菅(かん)元総理のツイートに対する日本維新の会の皆さんの対応を考える
次のⅠ、Ⅱはfacebookに書き込んだものです。五名の方の総理大臣経験者の御名前に、facebookでは一部誤りがありました。お詫びして訂正申し上げます。Ⅲ、Ⅳは新たに書き加えました。
Ⅰ.元首相五名の方がEU委員会に送られた書簡に対する抗議について
今日(2月1日)、日本の総理大臣経験者である小泉純一郎氏、細川護熙氏、鳩山由紀夫氏、菅直人氏、村山富市氏の五名の方が連名で、「原子力発電はCO2を排出しないクリーンエネルギーであ
る」とするEU委員会の脱炭素・環境指針に対し、日本の福島第一原子力発電所の事故を教訓とされ、その内容をつづられた書簡をEU委員会に送られたことに対して、山口環境大臣が抗議されたと
いうニュースがありました。先だっては、自民党・二階派の細野豪志氏が同じ趣旨で菅(かん)氏に抗議されていました。御二人の趣旨は、「事故当時、福島第一原発の周囲に住んでいらっしゃった
子供さんの中で見られる甲状腺がんは、事故との因果関係はないとされており、この甲状腺がんを例に挙げて、五氏が抗議されるのは不適切なものである」というものです。そうでしょうか? 五名
の総理大臣経験者の方が示されている甲状腺がんに対する認識は、そういう認識が(社会には)あるという、然るべきものだろうと思うのです。(2022.2.1)
Ⅱ.菅元総理のツイートに対する日本維新の会の皆さんの抗議について
1.同様に、菅元総理のツイートに対して、日本維新の会が抗議をされていますが、菅氏が御自分の思いを発信されたことは、それはそれとして認められる事だろうと思うのです。でなければ、日本
の言論は争いの対象となり、個人は闘争の標的となり、言論は封殺され、自由活発な生産的なものとはなりません。これは、私達が歴史の中で何度も見てきたことです。私たちは、自分の思いは自由
に発信できる、討論や言論は自由に行うことができると、誰もが思う寛容な社会の風土を作って行かなければならないと、思うのです。(2022.2.1)
2.維新の会の皆さんは、気づかれていないかも知れませんが、菅元総理に公開討論を求められることは、政治闘争そのものです。このやり方は、御本人たちが、菅元総理のツイートの内容は特定の
人物の人格の毀損であるとか、御自分たちや御自分たちの支持者への侮辱であるとか、御自分たちが正しいことをやっていると思われれば、思うほど、御自分たちの支持者を巻き込んだ言論の封殺へ
向かいます。これは、世界の歴史の中で登場した言論封殺に至る政治闘争の一変種です。これを私たちは見抜かなければなりません。維新の会の皆さんには、このことに気づいてほしいと思うので
す。(2022.2.2)
Ⅲ.元首相五名の方のEU委員会宛書簡に対する新たな抗議と申し入れについて
1.高市早苗・ 自民党政調会長が、2月2日、EU委員会宛書簡を送られた元首相五名の方を批判され、内堀・福島県知事が申し入れを行われています。その内容は、高市早苗氏のものは、報道に
よれば、① 事故当時、子供だった人の約38万人を検査し、一部に甲状腺がんが見つかっているが、福島県の有識者委員会は、「現時点でがんと被爆との関連は認められない」と報告している、②
昨年3月、国連放射線影響科学委員会が、「放射線に関連した将来的な健康影響が認められる可能性は低い」と報告している、③ 子供に見つかった甲状腺がんと事故を関連付け、誤った情報が伝わ
ることは、いわれのない差別・偏見につながりかねない、④ 誤った情報で風評が広がることは、農林水産物品の輸出に向けて行われている様々な人の血のにじむような努力が水泡に帰しかねない、
というものです。内堀・福島県知事のものは、高市氏の箇所で述べた①の上に立って、「福島県の現状について述べる際は、県の見解や専門機関、国際的な科学機関などの知見に基づいて、客観的に
発信するよう申し入れました」、というものです。
2.しかし、甲状腺がんが見つかった、その前に事故があった。これが事実です。がんが発症するには、その人の持つ免疫力とか、その時、その時の体の状態とかの個人差はあるでしょう。しかし、
甲状腺にがんが見つかったという事実を基準にすれば、その因子としてその前の事故による被爆を考えるのが、当然の帰結だと思います。AさんとBさんは近所に住んでいる。Aさんはがんが見つか
ったが、Bさんには見つからなかった。だから、Aさんのがんは他の因子によるものであろう、あるいは、被爆の対象者として検査を行ったのは38万人(上記掲載数)である、その内、がん又はが
んの疑いのある人は266人(内堀・福島県知事)である、この266人は検査数に対して極微少であり、がんの発症は被曝によるものではなく他の因子によるものであろうと、推認することも考え
られます。福島県の有識者委員会の報告の方を、むしろ疑うべきだと私には思えます。また、被爆地域の子供たちに対して「いわれのない差別・偏見」が生じることを心配するのであれば、先ず、が
ん発症者に十全の治療とアフターフォローを行い、差別・偏見の生じない政策を行うことと、風土を作って行くことが、非難を行うよりも大切なことだと思います。国連放射線影響科学委員会の報告
は、現地は事故後に除染を行い、事故から10年以上が経過していますから、当然です。
2.風評被害については、福島第一原子力発電所の廃炉処理水の処理において、トリチウムを含む放射性核物質を除去して処理することを国際社会に宣言し、それを実行することで、国際社会の信任
を得て防ぐことができます。
Ⅳ.異論を封殺してはいけない
異論に対してはそれをよく聞き、過去の決定をもってそれを封殺してはならず、政治闘争の標的としてはなりません。私達は、討論や言論は自由に行うことができると、誰もが思う寛容な社会の風土
を作って行かなければいけません。
アインシュタインの月