著者はITと軍事技術分析に詳しいテクニカルライターです。
自分は「戦うコンピュータ〈V〉3 」読んで、やっとこの分野における解説者出たと思いました。
今回は「作戦指揮とAI」について
第二次世界大戦でのバトルオブブリテンにおける防空システムから
現代の軍事作戦に不可欠な“指揮管制”のしくみについて分かりやすく解説されています。
その中でも第4部 AIの活用については大変興味があります。
一般的にAIを利用したシステムと言えば何でもやってくれると思われますが、
しかし、現在報道等で言われるAIは人間がプログラムされたものであり、
データ、センサー、意思決定燈においても人間が与えてから学習するので、
与えられて情報と指示された内容における回答でしかないのでは人口知能とは呼べないと思います。
真のAIとはアリゴリズムも作れ、与えられた指示に自らが情報収集を行い、
行動内容を事前にプログラムしなくても、自らが状況判断し行動できることがAIではないかと思います。
このことは著者も書かれています。
とはいえ、著者は「AIにどんな使い道があるか」において様々な利用方法が進んでいる事を解説されています。
その中で、「AIで洋上での衝突回避」は優先事項ではないかと思います、
現在進めているのは「USV」による活用ですが、
自衛艦やアメリカイージス艦における洋上での衝突事故は発生しています。
先般発生した、「「いなづま」座礁事故は上層部の許可もなく、勝手に演習を作成して起こした事故ですが、
防衛省が進めている、領域横断作戦と指揮統制において、
相手国の動向だけではなく、自国の艦船の動向も把握しておく必要があると思います。
その時にAIが不審な行動をとる自衛艦を発見して
該当艦への警告と上層部へのレコメンを出来るシステムも必要ではないかと思います。
そして本誌を読んで痛感したのは、
戦闘空域は宇宙、サイバー、空、陸、海と広範囲に広がる中で、
必要となるのは高度なネットワークとセンサーの分散化とJADC2の概念を構築することにより、
少ない資産で有効に活用する事ではないかと思いました。