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中橋怜子の 言の葉ノート

自然、人、モノ、そして音楽…
かけがえのない、たおやかな風景を
言の葉に込めて

赤い陣羽織

2013-02-18 | 音楽
昨日、故大栗裕先生のオペラ「赤い陣羽織」を鑑賞しました。

大栗先生には、大学在学中に作曲法を習い、それ以降もずいぶんお世話になりました。
時が経つほどに、それがどれほどすごいことだったか、思い知らされています。

先生の新作発表の演奏旅行、先生自らの指揮で歌わせていただいた「赤神と黒神」、音楽のことより北海道で食べたラーメンの味を思い出すという私…今更ながら反省することしきり。

「赤い陣羽織」は大栗先生の初オペラ作品で、関西歌劇団の創作歌劇第一弾として1995年に作曲されたものです。

権力の象徴である赤い陣羽織を着た女好きのお代官様が女房に言い寄りにやって来る。ひょうんなことから女房が寝取られたと勘違いしたおやじは怒りに駆られ、「お代官様の奥方を寝取ってやる」と、奥方がいるお屋敷へと走っていく。誤解が生んだ復讐劇…

昨日は随分笑わせて貰いました。吉本新喜劇寄り?の斬新な今風の岩田達宗先生の演出は、オペラを初めて見る人、聴く人の心をもしっかり掴んだことでしょう。久しぶりに「そう、音楽はこうでないと!」そう感じるコンサートでした。

そして、忘れていた大切なことが鮮やかに蘇り、こうして自分が今があることに、いっぱいいっぱい感謝の一日でした。






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ブラームス交響曲第1番

2011-09-24 | 音楽
秋になると私はなぜかブラームスが聴きたくなります。
昨夜は交響曲第一番を聴きました。ブラームスが23歳の時に着手し43歳で完成させたと言いますから何と20年もの歳月をかけて完成した曲です。
もともと交響曲というジャンルの曲はあまり興味のなかった私ですが、ブラームスとクララ・シューマンのエピソードを知ったことをきっかけにこの交響曲に興味を持ち、それが入口となって他の交響曲も聴くようになりました。専門書は読む気もしなかったのに、週刊誌の記事を読んだのをきっかけに大変興味を持ち出した…そんな感じでしょうか。
クララ・シューマンは、ブラームスの恩師ロベルト・シューマンの奥さんでブラームスより14歳も年上の女性でした。あろうことに、ブラームス青年は恩師の奥さんに恋をしてしまったのです。それも燃え上がるような激しい恋を…。二人がどんな仲であったか…『ああ、それ以上言わないで!』と言いたくなるような記事があちこちにたくさん出ています。それが真実かどうかは別として、ブラームスはクララのことを一途に愛し続け一生独身を通したということは紛れもない真実です。
この交響曲の第4楽章に出てくるアルペン・ホルンを想わせるホルンのソロのメロディを、ブラームスは手書きの五線譜に書き写し、クララの誕生日に手紙と一緒に贈っています。手紙の内容は「高い山から、深い谷から君に何千回も(おめでとうと)挨拶しよう」というもの。
ブラームスの作品はそのすべてがクララへの恋文であると言われるほどですが、この交響曲の第四楽章には特にブラームスのクララへの想いが詰まっているというわけです。
いつの時代も恋の力とは凄いものです。愛する人に認められたい…そんな気持ちが想像もつかない力を引き出します。音楽の中にはそういう作品がたくさんあります。他の芸術作品にしても、いや、スポーツの記録にしても、そう卓越した作品、奇跡的な作品、奇跡的な記録の中には、恋の力が生みだしたものがたくさんあるに違いありません。
ブラームスの交響曲第一番のこと、変な結びになってしまいました…。

Official Site
http://cotonohacobaco.com/



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塔の春

2010-03-31 | 音楽
 「咲く花の匂うがごとし」と万葉集に詠われた奈良の都、大和三山と呼ばれる畝傍山、耳成山、香具山に囲まれた明日香地方に造られた藤原京から奈良に都が移されたのは今からちょうど1300年前のこと。遷都とともに、興福寺、薬師寺、東大寺など明日香にあった大寺院も次々と奈良の都に移されました。こうしてたくさんの寺や塔が奈良の都を飾ったのです。
 「塔の春」(鈴木貞子 作詞/南 安雄 作曲)は、この季節がくると、必ず引っ張り出してくる楽譜です。今年も指導する2つの女声合唱団でこの歌を歌いました。そのうち10年間指導した生駒市の女声合唱団はこの3月でやめることになりました。そして、この「塔の春」が最後の指導曲になってしまいました。
 今年は遷都1300年ということもあり、ことのほかこの曲の歌詞が心に染み入ってくるような気がします。
 
1.五重塔のすぐそばに、いつも立ってる男の子、あれは阿修羅の像、何見てる、手を振り上げてどうするの、登っておいで塔の上
2.一条通り平城京、うわなべこなべ西の京、あれは薬師寺の塔の上、笛吹童子の笛の音、金堂の上に花が散る
3.向こうの山は信貴の山、かすかに浮かぶ金剛山、あれは法隆寺、塔の下、泣き仏たちの泣くそばで、少女が静かに祈ってる、奈良の都の塔の春、大和の国の塔の春
 
 華やかな貴族たちの生活、苦しい庶民の生活、繰り返される争い、幾重にも幾重にも折り重ねられた奈良の都にまた春がやってきました。今年は、時間を見つけて、奈良の都の塔を巡ってこようと思っています。
 

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