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遺伝子組み換え作物が安全なわけがない

2011-06-22 22:21:02 | 社会全般

今日は夏至。日本各地は真夏日・猛暑日に見舞われました。皆さん、大丈夫でしたか?

そんな中、昨日(21日)に、農林水産省による「遺伝子組換えセイヨウナタネ、トウモロコシ及びワタの第一種使用等に関する承認に先立っての意見・情報の募集(パブリックコメント)について」の公募が締め切られました。

僕はこのことを武術研究家の甲野善紀さんのTwitterで告知早々に知ったのですが、日々に追われてずっと忘却していました。でも、最終日の昨日、マイミクさんが紹介されていた記事を読んで「あ、そうだった!」と思い出し、直ぐに意見書を書き送りました。

甲野さんのツイッターを読んだ時に、忘れずにこのブログでも取り上げておけば、もっと多くの人の目に留まったかもしれないのにと後悔しています。

僕の実家は、かつては兼業農家でしたが、今は父親が病気でリタイヤしたために専業農家になっています。で、祖先からの土地はあるのですが、両親と自分しかいないため、米と季節の野菜を小規模で作っている程度です。(といっても、僕は昔から放蕩息子で、あまり貢献できてはきませんでしたが)

収入の半分以上は、農協や店売りする際の仲介料、種代や肥料、諸々の経費(除草剤や資材や機械のメンテナンス等)で消えていき、夜中までかかって作業してやっと運んだ市場での売り上げも微々たるものです。

今回のこと農水省による公募は、実際のところ、ほとんどの農家は知らないと思います。たまたま僕は甲野さんのTwitterやマイミクさんとの縁があって知ることができましたが、個人的にネットを使うだけの人だったら、まず触れることのない情報です。事実、うちの両親は全く知りませんでした。

そもそも一般的な農家の大半はインターネットどころか、農業簿記のためのPC入力すらまともに出来ない人が多いっていうのに。(この農業簿記ソフト導入の件も、僕は農協に文句タラタラなんだけど)

無論、こうした情報が農協や市場などを通じて入ってくることもなく、生産者である私たちは、いつの間にか効力を持った法律と、それに従い有無を言わさず要求してくる側の思惑に飲み込まれてしまいます。

このたびのパブリックコメント募集ではトウモロコシも含まれていますが、我が家の畑でも、家庭菜園程度の小規模ですが作っています。

もちろん、種を埋めて放っておけば、あのキレイな黄色の粒のトウモロコシができるわけもなく、虫や鳥、強すぎる除草剤や消毒の影響、土の状態、折れ(重さもあるし背が高いので倒れることがある)など、なかなか大変です。虫食いのない豊かに張りのあるトウモロコシを一本作ることがいかに難しいか。

確かに、遺伝子組み換えによって虫や雑草に負けないものになるかもしれない。でも、それは自然を舐めてると思います。虫や草だって進化する。その時は死滅させたり振り払えるかもしれませんが、やがて指定の除草剤や除虫液などでは効かなくなるものが出てくるに決まってます。

そうして、いたちごっこをしている間に、今度は周辺の土や、近くで作っている他の野菜にまで影響を与えてしまう。それは風で農薬や防虫剤や除草剤などが意図しない場所へ飛び散ってしまったり、花粉に乗って運ばれていってしまうからです。

あるいは、虫や蜂や鳥やモグラなどが運んでいくこともあるだろうし、それらの体内に異変を起こす恐れもあります。つまり、関連する生態系が崩れてしまう。

それに、遺伝子組み換えの種ならば、一般的に買える除草剤や除虫液などは効かないでしょうから、必然的に効果を認定された会社のものを使わざるを得なくなる。まさに企業戦略、独占と言わずして何と言うのか・・・

また、厄介なことに、他の人の田畑にまで伝染してしまう可能性もある。これは非常に危惧すべき問題です。誰もが会社や研究所でやるような大規模農業をしているわけじゃない。多くの農家は、人が通るのがやっとの細い畦道で区切られているだけの小さな土地で、他の人の田畑に気を配りながら農作業をしているんだから。

自分ところの田んぼに水を引くために堰を切り替えなきゃならないのだけど、それをしているところを見つかると口論になることだってある。我田引水というやつです。

遺伝子組み換えの作物が使われるようになったら、農作業が楽になるか? もっと農家の収入が増えるか? 農業に従事したいと思う人が増えるか? 食の安全性が高まるか? 食料問題の解決の決め手になるか? ――残念ながら、どれもNoだと思います。

そもそも、食の安全性一つとっても、誰が遺伝子組み換え食品を食べたいと思うでしょうか。
子供が手を伸ばすスナックや、毎日の食卓にあがる食品がそうしたモノに取って代わられていったら、一体どれだけ不気味な世の中になるでしょうか。

どこの専門家や学識経験者が検査して「無害です。人体への影響はありません」等と判断したかは知りませんが、そんな言葉を真に受けて、「じゃあ、喜んで貴社の種や商品を使います」なんて言う農家が出てくるとは到底思えません。

法で規制されて、渋々あるいは無理強いされて仕方なく従うしかなくなり、その内に、「こんな農業やってるのは嫌だ」と辞めてしまう人が続出するんじゃないかと不安です。また、インドでのニュースのように、権利を主張する会社との問題で自殺にまで追い込まれる人が出やしないか気がかりです。

今頃になって、「今の社会は生産者と消費者が切り離されている」と言うマスコミが出てきましたが、遅すぎます。もっと早くからその視点に気が付いていれば、遺伝子組み換えに頼ろうなんていう動きそのものを阻むことさえできたかもしれない。

食料自給率の低い日本において、農業に従事する人(生産者)の存在が、いかに貴重かを認識している人は少ない。それにもかかわらず、大抵の生産者はその価値や労力に見合っただけの恩沢を得ているとは言いがたいのが現状だと思います。

農業で十分な生活費を稼ぐことは、正直、容易なことではありません。
冒頭にも書いたように、完全直売するならともかく、普通は作った分だけ素直に売れるというわけでもなく、仲介する人達の手に相当の金額を持っていかれます。

さらに土日祝日も関係なく、天候を気にし、畑の状態を案じ・・・。基本的に年中無休の仕事です。友達と遊びに行きたくても、財布と相談するよりも前に、自然や作物と相談しなくてはなりません。

人は、魅力を感じるものに惹かれ、それを求める生き物です。
だから、農業に魅力がなくなれば人はどんどん離れていきます。それは当然の帰結です。

もし、ここで遺伝子組み換え作物が日本に入り込んできてしまったら、新たな問題に悩み苦しむ農家が頻出することは疑いようがありません。金銭的にも、今より辛くなるようにも思えます。

その上、自分が作った農作物について、それを食べた人の健康が害されているかもしれないと考えるのは、とても耐えられるものではありません。そうなれば、自虐や良心の呵責により農業を諦めてしまうことにもなりかねません。そして、先祖代々受け継いできた土地を売ってしまったり、マンションやアパートに託してしまったりして、さらに生産者が減っていく・・・

これは明らかに、国としては間違った方向性のはずです。

遺伝子組み換え作物の生産過程で、その該当作物だけでなく、他の生態系への影響もろくに考慮されていない現状で、しかも人間への害悪の真相も定かではない状態で、こうした法律が国内で整えられようとしているのは、一農家としても、一国民としても、とても受け入れられるものではありません。

東日本大震災のドサクサに紛れて密かに法整備がなされようとしていること、どうして是認できるでしょうか?

どうか皆さんも、この問題に対して目を開いていて下さい。
でないと、自分の家族や友達が、そうした遺伝子組み換え食品を知らず知らずに摂取してしまうような日が来てしまいます。放射線物質の体内被曝と同じように、遺伝子組み換え作物を食べることで予期しない害悪にさらされる危険性を否定できません。

こうした遺伝子組み換え食品の流れを阻止できなければ、日本の農業事情は今以上の憂いを抱え込むことになるだろうと思います。

今日は、いつになく過激な内容だったかもしれません。

でも、人体を構成する食物の安全が脅かされているだけでなく、遺伝子組み換え作物による自然環境への影響も把握しきれていない中で、既得権益を得ている関連企業や一部の人達のために善良な国民が犠牲になることはないのです。目先のメリットにとらわれて、人としてのあり方をすっかり忘れてしまっては、生きる本質そのものさえ見失ってしまいます。

原発問題では、事故が起きて放射線被曝の恐怖が迫ってきたことで、人々は「もう原発はいらない」と目覚めてきました。しかし、どんなに悔やんでも起きてしまった事故を取り消すことはできません。

一方、幸いにしてと言うべきか、この遺伝子組み換え食品の問題については、まだ法整備の段階です。今、僕らがハッキリと望んでいないことを伝えれば、流れが変わるかもしれません。

僕は、昭和初期以前のような農法に戻ったほうがいいかまでは分かりませんが(というのは、その時代のことを良く知らないので)、少なくとも現代的農法や食のあり方は是正されるべきだと思っています。

そうしたことを皆さんに考えていただけるキッカケになれば、この記事を書いた意味も出てくるんじゃないかなと考えています。長々と書きましたが、読んで下さった方に感謝します。

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