-------前回の続き-------
下り階段は、何年も使われていなかったのか、こけが生えて滑りやすそうだ。
静恵は、一歩一歩、足下を確かめながら、暗い階段に飲み込まれていった。
階段の壁は、手で触ると異様にじめじめしていて気持ちが悪かったが、滑りやすい階段のため、仕方なく壁に手を添えながら下っていった。
20段ほど降りると、前がふさがってしまったようで、行き止まりになっていた。
(おかしいわね。これ以上は行けないのかしら?)
そう思いながら、暗い中、前の壁を手探りしていると、その壁は鉄の様なものであることが分かった。
そして再び手探りすると、短い棒のような物が手に触れた。
(これ、ノブのようだわ。下ろしてみよう。)
静恵は、短い棒を握り、力まかせに下ろしてみると、「ガコン」という音と共に鉄の扉が開いた。
そして扉をのぞき込むと、そこは3畳ほどの狭い部屋になっていたのだ。
部屋の隅には、たいまつが置かれていて、部屋の中は思ったほどは暗くなかった。
(ここは安心できそうだわ。少し休みましょう。)
静恵は部屋に入り、休息しながら部屋の中を見渡したが、これといって何もなく、あるのはもう一つのドアだけのようだ。
(このドアから、どこかに行けるのね。あっ、あれはなにかしら?)
横の壁に、なにか紙で出来ている物が貼ってある。
静恵はそれに書かれている内容を読んで、背筋に悪寒が走った。
そこには、こう書かれてあったのだ。
「必ずや、ここに誰かが来ることは、私には分かっている。そう、私はここのあるじの学者だ。
ここに来たということは、逃れられない運命を選んでしまった訳なのだ。
頼む、生きているうちに私が出来なかった、恐ろしい物たちの抹消を引き受けてくれ。
それしか、ここから出る方法は無いのだ。
私は他の部屋にも、大切な伝言を残している。それを頼りに何とか奴らを・・・」
そこまでで、学者の伝言は終わっていた。
(ああ、なんということなの。武も探さなければいけないのに、他にも怪物がいるなんて。
でも、もう遅いのね。ここまで来てしまったのだから、この屋敷から出るには学者の遺言を引き継ぐしかないのね。)
静恵は意識が遠くなりそうな気がしたが、なんとか持ちこたえて現実に戻った。
(そうと決まれば、次はこのドアの先に行くしかないわ。)
静恵はピストルを構えると、ノブを廻し、ドアを開いたのであった。
そっと中を覗くと、そこは真っ暗で、どうなっているのか分からない状態だ。
しかし勇敢にも、静恵は少しずつ足を踏み入れていった。
一つ分かったことだが、そこは廊下のようで、手探りで両側に壁があることを確認した。
だが真っ暗なために、この先に何があるのかは判断できない。
しばらくすると、遠くの方で何か聞こえた。
それは、何かがきしむ音なのか、まるで断末魔のうめき声のようにも感じるのだ。
静恵は、背中から水をかけられたような嫌な感じを覚えたが、恐怖を振りほどきながら先に進んでいった。
そして、先ほどの音が、段々はっきりと聞こえてくるようになった。
「誰かいるの? もしいるなら、返事をしてちょうだい!!」
-------次回へ続く-------
下り階段は、何年も使われていなかったのか、こけが生えて滑りやすそうだ。
静恵は、一歩一歩、足下を確かめながら、暗い階段に飲み込まれていった。
階段の壁は、手で触ると異様にじめじめしていて気持ちが悪かったが、滑りやすい階段のため、仕方なく壁に手を添えながら下っていった。
20段ほど降りると、前がふさがってしまったようで、行き止まりになっていた。
(おかしいわね。これ以上は行けないのかしら?)
そう思いながら、暗い中、前の壁を手探りしていると、その壁は鉄の様なものであることが分かった。
そして再び手探りすると、短い棒のような物が手に触れた。
(これ、ノブのようだわ。下ろしてみよう。)
静恵は、短い棒を握り、力まかせに下ろしてみると、「ガコン」という音と共に鉄の扉が開いた。
そして扉をのぞき込むと、そこは3畳ほどの狭い部屋になっていたのだ。
部屋の隅には、たいまつが置かれていて、部屋の中は思ったほどは暗くなかった。
(ここは安心できそうだわ。少し休みましょう。)
静恵は部屋に入り、休息しながら部屋の中を見渡したが、これといって何もなく、あるのはもう一つのドアだけのようだ。
(このドアから、どこかに行けるのね。あっ、あれはなにかしら?)
横の壁に、なにか紙で出来ている物が貼ってある。
静恵はそれに書かれている内容を読んで、背筋に悪寒が走った。
そこには、こう書かれてあったのだ。
「必ずや、ここに誰かが来ることは、私には分かっている。そう、私はここのあるじの学者だ。
ここに来たということは、逃れられない運命を選んでしまった訳なのだ。
頼む、生きているうちに私が出来なかった、恐ろしい物たちの抹消を引き受けてくれ。
それしか、ここから出る方法は無いのだ。
私は他の部屋にも、大切な伝言を残している。それを頼りに何とか奴らを・・・」
そこまでで、学者の伝言は終わっていた。
(ああ、なんということなの。武も探さなければいけないのに、他にも怪物がいるなんて。
でも、もう遅いのね。ここまで来てしまったのだから、この屋敷から出るには学者の遺言を引き継ぐしかないのね。)
静恵は意識が遠くなりそうな気がしたが、なんとか持ちこたえて現実に戻った。
(そうと決まれば、次はこのドアの先に行くしかないわ。)
静恵はピストルを構えると、ノブを廻し、ドアを開いたのであった。
そっと中を覗くと、そこは真っ暗で、どうなっているのか分からない状態だ。
しかし勇敢にも、静恵は少しずつ足を踏み入れていった。
一つ分かったことだが、そこは廊下のようで、手探りで両側に壁があることを確認した。
だが真っ暗なために、この先に何があるのかは判断できない。
しばらくすると、遠くの方で何か聞こえた。
それは、何かがきしむ音なのか、まるで断末魔のうめき声のようにも感じるのだ。
静恵は、背中から水をかけられたような嫌な感じを覚えたが、恐怖を振りほどきながら先に進んでいった。
そして、先ほどの音が、段々はっきりと聞こえてくるようになった。
「誰かいるの? もしいるなら、返事をしてちょうだい!!」
-------次回へ続く-------