Cabin Pressure(脚本:ジョン・フィネモア 出演:ベネディクト・カンバーバッチ他)

イギリスBBCのラジオ・コメディ CABIN PRESSURE について語ります。

JFSP S1-3(前)

2013-12-26 06:47:44 | 日記
前回ご紹介しました、12月24日のFinnemore氏からのクリスマス・プレゼント、
BBCラジオ4のコメディ・アドベント・カレンダー、お聞きいただけました?
まだの方は、ここから先の数行は、聞いたあとにご覧くださいね。
なぜかというと、、

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そうなんです! アーサーが登場するのだ!
彼にとって、今年もきっと、Best Christmas Everになったことでしょう♪

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聞き逃してしまった方、これから聞こうという方は、
こちらをどうぞ。
全てのエピソードを、今日から7日間、視聴できます。



そして、以下は、JFSP(John Finnemore's Souvenir Programme)のシリーズ1、
エピソード3の拙訳です。

個人的にも大好きなこのエピソード。
特に最後の「Well!」から始まるお話が絶品!!

こちらも、聞いた後にご覧くださいませ。

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なお、軍裁判所のお話のもとになっているのは、古い船頭歌
“What shall we do with the drunken sailor”です。


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ルーク:おい、どうだった?
ジョン:うん、ひどくはないと思うよ。とりあえず全部答えを書いたし。きみのほうは?
ルーク:なんとかね。最後のは勘でやっつけたけど、他は大丈夫だと思う。問2にはなんて書いた?
ジョン:摩擦係数の問題かい?僕は垂直効力から解こうと思って、w=0.2t/x^10とか書いたけど、でもtを置き換えてxを割り出したほうがよかったかもしれないな。きみはなんて書いた?
ルーク:6。
ジョン:6?
ルーク:うん。
ジョン:6のなに?
ルーク:ただの6だよ。数字の6。
ジョン:そう、、オーケイ。で、どうしてそう答えたの?
ルーク:どうしてって、答えは6だと思ったんだ。はっきりした理由は忘れちゃったけど、でも絶対だと考えたんだ。きみのその、垂直なんとかってのは自信あるの?
ジョン:自信はないけどさ。そうだ、リジーに聞こう。リジー!
リジー:なに?
ジョン:問2にはなんて書いた?
リジー:問2?待ってね、、あ、そうだ、アシカの絵を描いたわ。
ジョン:ほんとに?
リジー:ええ、ちっちゃな帽子をかぶったアシカの絵。どうして?あなたたちはなにを書いたの?
ジョン:その、、僕たちは違うことを書いてて。でも帽子をかぶったアシカじゃないよ。その問題って円錐と飛行機の摩擦係数のことじゃないよね?
リジー:その答えがちっちゃな帽子をかぶったアシカでしょ?
ジョン:違うと思う。
リジー:私の間違いかしら。でもスティーヴにも聞いてみましょう。スティーヴ?
スティーヴ:なんだい?
リジー:問2。なんて答えた?
スティーヴ:問2か。ああ、帽子をかぶったアシカ。
リジー:ちっちゃい帽子?
スティーヴ:普通サイズ。
リジー:でも、アシカにしては小さいでしょ?
スティーヴ:ああ、うん。
リジー:よかった。私も同じ。
ジョン:で、でも。その、僕はtとxを使ったwの複雑な計算式を書いて、ルークは6って書いたんだ。
ルーク:うん。帽子にね。
ジョン:え?
ルーク:当然、きみも帽子をかぶったアシカを描いたと思ってたよ。帽子になんて書いたのか聞いたんじゃないの?
スティーヴ:帽子に6。うん、その通りだ。
ジョン:で、でも、こんなのおかしいよ。あるいは、、そうだ!
ルーク:なに?
ジョン:あるいは、これは全部夢で、僕は試験を受けてるんじゃないんだ。実際、僕は43歳で、明日プレゼンをしなきゃいけないのに、準備できてないから心配なんだ。
スティーヴ:いいや、これは現実だよ。
リジー:帽子をかぶったアシカを描いてないなんて信じられない!



案内人:やあ、こんにちは。ようこそ、ここがタジキスタン・ヒルトン。ユキヒョウのメッカ!って期待したいところですね。洞窟が1つ、男2人、寝袋が2つ、カメラが1つ。まあ、これを入れれば2つですがね。あと我々に必要なのは、大きくて白い猫ちゃんだけ。こちらにいらっしゃるのは我らが善き博士、ドクター・ジョナサン・コリフォード、もちろんオックスフォード大学のね!
博士:やあ、はじめまして。
案内人:私たちが最初に会ったのは、えっと、5時間前でしたね?
博士:ええ、そのくらいです。でもこれからお互いを知る時間はたっぷりあります。
案内人:はい。6か月もね!その頃にはかみさんよりもよくお互いのことを知ってるはずですよ。
博士:ええ。僕は独身ですが。
案内人:ほう、そうですか。その辺も詳しく知ることになるでしょうね。それでは、ユキヒョウを満喫してください。さよなら!
博士:さて、と。
カメラマン:うん。
博士:こういうのもいいですよね?ラジオもTVもない。一日中、あの山々を観察するだけで、それに、おしゃべりと。
カメラマン:確かにその通り。
博士:それで、その、まずはじめに、、あなたがユキヒョウに興味を持つことになったきっかけは?
カメラマン:俺かい?俺はケモノには興味ないんだ、あいにくね。でもカメラマンとしては、大きな野生動物を撮るってのは、結構面白そうだから。で、きみはユキヒョウのファンかい?
博士:ええ、そうとも言えますね、きっと。人生のほとんどをユキヒョウの研究に捧げているから。だから答えはイエスです。
カメラマン:なるほど。それは感服だな。
博士:僕こそあなたを尊敬しますよ。
カメラマン:そりゃいい。ちょっとした相互信頼関係が築けたね。
博士:うん、確かに。
カメラマン:それで、きみのクラブはどこ?
博士:ああ、実は探検クラブで。もちろん、自分のことを探検家だと思ったことはないけれど、
カメラマン:いや、サッカーだよ。どのクラブを応援してる?
博士:ああ、そうか、それは失礼。あいにくサッカーは詳しくなくて。
カメラマン:なるほど。
博士:でもクリケットは、クリケットは大ファンでね。でも、きみはその、
カメラマン:うん、よく知らないな。料理は好きかい?
博士:あまり。セーリングは?
カメラマン:いや。ポーカーは?
博士:残念ながら。
カメラマン:そうか。オーケイ。ふむ、ここで6か月か、、
博士:そうだね、、
カメラマン:見ろよ!ユキヒョウだ!
博士:え、どこに?
カメラマン:嘘だよ。
博士:ああ。



鍵屋:お待たせしました、鍵がひとつ。2つめは半額で作れますよ。
客:いや、ひとつで十分だ、ありがとう。あ、それから、、
鍵屋:なんでしょう?
客:いや、実はずっと気になっていてね。どうしてきみたちはトロフィーを売っているんだい?
鍵屋:ああ、これですか?
客:うん。つまりその、鍵とトロフィーがどうして一緒にあるのかな?同じ機械で作るわけじゃないだろう?
鍵屋:ええ、違いますよ。でも、例えば、ですね、
客:なに?
鍵屋:その、あなたはかなり前から合鍵を作らなきゃと思っていたでしょう?
客:え、、うん、実はそうなんだ。どうして分かった?
鍵屋:ああ。みなさん同じですよ。緊急の用件ではないですからね。絶えず気にはしていても、つい忘れてしまったり、時間がなかったり。
客:その通りだ。
鍵屋:このちょっとした用件は、頭の隅っこにあるからほとんど気付かない。でもそれは、あなたが非能率で、きちんとしていない証拠でもある。立派な大人とは言えない。
客:まさにその通りだよ!
鍵屋:でも今日、あなたは行動したのです。仕事をやり遂げた。おめでとうございます。実に上出来でした。
客:ああ、ありがとう。
鍵屋:上出来です。
客:うん。
鍵屋:ご自身にトロフィーをあげてはどうですか?
客:え、なんだって?
鍵屋:小さいのを1つ。「ようやく成し遂げた」
客:それは遠慮するよ。
鍵屋:そうですか?あなたは今日、すごくよく出来ましたよ。自分に小さなトロフィーをプレゼントしてもいいのでは?
客:いや、どうかな。だってさ、人から貰うのと、自分で買うのとは意味が違うだろう?
鍵屋:それが面白いことに、全く同じなんです。あなたは頑張ったから、貰っていいんです。誰があげるかは問題じゃない。大切なのは、あなたが本当に本当によくやったということ。トロフィーを受け取る資格がありますよ。
客:よし、ひとつ買おう。
鍵屋:おめでとうございます。12ポンドいただきます。それでは、あなたにあなたのトロフィーを授与しましょう。よく出来ました。お見事でした。
客:これはいいね。気に入ったよ。
鍵屋:そうだと思いましたよ。ご存じですか?あなたは他にも資格があるんです。「ようやくインターネット・バンキングの暗証番号を覚えた。これでいちいち確認しなくていい」「ポテトチップスを買いに行こうと思ったけど、やめた」「私は、平均以上の身長です」
客:いいね。全部もらおう。
鍵屋:それはよかった。上出来です。




弁護士:海軍本部の皆様、ゆえに一等兵サイモン・ジョンソンは、軍での勤務中の飲酒と、行動規則で認可されない目的で霧笛を使用した罪で告訴されました。
裁判長:あなたの申し立ては?
ジョンソン:有罪です。
裁判長:よろしい。ではみなさんの見解を。
裁判官1:彼は初犯ですので、私は温情を与えたいと思います。給与なしの3か月の停職処分ではいかがでしょう?
裁判長:よろしい。あなたは?
裁判官2:私の見解は少し異なります。酔いが覚めるまでロングボートに乗せておこう。
裁判長:なんですって?
裁判官2:酔いが覚めるまでロングボートに乗せておこう。
裁判長:なんのことだか、
裁判官2:酔いが覚めるまでロングボートに乗せておこう。朝早く。
裁判長:ロングボートってなんですか?
裁判官2:それは、ご存じでしょう。普通のボートだけど、ちょっと長いんです。
裁判長:そのようなボートがあるでしょうか?
裁判官2:海軍のオーシャン号はどうです? 667フィート。結構長い。
裁判官1:オーシャン号はボートではありません。
裁判官2:本当に?ボートっぽい形だと思ったけど。とにかく、長いボートならなんでもいいんです。私の論点は、単純に、彼の酔いが覚めるまでそれに乗せること。朝早くに。
裁判長:なぜ?
裁判官2:理由は分かりません。直感です。ボートの長さとか、朝早くってところが、きっと彼の猛省を促すのではないかと。それにもちろん、結果として酔いも覚める。
弁護士:裁判官殿、被告人は3週間前に拘束されています。すでに酔いは覚めております。
裁判官2:そうなのかね?それはもっと早く言ってくれなきゃ。ならば結論は明らかです。
裁判長:本当に?
裁判官2:もちろんです。熟慮の結果、英国海軍の将である我々の義務は、彼の腹を錆びたカミソリで剃ること。
裁判長:いったいなにを、、
裁判官2:最後まで言わせてください。彼の腹を錆びたカミソリで剃れ、彼の腹を錆びたカミソリで剃れ、朝早くに。
裁判長:その行為によってどんな成果があると言うんです?
裁判官2:まず第一に、おなかがすべすべになる。
ジョンソン:あの、言わせていただければ、僕はロングボートのほうがいいです。
裁判官2:ああ!なるほど。彼はロングボートが良案だと言っている。
裁判長:よろしい、もう十分です。一等兵サイモン・ジョンソン、あなたは3か月より少なくない期間、勤務を禁じます。その間に、アルコールとの関係を改善すべく定期的にミーティングに参加すること。
ジョンソン:ちぇっ。
裁判長:その通り。これはあなたの行動が招いた結果ですよ。
ジョンソン:ええ、たぶん。
裁判官2:でも、その集会は、何時にやるんです?
裁判長:私は知りませんが、それが問題ですか?
裁判官2:朝早く?
裁判長:ええ、いいでしょう。飲酒管理の定期的なミーティングを、朝早くに行うこと。判決は以上、これにて閉廷します。
裁判官1:万歳!
裁判官2:閉廷して生き返り!朝早くに!


カメラマン:見えたかい?
博士:なにを?
カメラマン:ユキヒョウだよ。
博士:いいや。もし見つけたら必ずきみに知らせるよ。
カメラマン:うん、知ってる。ちょっとからかっただけさ。
博士:ああ、ハハハ、、
カメラマン:あ、そうだ。なぜこれを思いつかなかったんだろう。ワインだよ。きっとワインならきみも詳しいだろう。実は俺もちょっとばかり知っていてね。友達がオーストラリアに葡萄畑を持っていて、そいつがいろんなことを教えてくれるから、、違う?
博士:ごめん。
カメラマン:好きじゃないのかな。それとも詳しくない?だったら俺が教えてあげるよ。
博士:酒は飲まないんだ。
カメラマン:なるほど。
博士:ごめんね。チェスは?
カメラマン:いや。釣りは?
博士:いや。絵は?
カメラマン:いや。
(沈黙)
カメラマン:あ、いいのがある。なにに乗ってる?
博士:それがあいにくなんだけど、
カメラマン:ああ、分かったぞ。プリウスとかかい?それとも大きな年代物のボルボ?
博士:もっと悪いんだ。実は車は持ってなくて、バイクだけ。
カメラマン:ああ、バイク!俺、バイク大好きなんだ。なにを持ってる?
博士:素晴らしい!僕は2台持ってるんだ。ごく普通のロード・サイクリング用のと、もう一台はクローム合金のホイールの、、でもきみはきっとモーターバイクのことを言ってるんだよね?
カメラマン:うん。
博士:そうか。自転車は持ってない?
カメラマン:娘が一台持ってるけど。
博士:そう?それ、どんなのか知ってる?
カメラマン:「グリッターバッグ」って言うんじゃないかな、たぶん。娘は8歳なんだ。
博士:そう、、
カメラマン:きみ、子供いる?
博士:ううん。ゲイなんだ、実は。
カメラマン:ふうん。俺の妹もゲイだよ。
博士:そう?彼女、うまく受け止めてる?
カメラマン:大丈夫だ。
博士:よかった。


(続く)