-------前回の続き-------
「誰かいるの? もしいるなら、返事をしてちょうだい!!」
静恵は、いたたまれなくなって叫んだのである。
すると、奥の方から、しわがれた声が聞こえてきたのだ。
「そのまままっすぐ進むがよいぞ。そしてドアがあるから、開いてくるのだ!!」
「だれ!!誰なの??」
「わしのことは、ここまで来てから話を聞かせようぞ。とにかく来るのだ。」
「分かったわ。そっちに行くから待ってて!!」
そこで誰が待っているのかは分からなかったが、落ち着いた話し方に、静恵は少しだけホッとした。
聞いた感じでは、魔物ではなさそうな話し方なのだ。
少し進むと、ドアのような物に手が触れた。
そしてノブが見つかったので、少しずつ回しながら、この先に誰がいるのかを考えていた。
それは、普通の人間なのか、まさか魔物がだましておびき寄せているのか、
何とも言えない不安を感じてきたが、それに負けずとドアを開いたのであった。
ドアを開けそっと覗くと、なにやら人影のようなものが見えた。それは人影にしては、不思議なシルエットだった。
「驚かなくてもいいぞ。わしはおまえに危害を加えるようなことはない。よ~くみてごらん、わしの身体を。 もうほとんど動くことは出来ないのだ。」
それは、かなりの老人であったが、身体全体が灰色を帯びていて、ほとんど骸骨に近い状態だ。
「あなたは誰なの?どうしてこんな所にいるの?」
「ああ、これからゆっくりと話をしてあげようぞ。わしは古い昔に、薬品関係の仕事をしていた。
そしていつ頃かは忘れたが、この村に不思議な伝染病が流行るのではないかという情報を得たのだ。
あのころ経営不振だったわしは、その情報を聞いて、こう考えた。
たしか前に古屋敷には学者がいて、その伝染病の特効薬を開発していたという。まあ、不幸な死に方をしたらしいが・・・。
ならば、その学者の研究を盗み、自分の物にしてしまえば良いのではないかと。そう考えたわしは、夜中にこの古屋敷に忍び込んだのだ。
しかし、この屋敷には色々な仕掛けがあって、なかなか奥へは進めなかったのだ。
わしは喉が乾いたので、台所の蛇口をひねったのだが、水が出てこない。
しかたなく隅に置いてあった水瓶の水を飲んだのだが、それは学者の罠だったのだ。
時間がたつにつれて、どんどん身体に異変が起きて、気づいたときにはこんな身体になってしまっていた。
しかし不思議なことに、身体は骸骨化しているのだが、寿命というものが無くなったらしい。
まあ、動けない身体になってしまったら、生きていても仕方がないのだがね。」
「でも不思議だわ。私がこの屋敷で見た物は、近年に揃えた物がたくさんあったわ。 電子レンジやガス台は、あなたの時代には無いはずだわ。」
「わしは動けない身体なので、最近の道具などについては全くわからんが、もしかして奴が・・・。」
-------次回へ続く-------
「誰かいるの? もしいるなら、返事をしてちょうだい!!」
静恵は、いたたまれなくなって叫んだのである。
すると、奥の方から、しわがれた声が聞こえてきたのだ。
「そのまままっすぐ進むがよいぞ。そしてドアがあるから、開いてくるのだ!!」
「だれ!!誰なの??」
「わしのことは、ここまで来てから話を聞かせようぞ。とにかく来るのだ。」
「分かったわ。そっちに行くから待ってて!!」
そこで誰が待っているのかは分からなかったが、落ち着いた話し方に、静恵は少しだけホッとした。
聞いた感じでは、魔物ではなさそうな話し方なのだ。
少し進むと、ドアのような物に手が触れた。
そしてノブが見つかったので、少しずつ回しながら、この先に誰がいるのかを考えていた。
それは、普通の人間なのか、まさか魔物がだましておびき寄せているのか、
何とも言えない不安を感じてきたが、それに負けずとドアを開いたのであった。
ドアを開けそっと覗くと、なにやら人影のようなものが見えた。それは人影にしては、不思議なシルエットだった。
「驚かなくてもいいぞ。わしはおまえに危害を加えるようなことはない。よ~くみてごらん、わしの身体を。 もうほとんど動くことは出来ないのだ。」
それは、かなりの老人であったが、身体全体が灰色を帯びていて、ほとんど骸骨に近い状態だ。
「あなたは誰なの?どうしてこんな所にいるの?」
「ああ、これからゆっくりと話をしてあげようぞ。わしは古い昔に、薬品関係の仕事をしていた。
そしていつ頃かは忘れたが、この村に不思議な伝染病が流行るのではないかという情報を得たのだ。
あのころ経営不振だったわしは、その情報を聞いて、こう考えた。
たしか前に古屋敷には学者がいて、その伝染病の特効薬を開発していたという。まあ、不幸な死に方をしたらしいが・・・。
ならば、その学者の研究を盗み、自分の物にしてしまえば良いのではないかと。そう考えたわしは、夜中にこの古屋敷に忍び込んだのだ。
しかし、この屋敷には色々な仕掛けがあって、なかなか奥へは進めなかったのだ。
わしは喉が乾いたので、台所の蛇口をひねったのだが、水が出てこない。
しかたなく隅に置いてあった水瓶の水を飲んだのだが、それは学者の罠だったのだ。
時間がたつにつれて、どんどん身体に異変が起きて、気づいたときにはこんな身体になってしまっていた。
しかし不思議なことに、身体は骸骨化しているのだが、寿命というものが無くなったらしい。
まあ、動けない身体になってしまったら、生きていても仕方がないのだがね。」
「でも不思議だわ。私がこの屋敷で見た物は、近年に揃えた物がたくさんあったわ。 電子レンジやガス台は、あなたの時代には無いはずだわ。」
「わしは動けない身体なので、最近の道具などについては全くわからんが、もしかして奴が・・・。」
-------次回へ続く-------