金山のまぼろし

全力で生きる!!

91 無断欠勤(後編)

2021-05-08 00:03:00 | 幻の走り屋奮闘記エピソード2
 
 
・・・
 
 

拓海だって似たようなものじゃない、か‥。

 
 
拓海だって、いつもボーッとしている‥。
 
 
拓海がなんでもできる高橋涼介みたいなキャラクターだったら物語は面白くない。
 
イツキは何もできないキャラだけど、面白さがある。
 
池谷先輩は走りが下手だけど熱さがある。
 
 
だから頭文字Dは面白いのだ。
登場人物が全員高橋涼介だけだったら面白くないはずだ。
 
 
今の僕は、自分が望んだ能力は開花できないかもしれないけれど、元から持っている能力が絶対にどこかにあるはずだ。
 
 
得意な能力が高い場合は、その隣の能力は低いのかもしれない。
 
 
僕が普通の人で会社員生活も普通にできるなら能力は普通なはずだ。
でも、僕にとってはそれは苦しく難しいから、その分普通に生活できない代わりに大きく秀でた能力が絶対に何かあるはずだ。
 
ボディビル理論も構築できたと思っているが、その他にもまだ生きる為に発達できる能力はあるはずだ。
 
 
別に会社なんて世の中に無数にある。
わざわざ嫌な所に「仕事が好きです」みたいな感じで通勤しなくてもいいと思う。
 
鉄の扉制作会社で鉄の扉を作るのが好きな人やあの工場内が嫌いじゃない人があそこで仕事をすればいいんだ。
 
鉄の扉制作会社の社長はのほほんとしているが、話を聞くと熱中して鉄製品を昔作りまくっていたそうだ。
だから、社長の周りに人が集まり会社となったんだと思う。
 
 
鉄の扉制作会社の月一の大きめの朝会では先輩のおじさんから「坂本君はいつもお昼休みは食べ終わったら直ぐに愛車に行ってるけど、みんなの輪に混ざってみたら楽しいんじゃないかな?」と言われたことがあったが、善意で言ってくれたと思ってるけど、大きなお世話だ。
 
みんなで集まって話するのが嫌いなんじゃい!
 
 
合わせようとしても無理過ぎることは合わせなくていい。
 
僕のことは好きに言え。
 
 
 
そんな事を綺麗な山道を登って考えていた。
 
周りの緑の草木に癒される。
 
僕は意外と自然が好きなので癒されているのだろうか?
 
 
 
登り切ったら広々していて所々石垣がお城の土台みたいに積まれていた。
 
太田市の東側全土見渡せるような開けた場所のベンチに腰掛けてしばらく綺麗な景色を眺めていた。
 
 
辞めたっていいじゃん。
 
せっかくお金が貯まり始めていたのに、時給のいい溶接の仕事は僕には合わないみたいだ。
 
母親が「辞めずに続けろ」と言ってくると思うけど、続けるのは無理だな、と思った。
世の中の犯罪者というのは、たぶんこの状況でも嫌で辞めたい仕事を辞めずに続けた結果、ストレスの塊が鬼になってサタンとなる人なのかもしれない。
 
 
 
僕は犯罪者にならないために、今の仕事を辞める!
 
 
正しい理屈だ!
 
 
そもそも学校だって、いきなり「学校へ行け。そして5教科を基本にして勉強しろ。」と言われただけで、僕から「学校に行かせてください」と言った覚えはない。
思い返せば保育園の時「保育園には行きたくない」と毎朝泣きじゃくっていたな。
 
努力して苦労して勉強した人には悪いが、勉強が簡単に出来れば学校に行きたくなるし、友達に会いたかったりお遊戯が好きなら保育園や幼稚園に行きたがる。
ただ、それだけなのだ。
 
 
まぁ「会社に行きたくないもーん」だけで済まないけれど、嫌いな会社にわざわざ勤めなければいいだけのことだ。
 
 
金山の神様に助けられた気がした。
 
 
今回のことは衝動的に動いてしまったが、精神の限界だったから仕方ない。
 
 

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