ゆんたく日記

ドラマ、映画、旅行等々…自己満足で好きなこと書いていきます。

「母べえ」

2008-02-02 23:12:01 | テレビ(ドラマも)
story
昭和15年2月のある夜、東京に暮らす野上家では、夫の滋(坂東三津五郎)と妻の佳代(吉永小百合)、しっかり者の長女・初子(志田未来)と天真爛漫な次女・照美(佐藤未来)が笑いの絶えない楽しい夕食を囲んでいた。まさかそれが、家族揃った最後の晩餐になるとも知らずに。翌朝、ドイツ文学者である滋が治安維持法違反で検挙されてしまう。目の前で縄をかけられる父を呆然と見つめる娘たち。黙って見送るしかない佳代。そして昭和16年、野上家は初めて滋のいない正月を迎える。太平洋戦争の波に巻き込まれながら、それでも佳代は希望を捨てず、ひたすら滋の帰りを待っていた…。

ウチの母べえと観て来ました 試写観に行った友達から「絶対お母さんと見て!」というメールをもらったので早速母を誘ったところ「そうだね・・約束はできないけど」と言われ、半ば希望は絶たれていたのですが、昨日突然母が「『母べえ』観に行こう」と誘ってくれたのでウキウキで行って来ました
ちょうど一週間ほど前に「俺は、君のためにこそ死ににいく」を借りたついでに「ひめゆりの塔(小百合さんバージョン)」を借りていたので(私の中では“特攻”とくれば“ひめゆり”なもんで)、「母べえ」観に行く前に急いでひめゆり観て行ったら、40年以上経ってるというのに、小百合さんが全くお変わりなくってたまげました むしろ透明感は増してる感じで ひめゆりの中でも一際目立っていたのでね やっぱり素敵すぎるなぁと思わされました 声もいい 山ちゃん演じる浅野忠信さんも山田洋次監督に見初められて(?)イメージをガラリと変えられて、たまらなく素敵でした きっと山ちゃんの方が素に近いんでしょうね 山田監督お気に入り壇れいさんもいつもとはイメージが違ってチャキチャキしていて、これまた素に近いんだろうなぁと思いました そして鶴瓶ですが、最高です 素に近い・・のかな?むしろ地で演じてる感もあり(笑)、ホントに良かったです 
泣くだろうなぁとは思っていたのですが、ホントに泣きます 私は浅野さん登場あたりからボロボロと 父べえが連れて行かれちゃって、傷ついた家族のもとに山ちゃんが来てくれたことで、初めて心から笑えるシーンがあって、山ちゃんが救世主だなぁと予感したら安心して・・ あとは子役ちゃんたち(W未来ちゃん・・・志田未来ちゃん(初べえ)と佐藤未来ちゃん(照べえ))が可愛すぎでしたね なんであんな画に描いたような、なんというか、ジブリっぽい芝居ができるんでしょ 小百合さんと3人、ホントの家族みたいでした 照べえの手を叩いてしまったことを素直に謝る母べえ、初べえに鶴瓶の良さをきちんと説明しつつも気持ちを理解する母べえ 母子のやりとりが本当に素晴らしかったです ハンカチ、じゃなくタオルが離せなかった(前半で泣き過ぎて、後半涙が枯れたのか(笑)頭痛がしてましたもん) 鶴瓶演じる仙吉伯父さんは、初べえからしてみたら確かにちょっと鬱陶しいんですけど(笑)、母べえの言う通り、本心で生きられなかったこの時代には伯父さんのような人が必要だったんだなぁと思います やっぱり父べえがなくなってからのシーンでは母子3人+山ちゃん+久子+伯父さんでいるシーンが人が多くて安心しましたから あとはさすが山田洋次監督だなぁと思ったのは小百合さんを泳がせちゃったってとこですかね 素晴らしかったです 浅野さんを溺れさせるってのもすごいし あとは大滝秀治さん登場のとことか、天皇がどっちにいるかのくだりも山田監督っぽかったです(笑) 日本映画ならではの静かさ、昭和ノスタルジー、子役の可愛らしさ、役者の美しさ、戦争の恐怖、人間のユーモア・・・いろんな要素が詰まっていて、一言では言い尽くせない映画(だからこんなに感想が長いんだな。笑) 
戸田恵子さん登場からは戸田さんに圧倒されて今までの内容を全て忘れかけたんですけど(笑)、倍賞千恵子さんが出てきて山田監督だということを再認識してまた感動しました ただ、小百合さんの「(父べえに)死んでから会っても意味がない。生きてるときに会えないと。」という台詞が私的に辛くって、いっそのことこの台詞なければよかったのに・・くらい思っていたのですが ウチの母べえに「あれが山田洋次監督が一番伝えたかったメッセージなのかもね」と言われ、なるほどなぁと思えました。私が無知なだけなのか、監督には今まであまり戦争のイメージがなかったのですが、あの時代を生きてきて戦争に思いのない人なんていないんですよね。ひめゆりの塔にしても「俺は、~」(特攻)にしても「夕凪の街 桜の国」(原爆)にしても、戦争の描き方は本当に多様ですが、それだけ多くの人が犠牲になって、生き残った人は痛みを抱えて、それでも事実を伝えていかないと、という思いで生きているんだなぁと思います。いつか戦争映画を作る監督がいなくなったとしても、私達が忘れてしまわないようにこうやってちゃんと名作が残されていくのだと思うと映画っていいなと改めて感じました 本当に良い映画でした