ハーレー トライグライダーのツーリングブログ

ロードグライド10年乗って来ましたが、2023年トライグライドに乗り換えです。引き続きよろしくお願いします。

バイク乗りのブーツ制作

2019年12月21日 | レザークラフト

今回はブーツ製作記です。

 

革ベスト、革ジャン、Gジャンと独学で作ってきましたが、今回は、名古屋にあるアサオカ工房さんの靴作り教室で手ほどきを受けながらの制作です。

デザインは市販品を参考にさせてもらってます。


まずは型紙。自分で型紙を起こす授業もありますが、こちらは先生に作っていただきます。

靴制作はまず仮靴なる物を作ります。フィット感やデザイン、型紙構成、更には本番前練習目的です。
革材やソールがないなど違いはありますが、これが仮靴(↓)。左足のみで、延べ10時間で完成。

仮靴制作過程は、本番とほぼ同じなので省きます。

仮靴制作過程でNG発覚。ひもを通す部分を分割することに。

型紙修正したところで いよいよ本番。

メインの革は、3月のツーリングの時 大阪Pheonixで購入したクロムエクセル。オイルたっぷりのでヘビーな革です。
型紙を銀ペンで表面に写してカット。

イナー(内張り)は馬革。こちらも型紙写してカット。


カット完了!

縫い合わせの準備。合わせ部を漉きます。(薄くします) 

コバ(革のエッジ部)を磨いて、接着部を荒らします。

ミシン縫いします。見える部分の縫いはよたると見栄えに大きく影響するので慎重にやらないといけません。ケガキ線を入れたりして極力よたりを防止します。


靴の後方(かかと~足首)は端末であわせて縫って裏からたたいて開きます

開いた接合部に伸び止めテープを付けます

端末にも伸び止めテープ

アウター、インナー縫製完了

そしてアウター、インナー合体

はみ出たインナーの端末をカット

ひもを通す部分にハトメを付けて、ベロを縫って縫製完了です。

 

中底を切り出します。厚さ5mmのぶ厚い牛革です。カッターで切るのに一苦労。指が痛くなります。

表面(足が当たる側)を荒らして、水を付けて軽く成形し、型に固定します。

そしてはみ出た部分を革包丁でカットして形を整えます。

一旦外して、中底の裏側を加工します。縫うための溝を掘ります。

プロがやると、切り屑にならずに一周の輪になるそうです。

こんな加工だけでも2時間かかって やっと型にセット完了。3か所釘で固定します。

かかと部に芯材を貼り付けます。

ここまで来て、やっとつり込み開始です。靴作りっぽくなってきました。 
まずは底部5点とかかとを1箇所釘で止めて位置決めをします。


中心がずれると見栄えを損なうので慎重に進めます。当然左右対称も気にしないといけません。

位置が決まったら かかと側から釣込んでいきます。釘(タックス)で革を型に固定していきます。

革を引っ張っては、ハンマーで形を整えては形を整えます。
強度上 釣る部分の革は薄くできず 厚い(2.2mm)ままなので 釣り込みは結構大変。力が入ります。

かかとを釣ったら。次はつま先。

こちらはインナーのみを釣って形を出した後、表の革をめくって芯を入れます。

つま先の芯が入ったら革を戻し釣込みます。

釘で全周固定。ブーツの形になりました!!!  

でもまだまだこれからが長い道のりです。つり込み(縫い)準備です。溝に沿って余分な革をカット

 

次の工程。縫い用の紐作りに入ります。
これがまた手間のかかる工程。3mほどの麻糸に松やにを塗り込みます。摩擦で溶かしながら浸透させます。

9本からなる麻糸の両端部を1本ずつにほどいて 先端を捩って切って、極細にしてから束ねなおします。

 

極細の先端を釣り糸に括り付け、再度松やにを塗って、ワックスを付け、縫い糸完成です。こんな糸でも2時間はかかってしまう、手のかかる工程です。 

プロは片足分2時間半くらいでやるという、ウェルトの縫い付け。さて私は何時間かかってやるのでしょう? 

スタート。
中底の裏面に付けた溝から、アウターの革、そしてウェルトに向けて湾曲したキリで穴をあけ、縫い糸両端の釣り糸を両側からそれぞれ通しては引っ張り締め込んでいきます。縫うといっても針は使いません。


それの繰り返し。縫いピッチバラバラ・・・うまくできません。でもこの縫いは見えなくなるのでそのままです。


革を固定した釘を抜いては、繰り返し

まだまだ繰り返し。引っ張り方をミスると先端に固定した釣り糸がはずれ、
松やにを溶かして9本にバラシ捩じ切って極細にして、釣り糸に固定して、松やに塗ってワックス付けて・・・に戻ります。大幅なタイムロスになります(泣)

縫い糸準備を含め12時間かけて、やーーーーっとウェルト付け完了。

当然のことながら靴は左右2個。 また長い旅の始まりです。

とはいっても反対側の足は、釣り糸を外さないコツをつかんだので5時間で完了。 やっと1足分です。


ウェルト裏面のエッジと内側にはみ出た革をカットし、


ハンマーでたたいて、


そしてこくり棒でウェルトを平らに強制します。

縫うために付けた中底の段差部に薄い革を貼り付けます。通常は段差付けの時カットした革を元に戻すんですが、バラバラになってしまっているので別革を接着です。

シャンク(板ばね)を付けて、


コルクシートで蓋をします。前半分はコルクを2重にしてます。

ソールとの間に中間層の厚手の革を接着します。

革包丁で外周を揃えます。

またまた長旅の始まり。糸作り。 すくい縫いと同じく麻糸に松やに塗って、ほぐして、釣り糸と結んで、ワックス付けてと、縫い糸作りに時間をかけます。

ウェルトを上から縫っていきます。


この縫いが外周のステッチになります。


穴がストレートな分、すくい縫いより早く進みます。 

それでも左右で6時間かかって縫い完了。

クロムエクセルは傷つきやすい革なので、これまでの悪戦苦闘の跡が目立ってきます。
(でも後に油分が染み出て目立たなくなりますが)

 

いよいよソール付け。完成までもうすぐ!

ソールは、ブランド品を用意。定番中の定番、ビブラムソール。

底面の縫い糸を平らにし、ソール接着の下地作り。


両面に接着剤を塗ってしばらく乾かします。

乾かす待ち時間に、かかと敷きにスポンジを貼っておきます。


接着剤が乾いたら、ヒーターで温めて合体。

はみ出たソールをカット&削りで形を整えます。気を抜くとウェルト幅が小さくなってしまうので注意です。

かかとを同じ接着剤で貼り付け。

裏面から釘固定です。


かかと固定後、形を整えたらトコノールとコテで磨きます。着色はせず、ナチュラルな素材色のままでいきます。

いよいよ脱型 

待ちに待ったその時が来ました。

完成・・・といきたいところですが まだもう少し


かかとを中から釘固定です


上からクッションを貼り付けてフィニッシュ!

 

紐を着けて完成!!!

 

3月に始めて12月までかかりました。
1回あたり2時間半の靴教室を28回で完成なので制作時間実に70時間!
プロになるつもりはないですが、商売だとすると全然生産性悪いですね。

 

でも我ながらよくできたと思います。 履くのがちょっともったいないです。

しばらく飾っとくかな?

 

 

長文おつきあいありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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2 コメント

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Unknown (よし)
2019-12-22 23:24:13
いやはや、長時間作業
おつかれさまでした。
一回の記事にするにはもったいない
作業内容ですね。
思い入れのあるブーツ大事に使えますね。
返信する
Unknown (cours98)
2019-12-30 21:13:20
思いれありすぎて履けません(^_^;)
返信する

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