃダメなの !」という監督の大声が響いた。そういう訳だったのである。菅原は2安打を放ち、守っては痛烈な1塁ゴロを転倒しながら「つぶし取り」するという類稀な身体能力を見せた。あとは野球のルールを覚えるだけである。

その裏、伊藤(幸)は低めのボールをストライクと判定され、球審に猛然と抗議した。本日は試合の迅速化のため、主審は「ボール半分ストライクゾーンを広く取る」ことになっていた。伊藤は「今のはバスケットボール半分外れていた」と主張したが、ついに容れられなかった。そして次の投球は背中への死球となった。この光景はもう何度も見た。「伊藤が抗議すると次は死球」はジンクスとして確立した。阿部監督は負傷を案じ、1塁に出た伊藤に「盗塁禁止」を懇々と説いた。にも拘らず伊藤は次打者の初球に敢然とスタート。しかしキャッチャーの強肩の前に2塁ベース1m手前で憤死し、無念にも自己の持つ最高齢盗塁記録の更新はならなかった。常時次の塁を狙うのは伊藤の本能である。説諭でこれを止めることは出来ない。阿部は抑制帯を持参しなかったことを悔やんだ。

3回以降5回まで両軍ともに追加点が入らなかったが、ついに6回表、健康センターは3番大槻が右中間の3塁打。4番鈴木が意地のセンター前で2点を返した。5対3。ド・クのリードは2点となった。何としても追加点のほしいド・クはその裏、菊地(徹)がセンター前に打ち返し、さらに盗塁。1死2塁で綿谷が右中間に2塁打を放ち、のどから手が出るほど欲しかった追加点を挙げた。3点リードなら松井に余裕も出る。最終回、2死からレフト前にヒットを許したものの、好打者大槻をショートゴロに打ち取り、ゲームセットとなった。両投手とも無四球であり、最終戦に相応しい好試合であった。

松井は老獪であった。打者の打ち気を見抜くや、真ん中から外に逃げて行くムーヴィング・スローボールで空振りを取り、打ち気なしと見るや、真ん中に半速球を投げ込む。健康センターの打者は、背中から大きく曲がってストライクとなるカーブを何球見逃したことであろう。サードゴロ、ショートゴロが多かったのは遅い球が低めに来ていた証拠である。王監督は投手に「27アウトを全てゴロで取れ」と命じているという。

投球は球速ではない。中途半端なスピードならない方がましである。松井は打者30人に対し被安打8、奪三振9、自責点3の怪投を演じ、今季2勝0敗となった。しかも栄えあるシーズン全試合出場も果たした。還暦を過ぎたとは言え、まだまだ引退は許されない。「第二の伊藤(幸)」への王道を歩んでもらいたい。

試合結果
                               計
健康センター 0  1  0  0  0  2  0    3
ド・ク      3  2  0  0  0  1  ×    6

試合終了後、昼食会が開かれ、時節柄お茶で乾杯となった。健康センターの選手はみな若いが、野球は年に1回、この対戦だけだという。本日安藤、佐藤(韶)、猪股らの主力を欠いたとは言え、毎年強豪と10試合以上をこなすド・クが負けるわけにはいかないのであった。辱知の両チームはアルコール抜きでも話は弾んだ。会員健診も円滑に進むに違いない。来年の再戦を約して12時半散会となった。

今季は天候に恵まれ、予定した11試合が全て行われた。4月、5月に出遅れ2勝2敗となったが、6月以降強力打線に火が着き、9勝2敗の球績を残した。最後は2桁得点4試合を含む7連勝を飾り、ついに監督と総監督の怒髪を見ずに済んだ。

東北の秋は駆け足である。昨日(10月23日)、白布温泉が銀世界になったという。10月1日の米沢市医師会戦の折には紅葉が始まったばかりであった。白布への道で見かけた野猿も雪の中であろうか。                       
                           (文責 宮地辰雄)