日々楼(にちにちろう)

古今東西・森羅万象の幾何(いくばく)かを、苫屋の住人が勝手御免で綴ろうとする思考の粉骨砕身記です。

慶應MCC 講座“複合連鎖危機とニッポンの改革” 第二回 (続き)

2012年04月21日 | 日記

A.吉田所長の行動とガバナンス

a.ここではガバナンスを、日本国が危機に直面した時の政府による指揮命令、危機を克服する制度という意味で使います。

b.吉田所長の行動をめぐっては、他の出席者からも 「命令系統が混乱している時、下剋上とは言えないのではないか」という意見が出されました。

c.船橋先生のそれに対するお答えは、「戦前の下剋上(げこくじょう)文化と言うようなものがあるから、そのようなものは慎重に扱った方が良い」というものでした。

d.「戦前の下剋上文化」とはどのようなものであるか、その詳細をお聞きすることはできませんでしたが、「下剋上」とは文字通り下が上を剋することであり、戦前の五・一五事件や二・二六事件は、反乱やクーデターの範疇(はんちゅう=範囲)に属するものであり、下剋上とは言えません。

e.また、戦前の政府と軍の関係も、日本の古い概念(がいねん=考え方)に属する統治上の制度の問題であり、下剋上の世界には属しません。

f.問題の本質は、本物の危機に対して政府がその対処方針が遅れたり、逡巡(しんじゅん)した場合、現場の指揮官は、その危機を回避、克服するあらゆる手段を尽くして行動をとるという、危機克服の文化=常識が日本には根付いていないことにあるように思えます。

g.吉田氏はその行動を取られたということです。

h.今後の日本は、吉田氏の行動を常識とし、範とし、文化とする社会へと育って行く必要があります。


B.会場の参加者との質疑応答の中で船橋先生がお話になったこと。(抜粋)

a.政府は東電従業員には死ぬ覚悟でやってくれと言いながら、政府職員にはそういうことはやっていない。

b.命がけで事に当たったのは自衛隊であった。

c.政府は、戦後最悪のシナリオをシュミレートすることを意図的にやって来なかった。

d.戦後日本の平和主義は、想定外と言うものを作ってきた。

e.絶対安全神話は、リスクそのものを認めない、科学的知見を阻害するものである。

f.稼動率の維持⇒リスクの回避⇒安全であるということにする。

g.地方分権だけで十分はやれない、中央がやらなければならないことがある。

h.現場(のアクシデントマネジメント)は良い。臨機応変に上部介入が図(はか)られれば良い。

j.核廃棄物は国の関与がはかられなければならない。四号機燃料プールが一番危ない。

k.政府(組織)のどこが使えるか見極める。

l.クライゼス(危機)コミュニケーション⇒日本の弱い所。クライゼスコミュニケーションを考える。

m.SPEEDI(スピーディ=緊急時環境放射能影響予測ネットワークシステム)があるという情報が入ってくる。文科省記者は15日に詰め寄っている。
  これが何の記事にもなっていない。記者クラブはいらないのではないかと思った。

n.ヨーロッパメディアに比べると日本のメディアは落ち着いている。これは評価できる。

o.福島原子力発電所事故の議会報告書に期待する。東電の意志決定過程の文書を手に入れてやってほしい。福島第1・福島第2・柏崎でビデオ会議をやっていることを公表させること。

p.コンティンジェンシイプラン(危機対応・軍事対応)がいる。

 

 

 

 

 

 


                      

                                       山吹

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