仙台ドクタークラブ(2004~2008)

仙台市医師会野球部ホームページ
(広報部編集)
2004~2008年の活動の記録

国保連・全国土木国保戦 2008.5.18

2008-05-19 | 2008年 国保連・全国土木国保戦 
ドクタークラブ便り 
国保連合会・全国土木国保戦 
 
 とき  平成20年5月18日(日) 
 ところ  ウェルサンピアみやぎ泉
 天候  快晴  気温23℃

開幕戦は霧雨の中での試合となったが、今日はこれ以上ない青空が広がった。萌え出した外野の芝が陽光を眩しく照り返す。穀雨に潤された大地は緑を濃くし、花を終えた桜は周囲にすっかり溶け込んだ。まっすぐに立ち上がる若草の上を歩けば、スパイクの鋲の磨かれる感触が心地よい。いっそのこと野球などやめて、グラブを空に放り投げ、その放物線をいつまでも眺めていたい春の日である。

阿部精太郎監督は今季が就任3年目となる。1年目は9勝2敗、2年目は7勝3敗、計16勝5敗(勝率0.762)の好成績をあげている。名将の誉れは夙に高い。出したサインを無視されても平静を保つ度量と、投手交代がワンテンポ遅れる人情家の面を併せ持つ。今年は三市医師会野球大会と三師会野球大会のペナント奪回に執念を燃やしている。

今年は新戦力として山本克哉と後藤孝浩の2名が加わった。後藤は野球のために名取市医師会を退会して仙台市医師会に入会した変わり者、いや変わり種である。山本53歳、後藤45歳。世界的標準では若いとは言えない新人だが、それでもチームの平均年齢は2人の加入で少し下がったのである。

昭和3年生まれの伊藤(幸)は10月11日に80歳を迎える。年間試合予定を見ると、10月26日に古希チームとの試合が最終戦として組まれている。恰も「80歳先発」の舞台を演出したかのようである。相手にとって(過)不足はない。先発しては、打たれながらも要所を抑えて完封、塁に出ては、監督の盗塁禁止令を無視して走りまくる雄姿が目に浮かぶ。

■第1試合 対国保連合会

国保連には3連敗したあと、昨年ようやく1勝をあげた。毎年接戦を演じている。今日はエース安藤の先発である。1週間前の開幕戦では、6回を被安打1、奪三振6、無失点と快投した。

1回裏、ド・クは死球で出た菊地(達)が2盗、3盗を決め、佐藤(韶)のセンター前安打で生還。早々と先取点をあげた。今日の主審はストライクゾーンが狭く、コーナーで勝負する安藤は苦心の投球となった。2回表、1死から四球で走者を出した後、ライト前安打、犠飛によって2点を献上した。その後両チーム1点ずつを取り合い、2-3で5回裏を迎える。
 
今日はダブルヘッダーのため、この回が最終回である。1点ビハインドだが、ベンチには「行け行け」ムードが漂っていた。この回トップの菊地(達)はサード正面へ火を噴くような当たり。サードは顔をそむけてグラブを差し出すも、打球はグラブを弾いてファウルゾーンに転がった。走者を出すと最終回の守りは難しい。続く綿谷はショートへの凡ゴロだったが、焦ったショートがこれをお手玉し、無死1、2塁となる。

阿部監督は次打者佐藤(韶)に1ナッシングから送りバントのサインを出す。しかしバントはバックネットへのファウルとなり2ナッシング。これで打つしかなくなったが、国保連の投手鈴木は1球外す余裕もなく、3球目をど真ん中に投げ込んだ。ストライクなら何でも振ろうと待ち構えていた佐藤はこれを強振。打球はセカンド、ショート、センターの真ん中にふらふらと上がった。捕れないと判断したセンターは一か八か、ダイビングキャッチを試みるが、グラブは僅か3尺届かず。打球は無情にも頭上をバウンドし、フェンス際を転々。この間に2走者が躍り上がって生還し、逆転サヨナラ勝ちとなった。

      1 2 3 4 5   計
国保連  0 2 1 0 0   3
ド・ク   1 0 1 0 2×  4

■第2試合 対全国土木国保

この対戦はド・クの3戦3勝と相性が良い。ド・クの先発に抜擢されたのは新人後藤。サウスポーである。ド・クのマウンドにサウスポーを見たのはしばらくぶりである。4年前、大敗した米沢戦で一瞬見たような気がする。試合は劇的な展開となった。

初回、ド・クは土木の先発宮下の制球難につけ込み、3四球を足掛かりに4点を先取。2回、3回にも1点ずつ追加。後藤は3回まで好投し、6-0と大量リード。しかし野球は怖いものである。後藤の脳裏に「初先発、初勝利」、さらに「初完封」の文字が踊り始めた。はたして勝ち投手の権利を得た4回表、先頭の宮下に四球を与えると、急に投球が小さくなった。続く4打者にはカウントを取りに行って、レフト、ライト、レフト、ライトと交互に打ち分けられ、瞬く間に4点を失う。さらに5回表にも2点を追加され、ついに6-6の同点となった。

土木のマウンドは2番手、快速球の荒川。5回裏の先頭打者は板垣。荒川の速球に振り遅れた打球はライトの前、というより一塁手の後ろにポトリと落ちた。風はいかにもド・クに吹いているようである。連続サヨナラの期待が一気に高まった。捕手は強肩だが、阿部は強気に盗塁のサインを出す。板垣はすかさず2盗。さらに危なかったが3盗も成功させ、1死3塁の場面を作った。打者は菊地(徹)。
ここにきて阿部の心は千々に乱れた。

・・・スクイズのサインを出そうか出すまいか、スクイズでサヨナラならヒーローは監督(俺)だな、しかしさっきは送りバントがファウルになってサヨナラ打が出た、走者がスタートして打者がサインを見逃したら目も当てられない、菊地なら黙っていても外野フライくらい打つかもな、でも1回くらいはスクイズしてみたいなあ、だがあの3塁ランナーはさっぱりこっちを見ないし・・・(多少筆者の想像が混じっています。)

阿部があれこれ考えているうちに、菊地は2球目を打ってしまった。悪いことにボテボテの1塁ゴロ。3塁走者の突入は無理である。がっちり捕球した1塁手篠原は3塁走者板垣を睥睨した後、1塁ベースを踏みに行こうとした。その瞬間、板垣は突如本塁突入の偽走を見せた。これに慌てた篠原は、ベースを踏もうとした右足を急遽反転させ、ホームに送球。不完全な体勢で投じたボールはバックネットを直撃する大暴投となり、板垣が生還。ド・クは2試合連続の劇的なサヨナラ勝ちを決めたのであった。今季はこれで3連勝。弘前での三市医師会親善野球大会に向けて大きく弾みがついた。

       1 2 3 4 5   計
全国土木  0 0 0 4 2   6
ド・ク     4 1 1 0 1×  7

雀踊りの囃子が風に乗って聞こえてくる。今日は市内中心部で第24回となる青葉祭りが開催されているのだった。ユアスタでは「東北ダービー」が行われた。ベガルタが前半2点をリードされながら後半に3点をあげ、モンテディオに逆転勝ち。J2の2位に上がった。仙台の春はまさに満開である。

春はただ盃にこそ注ぐべけれ 智慧あり顏の木蓮や花 (晶子)

人生に多くを求めず。一日一本の安打に恵まれ、夕べに旨酒を酌めば、この上何を望むべきか。

文責 宮地辰雄