douce vie

現代アートを中心に、色々と考えた事とかを日々綴っています。主に関西の展覧会の感想なども書いております。

収集・保存・展示

2004-10-03 | 美術
コレクション展Ⅱ  兵庫県立美術館

日本の美術館の多くは外部の企画モノの巡回展ばかりやっていて、宣伝費もそちらにかけているために、独自のコレクションが何なのかはあまり知られていない事が多いように思う。
残念なことだ。
土曜日だと言うのに観客が非常に少なく、監視員の方が明らかに多かった。

<特集展示:横尾忠則の絵画1966-1996>
30年間にわたる横尾忠則の作品40点の展示。
横尾忠則がこんなに絵画を描いていた事自体を知らなかった。
ポスターのデザイナのイメージしかなかったので。
80年から90年にかけて描かれた絵画が迫力があってよかった。
色彩はポップなのにその裏にどろどろとした精神世界が潜んでいる感じ。
技術的には上手いのに、表現に何か人を不安にさせる禍々しさを感じる。
「貝と壼」のうねりは眩暈を起こさせる。
「滝の中の男」の力強さは卑屈にさせる。
「脈絡」のゴシックさには心惹かれる(趣味)。
赤い絵シリーズの「星の子」や「二つの叫び」の暴力的な赤には狂いそうになる。

<アメリカの戦後版画>
ここではジョナス・メカスという人の作品に惹かれた。
ソフトフォーカスで8ミリ映画のワンシーンみたい。
自分の部屋に置きたいと思った。
他にアンディ・ウォーホルやナム・ジュン・パイクなど有名なアーティストの作品もあった。

<日本の戦後美術>
大きな抽象画が多かった。
あまり抽象画は好きではない。
はっきり言ってわからないし、さらにタイトルが「作品」とか「絵画」とかだったら、どうして良いかわからない。
ここの展示の半分以上は個人コレクションを譲り受けたものとの事。
コレクションの基準は「アブストラクトと人間くさい前衛のはざま」らしいのだが、あいにく理解できず。

<近・現代の彫刻>
ここでは新宮晋の「雲」という作品が面白かった。
天井から不織布で作られた大きなモビールみたいなものを吊るしている。
わずかな空気の動きでゆらゆら揺れて回転する。
私には感じられないわずかな風も見逃さない。
まさしく風で形を変えていく雲のようで、魅入ってしまう。

<小企画展 美術の中のかたち「村岡三郎・鼓動する物質」>
受付で荷物を預け、指輪や時計をはずし、ウェットティッシュで手を拭くと作品に触れる。
熱で焼き切った鉄、塩の巨大な塊。
触れる事で何か感じる事があるかと思ったが、正直わからなかった。

<日本の近代美術(洋画、日本画)>
ここには心惹かれる作品はなかった。
近代の日本の洋画なんて、ああ、頑張ったのね、ぐらいにしか思えないので。
金山平三と小磯良平のコレクションも同じような理由で特に心は惹かれなかった。
唯一小磯良平の「斉唱」という9人の少女が合唱の練習をしている風景を描いたものが、高校時代のノスタルジックな気持ちにさせてくれたので、印象に残った。

これだけの作品を500円でほとんど一人でゆっくり観られるなんて、とても贅沢。

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