各チームのエースたちは本気でもアシストの足並みが乱れれば、総合優勝は狙えません。ファンアールトの走り如何では骨折明けのヴィンゲゴーにとっては厳しいものになりそうです。逆に初日から大活躍しているヨナス・アブラハムセンはおそらくノルウェーのオリンピック代表ではないはずです。
ツール連覇中のヴィンゲゴーもオリンピック代表から漏れているのです。デンマーク代表は4人で、エースはマッズ・ピーダスン、アシストとしてマティアス・スケルモース、マディソンにミカエル・モルコフ、チーム・ポガチャルの一員だったミッケル・ビョーグも選ばれているのですが、何故か一番強いヴィンゲゴーが落選とはどういう意図なのでしょう。
現在、総合で2位にいるエヴェネプールもベルギーのオリンピック代表ですが、今回が初参戦となるツールは、彼の中ではオリンピック以上の存在になっているのかもしれません。22歳の若さでアルカンシェルを手にした才能あふれる選手ですが、落車事故が多く、ここまでツールへの出場機会が無かったのです。今回も骨折明けですが、ここまでは順調な走りを見せています。昨年のマイヨヴェールのヤスペル・フィリップセンはリザーブなのですが、調子はイマイチの感じです。
ジロ・デ・イタリアであれだけ活躍を見せたイタリア勢がすっかり影を潜めてしまっています。せっかくのイタリア開催になったというのに、活躍するのはフランス人ばかりが目立っているのです。イタリアはオリンピックではトラック競技に実績があり、フィリッポ・ガンナやジョナサン・ミランというジロで活躍した選手たちがツールには参加せずにパリ五輪に向かいます。
第6ステージも途中横風分断はあったものの、序盤はサイクリングモードでした。逃げもほとんど生まれず、そのままゴールスプリントへ。この日はアルカンシェルにリードアウトされたフィリップセンかと思いきや、ステージ勝利はオランダチャンピオンジャージを着たディラン・フルーネウェーヘンでした。彼もオランダのチャンピオンジャージなのにオリンピック代表ではないのです。2位でゴールしたフィリップセンは斜行により降格となり、2位は繰り上げでギルマエ、3位にガビリアという結果になりました。集団ゴールで総合に動きはありませんでした。
このステージで気になったことがあります。残り80kmの横風区間でエシュロンが出来た時に、ポガチャルも先頭に出てプロトンを牽引していたことでした。ヴィスマはメンバーを揃えているのに対し、ポガチャルは丸裸だったのです。先にも書きましたが、今回のツールのUAEは平坦アシストが少ないことが混乱を生んでしまうことになりました。ほとんどのメンバーが後方の集団に取り残されているのに、ポガチャルが先頭を牽くというのは、他チームにUAEの弱点をさらしてしまう結果になってしまいました。
山岳では強力なアシスト勢も平坦では遅れるとなると、今後もこうした分断作戦を仕掛けてくるチームも増えてくるはずです。今回の件でUAEも修正はしてくるとは思いますが、平坦でのアシストの枚数が少ないことは確かです。アルメイダやポリッツのようにTTに強い選手はいてもスプリンターは不在で、スプリント力が一番あるポガチャルが踏めばアシストが付いていけないのです。アルメイダはポガチャルがステージ優勝した第4ステージではアユソと共に山岳でアシストをしていたので、彼は山岳アシストとしての参加でしょう。
流石に今年のポガチャルは落ち着いていて、一度先頭集団の中を下がって、メンバーを確認しています。かなり無線で怒っていたようですが、今年のツールではここまで平坦ステージでポガチャルの回りにアシストが少ないケースが目立っています。中切れでチーム全体が遅れたわけではなく、ポガチャルはちゃんと前にいたのです。ポガチャルとしてはアシストは後ろにいると確信して先頭を牽いたはず。結果、仲間を置き去りにする結果になってしまったのですから、怒るのも当然でしょう。
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