そう考えながら日記をしまおうとしたとき、本棚の奥に何かあることに気がついた。
それは小さく四角い物だ。 静恵は手で探ってみた。
(あら、これは何かのスイッチみたいだわ。)
その四角い物の真ん中あたりを押してみた。
すると、発信音のような音とともに、部屋の外のどこかで「カチャッ」と言う音がした。
(これはオートロックだわ。 今の時代じゃ珍しくないけれど、これを作ったのはかなり昔のことだから、この学者はすごい人だったのね。
とにかく、どこかの鍵が開いたみたいだから、この部屋を出ることにしましょう。)
静恵はそう考え、書斎を出た。
しかし、ほかに行けそうな所は、さきほど鍵が掛かっていたドアしかない。
しかたなく、もう一度ドアのノブを回してみた。
するとどうだろう、今度はすんなりと回り、ドアが開けられそうなのだ。
(そうか。さっきのオートロックは、ここのドアだったのね。)
静恵は、急に胸の高鳴りを覚えた。
このオートロックがウイルスに冒された動物たちの進入を防ぐために作られた物だと、学者の日記で知ったこと。
そして、その動物たちが村を襲った事実がないことだ。
(もしかして、この館からは出ていなかったのではないか。でも、これだけ長い年月が過ぎているのだから、もうみんな死んでいるに違いないわ。
恐いから、変なことばかり考えてしまうのね。 しっかりしなきゃいけないわ。
そうだ!、あの日記に書いてあることが真実なら、二階の部屋に護身用のピストルが隠されているはずだから、探してみましょう。
ピストルなんて使ったことはないけれど、安心した気持ちでいられるはずだわ。)
静恵は決心したように、ドアをすばやく開いた。
どこかに恐怖心が残っていたのか、思わず身構えてしまった自分が恥ずかしかった。
しかし、その恐怖心をよそに、開いたドアの向こう側は、ロウソクの灯火によって明るめに照らされていて、すぐに何もいないことが分かった。
安心して入ってみると、そこは長めの廊下だと言うことが分かった。
しかし入ったとたんドアが閉まり、いくらノブを回しても二度と開くことはなかった。
-------次回へ続く-------
それは小さく四角い物だ。 静恵は手で探ってみた。
(あら、これは何かのスイッチみたいだわ。)
その四角い物の真ん中あたりを押してみた。
すると、発信音のような音とともに、部屋の外のどこかで「カチャッ」と言う音がした。
(これはオートロックだわ。 今の時代じゃ珍しくないけれど、これを作ったのはかなり昔のことだから、この学者はすごい人だったのね。
とにかく、どこかの鍵が開いたみたいだから、この部屋を出ることにしましょう。)
静恵はそう考え、書斎を出た。
しかし、ほかに行けそうな所は、さきほど鍵が掛かっていたドアしかない。
しかたなく、もう一度ドアのノブを回してみた。
するとどうだろう、今度はすんなりと回り、ドアが開けられそうなのだ。
(そうか。さっきのオートロックは、ここのドアだったのね。)
静恵は、急に胸の高鳴りを覚えた。
このオートロックがウイルスに冒された動物たちの進入を防ぐために作られた物だと、学者の日記で知ったこと。
そして、その動物たちが村を襲った事実がないことだ。
(もしかして、この館からは出ていなかったのではないか。でも、これだけ長い年月が過ぎているのだから、もうみんな死んでいるに違いないわ。
恐いから、変なことばかり考えてしまうのね。 しっかりしなきゃいけないわ。
そうだ!、あの日記に書いてあることが真実なら、二階の部屋に護身用のピストルが隠されているはずだから、探してみましょう。
ピストルなんて使ったことはないけれど、安心した気持ちでいられるはずだわ。)
静恵は決心したように、ドアをすばやく開いた。
どこかに恐怖心が残っていたのか、思わず身構えてしまった自分が恥ずかしかった。
しかし、その恐怖心をよそに、開いたドアの向こう側は、ロウソクの灯火によって明るめに照らされていて、すぐに何もいないことが分かった。
安心して入ってみると、そこは長めの廊下だと言うことが分かった。
しかし入ったとたんドアが閉まり、いくらノブを回しても二度と開くことはなかった。
-------次回へ続く-------