キミエとの待ち合わせには、よくこの駐車場を利用していた。地方の市役所の駐車場は無料で・・よくないことだけど・・ここにキミエの車を止めて、2人で出かけることが多かった。
その日も、帰りに車を止めて二人で別れを惜しんでいた。
夜9時頃だったろうか。急に霧がでてきた。
右から左へと、川の水が流れるように、濃い霧が押し寄せてきた。
「霧が出てきたな」
「ほんとだ。すごい霧だね」
と言っている頃には、霧は流れを止めて充満していた。
駐車場の車からは、前の歩道と2車線の道路がかろうじて見える。街路灯がついていたが、向こう側の歩道はよく見えなかった。
人通りはほとんどなかったが、歩く人がいても不自然ではない場所と時間帯ではあった。
歩道の右のほうから、人が歩いてくるのが見えた。帽子をかぶった大柄な男性だ。両手を大きく振り、大股で歩いていく。
「でかい人だな」
ただなんとなく見えた光景を言っただけだが、前を振り向いたキミエは
「でかい人?」
と、霧のせいかその大男は見えないようだった。
キミエには見えない方がよかったかなと思っていた。
その大男は、オレの目には・・ということだけど、地上20cmくらいのところを浮いて歩いているように見えたから。キミエがそれを見て気味悪がってパニックを起こすと面倒だ。
その大男は、歩くテンポと進む距離がずれていた。歩く速さより、進む速さのほうが速かった。まるで、動く歩道の上を歩いている人を見てるようだった。
その日も、帰りに車を止めて二人で別れを惜しんでいた。
夜9時頃だったろうか。急に霧がでてきた。
右から左へと、川の水が流れるように、濃い霧が押し寄せてきた。
「霧が出てきたな」
「ほんとだ。すごい霧だね」
と言っている頃には、霧は流れを止めて充満していた。
駐車場の車からは、前の歩道と2車線の道路がかろうじて見える。街路灯がついていたが、向こう側の歩道はよく見えなかった。
人通りはほとんどなかったが、歩く人がいても不自然ではない場所と時間帯ではあった。
歩道の右のほうから、人が歩いてくるのが見えた。帽子をかぶった大柄な男性だ。両手を大きく振り、大股で歩いていく。
「でかい人だな」
ただなんとなく見えた光景を言っただけだが、前を振り向いたキミエは
「でかい人?」
と、霧のせいかその大男は見えないようだった。
キミエには見えない方がよかったかなと思っていた。
その大男は、オレの目には・・ということだけど、地上20cmくらいのところを浮いて歩いているように見えたから。キミエがそれを見て気味悪がってパニックを起こすと面倒だ。
その大男は、歩くテンポと進む距離がずれていた。歩く速さより、進む速さのほうが速かった。まるで、動く歩道の上を歩いている人を見てるようだった。
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