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CYCLINGFAN!!

自転車をこよなく愛し、自分の脚と熱いハートで幾つになっても、可能な限り、どこまでも走り続けます~♪

ベン・ヒーリーがマイヨジョーヌの快挙

2025-07-15 12:28:46 | ツーリング
 フランス革命記念日が月曜に当たったため10日間連続のレースとなった今年のツール・ド・フランスですが、落車の影響でアルメイダを早々に失い、この日はシヴァコフが不調でグルペット集団へ下がってしまったUAEチーム・エミュレーツは大きな逃げ集団を容認せざるを得なくなってしまいました。

 こうした隙を見せると直ぐに付け入ってくるのがヴィスマ・リアースバイクで、この日もサイモン・イエーツとカンペナールツの2名を逃げに送り込みました。レニー・マルチネスが積極的に山岳ポイントを積み重ねる中で、一時4名を逃げに送り込んだEFエデュケーション・イージーポストが積極的に牽引を始めます。

 最初は1分ほどのタイム差でしたが、UAEの集団からシヴァコフが遅れるとタイム差は徐々に開いて行きました。ソレルとウェレンスが交互に先頭を牽くプロトンに対し、第6ステージを42㎞独走で勝利したベン・ヒーリー、今年のジロのチャンピオン・サイモン・イェーツやアメリカのチャンピオン・クイン・シモンズ、マイケル・ウッズという強力なメンバーにマイケル・ストーラー等も加わり、18名の逃げ集団が出来上がったのです。

 UAEが積極的に牽引しなかったこともあり、タイム差は4分から6分近くにまで徐々に拡大して行きました。逃げ集団でもアタックがあるも、概ねベン・ヒーリーが積極的に前を牽き続けます。獲得標高が4500mを越える中央山塊で前を一人で牽き続けるベン・ヒーリーの熱い走りに感動さえ覚えました。一時はクイン・シモンズが抜け出すシーンもありましたが、慌てることなく追走集団の先頭を一人で牽き続けたヒーリーはバーチャルでマイヨジョーヌになっていたのです。

 最終的に5名にまで絞られた逃げ集団でも決して先頭交代を要求することなく黙々と先頭で踏み続けたヒーリーはステージ優勝ではなくマイヨジョーヌを狙っていたようです。勿論、UAEが脚を緩めた結果ではありますが、あのポガチャルからマイヨジョーヌを奪い取ったのですから驚きです。

 今年のジロ・デ・イタリアではカラパスがマリアローザまであと一歩のところまで行きましたが、一度もリーダーになることなく総合3位で終えていました。そのカラパスが体調不良で急遽欠場になり繰り上げでリーダーとなっていたのがヒーリーでした。そのヒーリーがcannondaleのSupersix EVOで厳しい中央山塊をステージ3位で走り抜きマイヨジョーヌを獲得したのです。第11ステージはイエローにペイントされたSupersix EVOが見られるはずです。

 おそらくEFがスポンサーになってからはマイヨジョーヌ獲得は初めてではないでしょうか?昨年はカラパスがマイヨ・アポア(山岳賞)を獲得していますが、あのカラパスでさえマイヨジョーヌ獲得はありません。勿論、ポガチャルやヴィンゲゴーといった強力な選手がいるので、何日マイヨジョーヌが維持出来るかが最大の関心事です。この日も後続でポガチャルとヴィンゲゴーの本格的なバトルが始まっていたら、ヒーリーのマイヨジョーヌは無かったはずです。
 




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マイヨジョーヌの行方:2025(3)

2025-07-12 13:43:02 | ツール・ド・フランス
 最後に3級山岳にカテゴライズされたミュール・ド・ブルターニュ(距離2km/平均6.9%)を2度登る第7ステージは、21年の覇者マチュー・ファンデルプールの優勝も予想されていましたが、やはり、前日の走りから疲労がかなり蓄積していて、ワンデーレースのような走りは難しかったようです。

 この日はアルペシンの牽引にUAEのニルス・ポリッツも加わり集団を見事にコントールし、逃げの5名とのタイム差を1分半ほどに抑えていました。スタート直後はワウト・ファンアールトが逃げに出たヴィスマもその後は特殊な動きは見せず、1度目のミュール・ド・ブルターニュを越えた時点で先頭集団は30名ほどに絞られていました。ただ、2度目の登りへ向かうなんでもない平坦路で大きな落車起こり、UAEは好調のアルメイダを失うことになってしまいました。

 大きく数を減らした先頭集団は最後の3級山岳ミュール・ド・ブルターニュに、UAEのハイペース牽引で突入します。各チームのアシストによって集団先頭が目まぐるしく変わるなか、ここまで粘ったファンデルプールが遅れて行きました。そしてティム・ウェレンスの牽引から、残り1.7kmでポガチャルが前に出たものの様子見でした。ポガチャルの背後にヴィンゲゴーが付き、同じく反応したレムコ・エヴェネプールは静かに先頭に立ちます。ゴールスプリントに向けた総合勢の心理戦の開始でした。

 ここで、後ろからナルバエスが先頭に出てくれたのが大きく、ポガチャルは後ろを十分に確認しながらアタックのタイミングを見計らうことが出来たようです。残り200mで腰を上げたポガチャルがスプリントを開始すると付いて行けたのはヴィンゲゴーだけでした。ただ、そのヴィンゲゴーもポガチャルを交わすことが出来ず、ポガチャルが2度目のステージ優勝で再度マイヨジョーヌを獲得します。

 今日のステージは平坦なのでポガチャルはマイヨジョーヌを守りつつ、本格的な山岳ステージが始まる2週目へと突入していくはずです。アルメイダの落車の影響が気になりますが、ウェレンスやナルバエスの調子が良さそうなので、ポガチャルのマイヨジョーヌは不動のものになるかもしれません。ただ、ここまでも奇襲に近い戦術を見せているヴィスマが積極的に攻撃を仕掛けて来るはずです。この日はジロ組のワウトやサイモンも牽引に加わっていましたので、この二人が調子を上げて来ると、アルメイダの落車の影響は少なくないかもしれません。

 ただ、既にヴィンゲゴーとのタイム差は1分以上あるので、UAEとポガチャルは守りに徹することが可能です。ヴィンゲゴーをマークし続ければ良いので、気持ち的には楽なはず。問題はヨルゲンソンが動いた場合でしょう。これまではヨルゲンソンの攻撃にはアルメイダが対応していたのですが、それが出来なくなるとポガチャル自ら動くことになります。それで、アルメイダ不在のドゥフィネも勝っているので、あまり心配する必要はないかもしれません。
 




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ベン・ヒーリーがツール初勝利

2025-07-11 14:31:14 | ツーリング
 前日のTT後のステージで、しかも獲得標高が3500mを越える難コースとなった第6ステージは前日余裕を残している選手たちによる逃げが予想されました。ただ、前半は平均速度が40㎞/h後半という超ハイペースが続き、なかなか逃げが決まらないという展開になっていました。

 逃げを狙ったメンバーが強力でマチュー・ファンデルプールを筆頭にクイン・シモンズやベン・ヒーリー、マイケル・ストーラー、エディ・ダンバー、アロルド・テハダ、サイモン・イェーツとあってはプロトンも簡単に逃げを容認出来なかったからでしょう。

 この日は前半から積極的に動いていたヴィスマが逃げにサイモンを乗せると、プロトンはようやく落ち着き、UAEのコントロール下に入ります。そこからは徐々にタイム差が開いて行きました。ただ、逃げに乗るマチューとマイヨジョーヌのポガチャルとのタイム差は1分28秒しかありませんから、UAEはマイヨジョーヌを一旦手放す選択をしていたようです。

 マイヨジョーヌ集団から5分以上のタイム差を得た強力な逃げ集団からEFのベン・ヒーリーがアタック。残り距離は42.5㎞もあったのですが、そこからはヒリーの独壇場でした。ツール直前にエースのリチャル・カラパスが体調不良で欠場という知らせに暗い気持ちになっていたのですが、替わりにエースを担ったヒリーのこの走りはcannondaleのバイクに乗る身としては嬉しい限りでした。

 昨年はパッとしなかったヒリーですが、今季はストラーデビアンケで4位、イツリア・バスクカントリーでもステージ優勝し、フレーシュ・ワロンヌ5位、リエージュ・バストーニュ・リエージュは3位と好調さを見せていたのです。この日のステージも丘陵コースながら獲得標高が3500m以上とまさにアルデンヌクラシックさながらの厳しさでした。そのステージを序盤から積極的に逃げを作り、最後まで脚を緩めることなく、後続に2分44秒という大差を付けて逃げ切ったのですから凄いの一言です。

 グランツールでの逃げは原則的にプロトンが容認することで生まれるものですが、このステージの逃げはヒリーたちが自らの力で勝ち取った逃げでした。ポガチャルの世界選手権での100㎞超からのアタックやストラーデビアンケの81㎞独走ほどではありませんが、今季ミラノ~サンレモとパリ~ルーベの覇者ファンデルプールやマリアローザを獲得しているサイモン・イエーツといった強力なメンバーから飛び出し、40㎞超の独走を決めたヒーリーの独走力も並みのものではありません。

 流石にモニュメントでポガチャルやマチュー相手では分が悪いものの、今日のような起伏のあるステージで逃がしてもらえればまだまだ勝利数は増やせる選手でしょう。髭面で老けて見えますがまだ24歳と若い選手なのです。昨年のカラパスのようなクライマーでは無いのですが、小柄で軽量な選手なので、ツールでのTOP10入りも視野に入って来ました。

 サーベロが最新型のS5をコルナゴも最新エアロロードのT1Rsを投入する中、ヒリーが乗る第4世代のSupersix EVOは3年前のモデルですが、これら最新エアロロードと比較しても全く見劣りしていないように見えます。勿論、総合優勝争いでは選手の力の差は歴然なので、ジロのように総合表彰台は難しいと思います。ただ、ワールドランクが30位代の選手がモニュメントの表彰台に加えグランツールのステージ優勝までしてしまうのは凄いことなのです。資金力の無いEFですから、先々有力チームから引き抜かれてしまうことも心配になってしまう活躍でした。

 一方で総合を争うUAEとヴィスマの間でも火花が散っていたようです。サイモン・イエーツを逃げに乗せたヴィスマに対し、UAEはほぼポリッツの一人牽きで対応していました。当然、タイム差はどんどん開いて行きました。ポガチャルがマイヨジョーヌを手放す判断をしたと察したヴィスマは、最後はかなりペースを上げ、最終的にはポガチャルがマイヨジョーヌを着続けるまでのタイム差にまで詰めて来ていました。

 最後はプロトンの先頭をポガチャルが取り、ヴィスマの作戦が見事に嵌ったかに見えましたが、わずか1秒差でマチューにマイヨジョーヌが移るという結果になっていたのです。この1秒をポガチャルが計算していたとはとても思えませんので、あわやの所で踏みとどまったという結果になりました。この集団の先頭にはUAEはポガチャル一人でしたからヴィスマの激しい攻撃があったのかのかもしれません。ただ、そこはポガチャルは一人でも慌てる素振りを見せずに集団の先頭でゴールしています。

 ヴィスマとしては何とかポガチャルにマイヨジョーヌを着せ、アシストの脚を削る作戦に出た訳ですが不発に終わってしまいました。チーム総合では首位にいるヴィスマですから、チーム力は確かなのですが、ポガチャルが相手だと思うように作戦を成功させられないのでしょう。

 マチューがマイヨジョーヌを再度着用することになり、集団コントロールはアルペシンへ移ることになりますが、UAEとしては大歓迎でしょう。アルペシンにはシルヴァン・ディリエという牽引のスペシャリストがいるのですから。ただ、タイム差がわずか1秒なので、今夜の結果次第で再びマイヨジョーヌがポガチャルに移る可能性もあります。ただ、今夜のミュール・ド・ブルターニュ(距離2km/平均6.9%)は2021年にマチューが征し初のマイヨジョーヌを獲得した舞台なので、マチューは間違いなく動くはずです。

 ただ、昨日の走りを見る限りかなり疲れているような感じなので、総合争いが始まるとマイヨジョーヌキープは難しくなるかもしれません。マチューがグランツールであまり勝てていないのは、フィリップセンのアシストをするケースが多いせいだと思っていましたが、意外と回復に時間がかかるタイプなのかもしれません。第2ステージではスプリント勝負でポガチャル以下を抑えていたのに、第4ステージでは同じような状況からスプリントでポガチャルに敗れているのです。この日も逃げ続けてゴールスプリントならマチューに分があったので、ヒーリーが早目に仕掛けたはずです。

 サラ脚で臨めるワンデーレースとは違い、日々の疲労が蓄積して行くステージレースでは高い回復力が求められます。ポガチャルやヴィンゲゴーはその能力にたけているのです。特にポガチャルの回復力の高さは有名です。ワンデーレースでは厚い壁となるマチューもステージレースではポガチャルにスプリントで負けるのはそのためでしょう。
 




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TTでのヴィンゲゴーの敗因を考える

2025-07-10 14:21:03 | ツーリング
 今年のツール・ド・フランスは第5ステージの個人TTを終え、UAEチーム・エミュレーツのタディ・ポガチャルがマイヨジョーヌと共に3枚のジャージを独占するという状況になっています。前日のステージ優勝でマイヨジョーヌのマチュー・ファンデルプールとタイム差無しの総合2位だったポガチャルが33㎞の個人TTでも2位に入り堂々のマイヨジョーヌ獲得となりました。

 優勝したのは予想通りTT王者のレムコ・エヴェプール。唯一平均速度54㎞/hというとてつもないスピードで完勝でした。2位は前哨戦のドゥフィネで苦戦していたTTで、レムコから16秒遅れの2位でフィニッシュ。ドゥフィネのTTは一体何が原因だったのかは不明のままです。

 ポガチャルが好走を見せたのに反し、ヨナス・ヴィンゲゴーが大きくタイムを失ったのは予想外でした。個人的にはヴィンゲゴーが今年から使用を始めてたショートクランクにあるのではと個人的には考えています。今年の初戦だったヴォルタ・アオ・アルガルベのTTで150㎜のショートクランクを使用していたことが明らかになったヴィンゲゴーでしたが、今回のツールではフロントチェーンリング64Tを使い失速しているのです。

 おそらくこのチェーンリングはレムコを意識したもので、実際にドゥフィネでは素晴らしい走りでレムコの2位という結果でした。ただ、今回距離が2倍に延びたことと市街地発着が大きく影響したのではと考えています。ショートクランクは一度周り始めると高いケイデンスを維持できるメリットがある反面、踏み出しが重く、スピードの上げ下げ時にパワーが必要というデメリットがあるのです。ショートクランクとビッグギアの組み合わせは決してプラストはいえないと考えています。

 個人的にも今年170㎜から160㎜へと10㎜クランク長を短くしましたが、確かに良く脚は回るのですが、スタート時の踏み込みにパワーが必要になっています。170㎜の時よりリアを1枚軽くしないと立ち上がりが厳しくなっているのです。この状況でフロントチェーンリングが64Tというビッグギアなら尚更でしょう。ポガチャルは165㎜のクランクにチェーンリングは62Tでした。それでもヴィンゲゴーよりも圧倒的に速かったのです。ヴィンゲゴーもポガチャル同様パワーをケイデンスで生み出すタイプですが、流石に150㎜は短過ぎるのではと考えていました。

 レムコもフロントは64Tですが、クランク長は165㎜のはずです。レムコは身長が168㎝と小柄なので165㎜はショートクランクとはいえないのです。レムコは空力モンスターで、空気抵抗が小さいため、同じパワーでも他の選手より速く走ることが出来るのです。あの小柄な体格で64Tのギアが回せるのですから脚力もあるのですが、決してスプリンターのような莫大なパワーがある訳ではないのです。

 大きくタイムを失ったヴィンゲゴーはマイヨジョーヌが一機に遠のいてしまいました。チーム力もあり、前日はとてもアグレッシブな走りを見せていただけに残念です。多くの人はヴィンゲゴーのバッドデイだったとみているようですが、私は機材選択ミスが大きかったと見ているのです。ひょっとするとポガチャルもドゥフィネで何かを試していたのかもしれません。ヴィンゲゴーは昨オフから筋トレを増やしているという噂がありましたが、ショートクランクを使用することを念頭にしたトレーニングだったのかもしれませんが、流石に150㎜というのは短過ぎたのでしょう。

 個人的にもショートクランクに魅力を感じ、第4世代のSupersix EVOに160㎜のクランクを採用しましたが、結果的に変速にストレスが増えDi2化する結果になってしまいました。ポガチャルのように能力が高く、ハイケイデンスを維持できる選手にはメリットが大きいショートクランクですが、デメリットもあることは知っておいて損はないと思います。ポガチャルはショートクランクといっても彼の慎重にしては若干短い程度のもので、ヴィンゲゴーの150㎜とは意味が違うのです。ポガチャルは自分の走りに一番適したクラン長が165㎜なのに対し、ヴィンゲゴーは明らかに無理な設定に身体を併せようとした結果ではないかと考えているところです。
 まだ、登りのTTが残っていますが、こちらは距離が短いのでポガチャルが有利と見ています。おそらく、ここからはUAEの独壇場となり、ポガチャルが最終日までマイヨジョーヌを着続ける可能性が高くなったようです。残るのは評者台争いになってしまうのかも知れません。
 




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ポガチャルが通算100勝

2025-07-09 11:35:25 | ツール・ド・フランス
 今年のドゥフィネで99勝目を挙げていたポガチャルが、宣言通りツール本番で100勝という偉大な記録を達成しました。この日の第4ステージはノルマンディーの4つの丘を最後に超えるクラシックレースのようなステージでしたが、最後の3級ランプ・サン・ティレールの丘の勾配は予想以上に厳しく、アタックしたポガチャルが腰を上げるほどでした。

 ただ、このステージで最初に攻撃をしたのはヴィスマ・リアースバイクでした。2番目の丘で逃げるレニー・マルティネスを捉えた後、UAEが主導権を握り3つ目の4級をマイヨアポアのウェレンスが先頭で通過した後の下りからヴィスマが先頭に出て、今季ロットから移籍したカンペナールツが強力な牽引を始めます。おそらくポガチャルのアタック封じだったと思いますが、相手がUAEじゃなければ成功していたはずです。
 最後の3級の登り口までの4㎞をカンペナールツ一人で牽ききり、ライバルたちの脚を削りに出たのですが、そこはワールドランク1位のUAEは落ち着いて対応します。最後の3級で主導権を奪い返したUAEはナルバエスから今季絶好調のアルメイダへとアシストを引き継ぎポガチャルを発射します。腰を上げてペースを上げるポガチャルに付いていけたのはヴィンゲゴーのみでした。ただ、それまでのペースが速かったからか頂上付近でポガチャルが踏み止めます。

 下りで一度は離されたマイヨジョーヌのマチューやレムコ等が追いつきます。フラムルージュ手前からヨルゲンソンが仕掛けますが、これをアルメイダが抑えに出て、ゴール前まで先頭を牽引します。早目にアタックしたマチューを後ろからポガチャルが見事に差し切るという激しいバトルがあり、第2ステージのリベンジをポガチャルが果たすという結果になりました。
 最後の3級の登坂で後続を引き離せなかったポガチャルですが、そこは落ち着いて、アシストを待ち脚を残しながら最後のスプリントにかけるという判断が出来るのがポガチャルの凄いところでしょう。流石のマチューも最後の3級の厳しい登りと、追走に脚を使ったマチューには第2ステージのような余裕がありませんでした。

 チームとしてもマチューは一人、ポガチャルとヴィンゲゴーはアシストを最後まで残していたのが大きかったと見ています。ミラノ~サンレモでもこうした展開に持ち込めればマチューに勝てるかもしれないと思わせるレースとなりました。それにしてもアルカンシェルを着てツールで100勝というのは凄いことだと思います。これを見越して前日にマイヨアポアをウェレンスに譲ったと考えるのは穿ち過ぎでしょうか?

 この勝利でツール通算18勝目でカヴェンディッシュの35勝の半分ですが、26歳のポガチャルが後3~4年順調に走ることができれば、ツールの最多勝を塗り替える可能性もゼロではありません。生涯の勝利数はメルクスを上回ることは無理ですが、3大グランツール全制覇やルーツの5勝クラブ入り、モニュメントの全制覇などは時間の問題でしょう。

 今夜は間違いなくマイヨジョーヌが動く33㎞の個人TTです。前哨戦のドゥフィネのTTは17.4㎞とおおよそ半分の距離でしたが、レムコがポガチャルに付けたタイム差は48秒、ヴィンゲゴーも28秒先着しているので、倍の距離を考えれば58秒差のレムコの逆転マイヨジョーヌも可能でしょう。ただ、登りでの力を考えると、気になるのがヴィンゲゴーとのタイム差になります。

 決してTTが苦手としていないポガチャルのドゥフィネのTTの敗因は不明です。チームとしての対応が必要とコメントしていたので、何か機材面での問題があったのかもしれません。今年のUAEチーム・エミュレーツはTTで結果を残せていないので、バイクの問題かもしれません。ただ、ここでヴィンゲゴーと大きなタイム差が付いてしまうと、今後のレースが難しくなると見ています。今年のヴィンゲゴーは登れているので、昨年ような山岳でのポガチャルの優位性はないかもしれないからです。
 




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