知識は永遠の輝き

学問全般について語ります

太陽系の向かう所

2021-02-05 06:46:12 | その他、雑記
 本ブログのポーが見た未来世界(2)(2017/05/28)で紹介したのですが、E・A・ポー『メロンタ・タウタ(Mellonta Tauta)』の中に太陽系の運動に関する奇妙な説が登場しています。少なくともA説の方は何か実在した天文学理論を反映しているではないかと思ったのですが、どうにもわかりませんでした。

  2700年代まで信じられていた説。太陽は「銀河系の全天体に共通の、そしてスバルの中で最も明るいアルシオーネ(Alcyone in the Pleiades)の近くにあると考えられる引力のまわりを~一億一千七百万年のあいだまわりつづけている」

  2700年代に判明した説。太陽は琴座アルファ星と連星関係にある。

 実は琴座アルファ星とスバルのある牡牛座とは天球上では地球を挟んでほぼ反対側にあります。前者は夏の夜空に[Ref-1a]後者は冬の夜空に[Ref-1b]現れます。そしてよく考えるとA説とB説は別に反対仮説ではなく両立できます。どうもA説もB説もポーのかなりデタラメな創作のようです。むしろB説の方が、太陽向点(solar apex)が琴座アルファ星(Vega)に非常に近いという事実にヒントを得た創作のように思えます。

 太陽向点やその反対の太陽背点(Solar antapex)は太陽近傍の恒星群の平均位置に対する太陽の固有運動で決まるものですが、それは1783年に既にハーシェルにより観測されていました。

 ちなみに実際の銀河系の回転中心は射手座の方向にあり、太陽はその周りを2.25~2.50億年で公転していることがわかっています[Ref-2]。ただし最新のデータでは2.12億年で公転とされています[Ref-3]

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Ref-1a) 夏の星座
Ref-1b) 冬の星座
Ref-2) wikipedia「銀河系#太陽の位置」
Ref-3) 日経サイエンス(2020/12)「見えてきた天の川銀河の姿」
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