チーム防御率が2年連続ワースト1位に終わった投手陣の改革なしに、「定位置」最下位からの脱出はない。
尾花新監督は過去15年間、ヤクルト、巨人など4球団で投手コーチを務め、実績を重ねてきた。その手腕を買われて初めて監督に就任した横浜でも、大半の時間を投手陣と過ごす。「野球は投手力が7割だからね。野手についてはヘッドコーチに任せている」
基本練習を反復しているのが印象的だ。まず、キャッチボール。これまでは肩慣らし程度の認識で山なりの球を放っていた選手が、投球と同じフォームでフォロースルーまできっちりと腕を振る。評論家たちがこれまでの違いとして真っ先に挙げた点だ。
「小さなことから、ほころびが出る」と、1時間の守備練習も定番メニューになった。ゴロを捕って二塁へ送球する際、1ステップでなく、わざと二つステップを踏むことも。野手と呼吸が合わないことを想定した練習だ。
ブルペンでの投球練習は従来の午前中ではなく、午後に変わった。「体が疲れていると、力任せに投げなくなる」というのが新監督の狙い。最後は相手打者を想定し、捕手がカウントをコールしながら投げ込む。ボール先行で四苦八苦する投手には苦言を呈する。「最初のストライクをうまく取れないと主導権を握れない。カウントを稼ぐコツを覚えてもらわないとな」
ブルペンでの監督は観察する位置を変えながら、動作を交えて指導する。発展途上の小林には球を押し込めていない欠点を指摘し、高崎にはフォロースルーを大きく取るよう助言した。「改善点を理論的に教えてくれる」と小林。選手には全体練習後も、午後6時ごろまでシャドーピッチングをする姿も目立った。
現段階で役割が確定しているのはエースの三浦とロッテから移籍した清水の先発2本柱だけ。監督が掲げる「分析野球」の理論の注入には至っておらず、2010年の投手目標である「闘争心」も今後の実戦で試される。ただ、選手の熱意を見る限り、「低迷」から「成長」へとかじを切ったと言えそうだ。(能田英二)
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