新・仏像ワンダフル!

千年の時を超えて仏像との新しい出会い
いやいや街を見渡せばよく似た人がいたような・・

雲中供養菩薩シリーズ 南3号

2011-10-20 05:20:48 | 旧仏像ワンダフル
南北合戦の後攻は南3号。
彼方を見つめる眼は開いています。
華鬘(けまん)と呼ばれる鎖でつながれた花の輪を
いじいじしていて、何がしたいのかわかりません。
お顔に比べて体が華奢でどうもバランスが
よろしくないように感じます。

人間の加齢は「シミ・しわ・たるみ~」などが変化
してくるものですが、仏像は??
塗り物の剥落で確かにしみが増えてきますね。
素地が表面に出てくると木の年輪がより鮮明になり、
そんなものが時の経過を現すのでしょう。

実は南3号さんの顔のちょうど頬のところに
年輪が浮き出ていて、くるくると巻いて
とってもキュートなんです。
ちょっと若く見えますよ。

意図がある場面だとは思いますが解明に至らず。
菩薩界のニートと言うことでどうでしょう?
3号対決は北に軍配。

◆判定:北 1勝 - 南 2勝

雲中供養菩薩シリーズ 南2号

2011-10-18 05:48:19 | 旧仏像ワンダフル
2号対決、南2号さんです。

天蓋を高らかに掲げ・・じゃあ無いんです。
やさしく、小首をかしげ
「おひとついかが?」
あつかん徳利の首はつまんでません。

消え入るような表情、
楽団員の方々とは趣が違って
そっと相手に手を差し伸べるような
眼差しを感じます。役得かもしれません。

◆判定: 南 2勝 - 北 0勝


雲中供養菩薩シリーズ 南1号

2011-10-16 11:23:44 | 旧仏像ワンダフル
勝手に南北歌合戦の南から
  南1号 さんです。まんまですねぇ。

なんだか怪しげなモノを持っていますが
拍判(はくばん)という楽器のようです。
この方も楽団員、互角ですね。

板を紐でつないで両手で打ち鳴らすと言うことは
リズムセクションです。重労働ですね。

像の大きさは60センチ余り、北1号さんは90センチ
ですから、大きさではかないません。

しかしその表情、恍惚エクスタシーです。
この時代、女人禁制のMen's men's worldのはずですが
悩ましいですね。薔薇族も真っ青の禁断の予感?

◆判定:南 1勝

雲中供養菩薩シリーズ 北1号

2011-10-15 14:30:54 | 旧仏像ワンダフル
これから順番に52体の菩薩さん達の
実像に迫ってみたいと思います。
どなたにも反論の余地は無くて気の毒ですが・・

しかし便宜上とはいえ、菩薩さんに1号、2号って
どうなんですかね(笑)
女性的なだけに気が引けます。

さて登場するのは南北対決のトップバッター
   北1号 さんです。

琴をつまびいているので楽団員のようです。
おっと、口元が開いていて唄っています。
♪酒は涙か~ため息か~~♪なんて言うわけないか・・
楽しげに演奏している場面ですね。


切り紙 雲中供養菩薩・南20号 京都・平等院 平安時代

2011-10-14 20:29:45 | 旧仏像ワンダフル
昨日の夜はしばし月を眺めていました。
満月の次の日ですが、海の潮時では大潮に
なるんですよね。
夜釣りでも行きたいところでしたが。

家の傍にある田んぼに沿った小川には
沢山の鯉が泳いでいます。
朝は大渋滞の県道のすぐ脇では
人影を見ると寄ってくる、
そんなかわいい奴らがいるんですよ。

今宵はシルエットでお馴染みの
雲中供養菩薩の南20号さんにご登場願って
一緒にお月見と洒落込みます。

平等院鳳凰堂 折紙建築

2011-10-12 21:54:39 | 旧仏像ワンダフル
鳳凰堂中堂母屋に本尊の阿弥陀如来像を
取り囲むように壁に配置された52体の雲中供養菩薩たち。

その悩ましげな姿をひとつひとつ見ていこうと思った
わけなんですが、資料が揃うまでの時間稼ぎっぽく
建物のPOP UPを作ってみました。
以前取り上げた折紙建築の中にあったものです。

極楽浄土を願う浄土信仰が流行って、時の権力者
藤原氏の庇護を受けて、平等院は隆盛を極めたそうです。

空を浮遊する点で飛天と似てますが、
他の寺の絵画や造形には見られないような
奔放で自由な躍動感が平等院のものには感じられます。

壁掛けなので半立体ですが、完全な立体で天井から
吊り下がっていたらこれまた凄いでしょうね。

大場 松魚 蒔絵・人間国宝

2011-10-11 21:35:36 | 旧仏像ワンダフル
漆塗りの人間国宝、大場松魚さんの仕事に対する心構えを
インタビュー形式で語った言葉を読む機会がありました。

 技は仲間と競い合うのか・・

  「人間なんてもの、相手にしていたってしょうがない。
   皆、疲れてくると決まって能率が下がる。
   それですぐ、負ぁけた、やめたと言って投げ出しちゃう。
   人間のように頼りないものはないですよ。
   だから私は時計と競争する。
   夜も夜中も、あったものじゃない。」

 時計に勝つこともあることについて・・

  「なぜ負けないか。人間には「頭」があるからです。
   時計はチッ、チッ、チッ、チッ、と一定のリズムで時を刻む。
   しかし人間は、この仕事をこの時間までに仕上げるんだと
   腹を決めれば、グッと時間を短縮することができる。

   だから仕事を速くしようと思えば、目標時間を決め、
   それに対して集中攻撃を掛けることです。

   そうすれば1分速くなるか、5分速くなるか、
   いくらかでも速くなるんです。敵に勝つんですよ。

   そうやって時計に逆ねじを食らわせるような意気込みで
   仕事に向かうことが大切です。」
                   月刊『致知』より
                  
中尊寺金色堂の修繕なども手掛けた大家が、
よもや納期に追われる仕事をしているとは思えませんが
90歳を過ぎてなお、この気概で仕事に挑んでいるとは
ハハーッ!(敬礼)恐れ入りました。

 





雲中供養菩薩像 京都・平等院 平安時代

2011-10-10 15:31:02 | 旧仏像ワンダフル
南北に26体ずつ、合計52体もの飛天の群像。
どれも心躍る素晴らしい姿です。
この脇役達こそが仏師の心血を注いだんじゃ
ないかと思うほど自由な表現がてんこ盛り。

流れる雲、はためく衣装、
楽器を奏でるしぐさ、ひとつひとつ
じっくりと取り上げたい対象です。

少しでも浮き上がって欲しくて
切り絵にして、うーん、まだまだ。

いつかPOP UPして欲しいんですけどね。