何かがそこにある。

花を仕事にしていることは、今や当たり前のことだが、
昔の方が、この仕事から離れる可能性があったように
思う。

２０代前半のときに、一回この仕事から離れたが、
たった１カ月程で、戻って来た（笑）。

花を活けれず、仕入れ、検疫、華道...いろいろな仕事を
したが、辞めようとは思わなかったし、

独立してからは、周りからは反対の言葉も多かったけど
自分だけは「辞めよう」なんて思った事も無かった。

今の自分があるのは、祖先をはじめ植物に関わり、
両親が植木の手入れを仕事とし
自分も小さい頃から手伝って来たからって思っているのは

「植物には言葉があるし、世界があり、植物ならではの
人に対しての、何かの力があるのでは？」

って思わされているからに他ならない（笑）。

花屋をやっていると、花の精霊が見えるおばちゃんとか、
言葉を交わすおばあさんとかに、出くわす事があるが
（いろいろそれについて話されて、時間ロスをくらう）

それはそれとして...（笑）。

先日の育種をやっている生産者さんの言葉からも、
それは聞くことが出来、思わず鳥肌がたった。

変わった咲き方が今年出来たのだけど花粉が
探しても探してもみつからず、せっかく現れたのに
来年の為の育種が出来ないと悩み

ある育種の仲間のところに、花を切って持って行って
話を聞くと、その方が花をいざ開いてみると

そこに花粉があったというのだ。

その感動が、話の中に溢れ、その方も今でも
その感覚を忘れられないようで、思わず私も
その世界に引きずり込まれた感覚に陥った。

お二人とも業界では有名な方達だけど、一人の農場で
それは生まれ、もう一人の力で存続と可能性が
生まれる。

まるでドラマのようなストーリーだった。

そこにどんな力があるのか？何が関わっているのか？

全くわからないが、育種に長年たずさわっている方には
共通してこういう力がある。

「もっている」そうとしか言えない。

それは、代々なぜか受け継がれる。不思議な事実だ。

また花は不思議と様々な魅力をもつが、何かがそこにあるから
発生するような、用意されたタイミングでの出会いや

知識の広がりをもつ会話が生まれたりする気がしてならない。

会う予定をしながら会えなかったり、来る事も知らなかった
のに、広い会場で偶然会う事もある。

会えた人には、必然性を感じるし、会えなかった人には
更に先へ伸ばす事で、必然のタイミングがあらわれる予感
を与える。

何かがそこにある。そう思えた先週だった。

自分の立ち位置を確認した２日間だった...。