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中橋怜子の 言の葉ノート

自然、人、モノ、そして音楽…
かけがえのない、たおやかな風景を
言の葉に込めて

もうひとつの夕鶴

2016-02-02 | 物語
「決してのぞかないでください」つうと言う名の美しい女は、こう言って障子を閉めました。障子の向こうでは、女は助けてもらった恩返しに夜な夜な美しい反物を織るのでした……というのはお伽話の世界。

障子の向こうで、女がもし別の男と寝ていたら…しかもそれは夫とその別の男がグルになって仕組んだことで、別の男は女と楽しみ、夫はそれを覗き見ることで楽しんでいたとしたら…。

「つるの恩返し」では鶴が女になって、「かさ地蔵」ではお地蔵さんが歩いて、助けてもらった恩返しにやってきます。

欲張り婆さんが選んだ大きいツヅラからは化け物が出てきます。欲張るとこういうことになりますよと私たちは「した切りすずめ」で教えられました。

ウサギとカメが競走したら、普通に考えたらウサギが勝つに決まっています。でもそこを敢えてカメに勝たせることで、心の教育をしているわけです。

昔の人は、現実には起こりにくいことを、童話やお伽話、伝説の中で起こして、人間に善い行いを勧め、悪い行いを戒めてきました。
つまり、お伽話のような理想的なことは現実にはそううまくは起こらないということです。

そして、私たち人間は、理想と現実の間でもがきながら生きている、というわけです。

障子の向こうのまさかの世界、「もう一つの夕鶴」、友人のグループのイベントの中の特別公演で、朗読と和歌の即興歌唱で友情出演させていただきます。

最初台本を見た時は正直驚きました。なぜならば、自分が昔、オペラ『夕鶴』で恩返しに身を削って反物を織るつうの役をやったからです。
しかし、読み込むうちに、こういうこともあるだろう、だって人間だもの…そう思うこの頃です。

彼女たちはエロティシズムと言いますが、私は人間の一つの情景として、心して歌い語らせていただきたいと思います。

「…与ひょうの手でつうの女は花開くように膨らんでまいります。愛する男に抱かれるということは、なんと甘く狂おしいものでございましょうか…」(抜粋)

『夕鶴 十八夜伽』
▪︎脚本/監督 イマタニタカコ
▪︎墨舞 くず上ともこ
▪︎朗読と和歌 中橋怜子
▪︎音響 大橋了久
※公演の詳しい情報はホームページ、フェイスブックなどでご確認ください。

写真は佐渡歴史伝説館のものです。
「夕鶴」の元になった「鶴女房」は佐渡に伝わる伝説です。





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ブレーメンの音楽隊

2010-03-25 | 物語
 年を取って仕事ができなくなったため主人から餌をもらえなくなったロバ、年を取って狩りに出ても獲物をつかまえられなくなったため主人に殺されそうになった犬、年を取ってネズミも捕まえられなくなったため主人に川の中へぶち込まれかけたネコ、主人にスープの中に放り込まれそうになったオンドリ、命からがら主人の家を逃げ出してきた彼らがこの物語の主人公です。そして彼らは協力して悪い泥棒たちをやっつけます。年を取ってもまだまだ人の役にたてることはあるのです…というお話です。今から200年も前に書かれた物語の中に、今の社会が見え隠れしています。
 《こどもの日》のコンサートの中で何か物語を読み聞かせをしようということになり、楽しい音楽が聞こえてきそうなタイトルに誘われて、確かめもせず軽いノリでこの物語を選びました。
 雨の降る中、今日は図書館に出向いて本を借りてきました。『えっホントにこんな話だった?』小さいころに読んで何となく記憶していたストーリーとはずいぶん違っていました。
 これは大変、軽いノリでは読めない深~いお話です。200話以上もあるというグリム童話、どうやら読み直す価値がありそうです。

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