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中橋怜子の 言の葉ノート

自然、人、モノ、そして音楽…
かけがえのない、たおやかな風景を
言の葉に込めて

幻の紫陽花 シチダンカ

2016-05-23 | 草花
文政6年(1823年)に長崎のオランダ商館付きの医師として着任したシーボルトは、プラントハンターでもあり、西洋医学を日本に広めながら、一方で日本の植物を熱心に採取しました。
シーボルトは帰国後に著した『フロラ・ジャポニカ』(日本植物誌)の中で、日本の紫陽花として「ハイドランゲア・ステルラタ」和名「シチダンカ(七段花)」を紹介しました。
しかしこの紫陽花の所在は全く分からず、この花を見たという情報も標本も存在しないことから、長い間「幻の紫陽花」と呼ばれていました。

シーボルトが日本で発見してから130年間「幻の紫陽花」であった「シチダンカ」が発見されたのは昭和34年7月5日、六甲山ケーブルの沿線で六甲山小学校の職員によって偶然発見されました。
その後、神戸森林植物園で挿木によって増やされ、現在では各地の庭園に植えられ、また庭木としても親しまれています。

先週、その「シチダンカ」が友人の庭から我が家の庭にやってきました。丁寧に丁寧に梱包され、まるでお姫様のご到着!
その時はまだ固い蕾だったお花が、今日、ついに開きました。

夕方の空の色を写したような、
お星様のような、
愛らしいお花。

線香花火のような、
ガラス細工のような、
可憐なお花。

シチダンカに、そして、
友に、
ありがとう。









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ミツバモドキの知恵と野望

2015-04-30 | 草花
また「ミツバモドキ」が姿を現し出した。
「ミツバモドキ」この名は正式名ではない。ちゃんとした名前があるのだろうが、あえて「モドキ」と私が呼んでいるだけである。

我が家の庭の足元を埋め尽くす勢いで生息するミツバの中にヤツらがいることに気づいたのは去年のことである。

春先、ミツバが頭を出し始めたころには「ミツバモドキ」の姿は影も形もない。やがてミツバが葉を広げ群をなし始めるとヤツらはその隙間からそっと姿を見せ始める。

ミツバとそっくりな出で立ちで、ミツバの隙間に、そしてミツバよりちょっと遅れて忍び出てくる。
姿形はまるでミツバであるが、ミツバのような香りも無ければ味もしない。可憐な花を咲かせるわけでもなく、どこか別の場所に生えて来ようものなら、たちまち雑草として引き抜かれてしまうような取り留めのない草である。
「ミツバモドキ」の生きる知恵の凄さが怖いほどだ。

しかし、この「ミツバモドキ」、何かに似ていないか?
そうだ、迷彩柄の服に身を包んだ兵士だ。

ひょっとしてヤツらは攻めて来ているのか?うちの庭を制覇しようというのか?
ミツバを絶滅させてしまえばお前たちは生きていけないぞ!目的は何だ!
ヤツらは一体どんな野望を抱いているのか…。

モドキの存在が不気味でならない今日この頃だ。


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逆サイクルに生きる花、彼岸花

2014-09-16 | 草花

葉がない⁈
彼岸花を見て不思議に思われたことはありませんか?
いや、彼岸花の葉を見られたことがありますか?

死人花、地獄花、幽霊花、毒花、痺れ花、天蓋花、狐の松明、剃刀花…
怪しくも恐ろしい名前を数多く持つ彼岸花、どの名前にもかく呼ばれる理由があるのですが、私はそんなことにはあまり興味はありません。

私はこの花が「葉見ず 花見ず」と呼ばれるところに最も興味を持っています。
花が咲く時期には葉は見えず、葉が繁っている時期には花は見えないという生態、この不思議な生態に最もこの花の妖しさ、魅力を感じるのです。

彼岸花は、秋雨が降ってお彼岸の頃になると芽を出し、1日に10cm近くも茎が伸びて、瞬く間に50センチ位になりあの真っ赤な花を咲かせます。そして1週間ほどで花も茎も枯れてしまいます。
すると今度は球根から緑の葉っぱがすくすくと伸びてきます。冬になって周りの植物が枯れても彼岸花は豊かに葉を繁らせたままで冬を越します。
冬から春にかけてせっせと光合成をして球根に栄養をため込むのです。
そして夏を迎える頃には、葉を枯らして休眠期に入ります。
つまり私たちは、夏に彼岸花の姿を見ることはないのです。
やがて球根に秋雨をたっぷり含むちょうどお彼岸の頃になると芽を出し、急ピッチで茎を伸ばしあの真っ赤な花を咲かせるのです。

他の植物とは逆サイクルで生きる花、彼岸花。
まるで、遠い過去にそんな生き方をしなければならなくなった何か深いワケでもあるかのような生き方…

今頃はちょうど芽を出し、1日10㎝のスピードで茎を伸ばしている頃でしょうか。

逆サイクルに生きる花、彼岸花、
私はなぜかこの花が愛しく、この花のどこか翳りある生き方に惹かれます。


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お花の声が聞こえませんか?

2013-04-12 | 草花
私がコンサートのステージにはほとんどお花を飾らないこと、気づいてくださっている方もおられるかもわかりません。
昔、開店祝いじゃあるまいし…というようなスタンドのお花が届いたことがあり、二度とお花は飾るまい…そう心に決めました。

しかし数年前、お花が何か語りかけてくるような、そんなお花を作る人に出逢いました。

歌い、語り、つまり私は声でメッセージをみなさんにお伝えするのですが、その人の作るお花は声なくして何かを語っているのです。

今回の公演のテーマは「手紙」、大切な人へのメッセージであることを私はその人にお伝えしました。

そうしたら、ほら、こんなお花がやってきたのです…。
お花の声が聞こえませんか?

今年の言葉小箱[ことのは・こばこ]は、お花と一緒にみなさんにメッセージをお伝えさせていただきます。






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梅に想う

2013-03-11 | 草花
庭の梅の木が、今年は狂い咲きのように花をつけています。
我が家の梅の木がこんなに花をつけているのを見るのは初めてのような気がします。

「桜切るばか、梅切らぬばか」と言いますが、梅の木は切れば切るほど強く逞しい枝を伸ばし見事な花をつけると言います。
昨年の思い切った剪定とその時期が良かったのでしょう。

私は以前「あなたは自分を花に例えるとなんだと思いますか?」と聞かれたとき、咄嗟に「梅です」と答えました。
可愛い花、ゴージャスな花、素敵な花が数え切れないほどある中で、どうして梅といったのか自分でもよくわからないのですが、
今思うと、まだまだ冬の寒さが続く中、我が家の庭でいち早く春を告げる梅の花に、無意識のうちに希望や憧れを感じていたのかも分かりません。

2年前の今日も、梅の花はどの花よりも早く、春の訪れを告げ、私たちに希望と憧れを届けてくれていたに違いありません。
そんな時に日本を襲った悲劇…

切られれば切られるほどに強く逞しい枝を伸ばし見事な美しい花をつけるという梅、
被災地、そして被災地の人々が、強く逞しい枝を伸ばし見事な美しい花を満開にさせる日、
必ずやそんな日が近い将来に訪れることを祈り信じたいと思います。



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曼珠沙華

2011-09-25 | 草花
庭の奥、塀に沿って今年も彼岸花が顔を出しました。あまりにも唐突に現れるのでいつも驚かされてしまいます。本来、庭に咲かせる花ではないのでしょうが、何年か前、どこからどのようにしてやって来たのか我が家の庭に突然出現した彼岸花、私はそれ以来そっと大切に置いているのです。
誰に開花を待ち焦がれられているわけでもないのに、お彼岸ごろになると何の前触れもなくいち早く秋の訪れを告げるこの真っ赤な花、みなに不気味がられるこの花を私はどうしても嫌いにはなれないのです。仏教に由来すると言われている曼珠沙華という呼び方が特に好きです。
枝も葉も節もない花茎が土の上ににょっきりと突出していて、形態も確かに不気味なのですが、死人花、地獄花、幽霊花…可哀想にその異名が揃いも揃って不気味なものばかり。有毒なので、昔は虫よけや動物よけに田んぼの周りや土葬したお墓の周りに植えられたそうです。だからこんな嫌な名前が付いてしまったのでしょうね。しかし、スズランだって誤って食べてしまうと死んでしまう危険があるというぐらい有毒な花なんですよ、なんだか不公平な気がします。

「曼珠沙華」 北原白秋

GONSHAN GONSHAN 何処へゆく、
赤いお墓の曼珠沙華(彼岸花)、曼珠沙華、
けふも手折に来たわいな。

GONSHAN GONSHAN 何本か、
地には7本、血のやうに、血のやうに、
ちゃうど、あの児の年の数。

GONSHAN GONSHAN 気をつけな、
ひとつ摘んでも、日は真昼、日は真昼、
ひとつあとからまたひらく。

GONSHAN GONSHAN 何故(なし)泣くろ、
何時まで取っても、曼珠沙華、曼珠沙華、
恐しや赤しや、まだ七つ。

※GONSHANとは九州柳川(白秋の故郷)の方言で良家の娘さんのこと。

このGONSHANさん、どうやら子どもを亡くしたらしいですが、七つの子を亡くしたのか、亡くして7年目、つまり生きていたら七つだというのか、解釈はいろいろできますが、いずれにしても何かワケ有りの死であることがうかがえます。それも曼珠沙華が引用されている効果でしょうでしょうか…。
みなに嫌われても、不気味がれても、臆することなく背筋を伸ばして凛と咲くこの花の姿勢に私は憧れているのかもわからない…今、これを書きながらふと思いました。

Official Site
http://cotonohacobaco.com/

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日々草

2011-09-09 | 草花
日々草、ニチニチソウ…私はこの花が、そしてこの名前が大好きです。
花の中には咲く時期も期間も扱い方もとてもデリケートなものがたくさんありますが、この日々草はその名前の通り、一夏中、炎天下でも毎日毎日次から次へと怠けることなく可愛らしい花を咲かせます。
6月ごろから様々な色の日々草の苗が店先に並び出しますが、我が家の日々草は、花が終わって種を取って翌年それを撒いて育てています。
植える花の色は白と濃いピンクと決めています。塀に沿って白、ピンク、白、ピンク…と交互に植えるので、花の最盛期には紅白の垂れ幕さながら、縁起がよさそうというか、いいことがありそうというか、とにかく家丸ごと元気いっぱい!という感じになります。
しかし花言葉は「縁起がいい」でも「いいことがありそう」でもなく、「若い友情」「「生涯の友情」「楽しい追憶」「友情」だそうです。
ところで日々草は薬草の王様で、特に制癌作用は日々草に勝る薬草はないそうです。そのまま生でジュースにしたり乾燥させて粉末にしたものを煎じて飲んだりするそうですが、作用が大きいだけに副作用も大きいそうです。毒性が高くリスクが大きいので、口にするのは必ず服用の仕方などよく調べてからにしてくださいね。
今日はとっても元気で頼もしい「日々草」のお話しでした。

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