chuo1976

心のたねを言の葉として

ⅭⅩⅩⅩⅡ「マダムと女房」を見る聴く、         『エイガニッキ』 SASHI-ハラダ  2024/3/4

2024-03-05 05:46:25 | 映画


ⅭⅩⅩⅩⅡ「マダムと女房」を見る聴く、         『エイガニッキ』 SASHI-ハラダ  2024/3/4  

  郊外の漸くに住宅が建ち始めた地域、今だ田園が残り、この丘に面した、場所、その下側から、田園と高台の住宅地を捕える、カメラ、パンして、そのあぜ道後の通りを、チンドン屋が行く、こうして、音の始まり、通りの下では、新築のお屋敷を見上げる位置で、絵描きが、絵を描いている、まんざらでもない様子、そこに一人の男が現れて、劇作家なのだ、絵描きと作家、芸術家同士、絵描きのキャンパスの前に立ちはだかり、屋敷を見つめる劇作家、邪魔だとばかり、何していると苛立ちの絵描き、静かでいいなとばかりの劇作家の言葉、何がいいのだと、屋敷か絵かと絵描き、劇作家は絵を覗き、判った風な、気取った姿、溜らず、判りもしない三文文士と、詰る、馬鹿なと、これでも、そこそこの劇作家であるとの自覚の男は、名刺を取りだして絵に貼り付ける、己の絵を侮辱されて、しかも、絵の具を泥土のごとくに言われて、怒りの絵描きは、劇作家の顔に、フランス製の絵の具だと、パレットで顔に擦り付けて、かくて、劇作家の顔からは、絵の具が流れ落ち、サーカスの道化のごとく、劇作家は、そのパレットを、草原に投げ捨てる、キャンパスの絵は転がり落ち、投げ捨てられた、パレットを、求めて、二人は、草原の中、追っかけて、取っ組み合いは続き、劇作家は、逃れて、風呂やの女風呂の中に、叫び声、慌てて外にとび出した劇作家、そこに待つ、絵描きと改めて取っ組み合い、風呂やから、現れた美貌のマダムに、窘められて、恥ずかしわと、およしなさいと、ゆとりの、近代夫人に叱られて、彼女は緩やかな坂道を、着物姿で、気取った後姿を見せて立ち去っていく、見送る二人、これには、参った、笑みの二人、この諍いの前に、気に入ったのならば、あの空き家を買えと、確かに、白いお屋敷の横には、空きやの札が、なるほどと、見つめていた劇作家、去っていく女には、劇作家は、あなたは、まずは風呂に入りなさいと、男湯よと、笑みの二人は、互いに見つめ合うばかり、参った参った、トラックのクラクション、絵をタイヤで踏みつけてしまって、どうするのだ、車で轢いてしまうぞと、運転手、かくて、この空き家に引っ越してきた劇作家一家、妻と幼い子供二人、引っ越しの手伝いの仲間たち、疲れ果て、そろそろそばの時間だとばかり、妻はお蕎麦の用意が出来て、食べてくださいと、呼ばれて、食事して、深夜、困惑の妻、火鉢の前で、時計を見ると既に深夜、なんと引っ越しの手伝いの仲間たちと夫は、麻雀に、面白く無い妻、夫を隣の部屋に連れ出して、早く帰ってもらってと妻、だが、せっかく手伝いに来てもらったのに、追い返せないと夫、妻は、夫に早く仕事にとりかかってほしいのだ、火鉢の中から、コインを取りだしたばかり、生活費が、危ないのだ、妻に急かされて、そんなに金がないのかと、妻の財布、在るじゃないかと、ばかな、これは生活費、引っ越しの最中に、机の前に張られた、懸賞金の仕事を妻は、さっさと仕上げてもらいたいのだ、客を追い返して、察したか、仲間たちが帰っていく、急に笑みの甘い声を出しして、もうお帰りとばかりの妻、お調子者の妻、子供を寝かせながら、妻も横になって、夫には、直ぐに仕事よとばかり、だが何も書けないままに、そこにネズミの蠢く音、天井裏、苛立ち、猫の鳴き声の夫、煩いわねと妻、すると、こんどは、夫の猫の声に反応したか、窓の外に、本当の猫の鳴き声、これまたうるさくて、タバコの缶を投げつけて、やっと静まった、すると赤ん坊が、泣きだした、煩くて、泣かせるなと夫、しかも、今度は、姉娘が、おしっこと、妻は夫を呼ぶ、なんで俺がと夫、夫がやってきて抱くと、姉娘は、母ちゃんがいいと、何をぐずぐずしているとばかりの妻の顔、溜らない夫、おしっこを済ませて、寝かしつける夫、寝てしまっている妻、俺だって眠いと寝てしまう作家、あくる日、目覚まし時計、いつまでも起きない夫、姉娘が、父親の前で、時計で、起きろとばかり、いたずら、甲斐甲斐しく、朝の用意の妻、やっと起きだす劇作家、寝坊助と、からかう娘、かくて、また、机の前に座り、なにも書けないままに、そこに、押し売りが、何とも、人相の悪い男が、妻は困惑して、夫を呼ぶ、巧みに売り物を取しだして、語りかける押し売り、買う気のない夫は、無視しているが、押し売りが、劇作家の仕事を褒めて、まるで大作家のごとく、おだてられて、手にした品を買うことに、妻に、お金と手を差し出して、怪訝な顔の妻、全く、駄目な夫、こうして、旨くまるめこまれて、買ってしまう、夫、しかも、机の前で、何所か煽てられていい気分の夫、さて、仕事は、相変わらずに、捗らず、原稿は、書いてはまるめ、買いてはまるめの繰り返し、すると隣の屋敷から、音楽が、ジャズが、妻に行って来いと、収めて来いと、自分で、あなたが、行ってらしてと、煩いばかり、これでは仕事に成らないと、困り果て、外に出て、隣のお屋敷に、マダムが現われて、誘われて、お屋敷では、大広間で、パーティーが、着飾った、派手な人々、バンドと、音楽と、踊る人々、西洋人の美しい娘までも、劇作家は、一人着物姿で、踊にまでも、誘われ、ソファに、くつろいで、屋敷の夫人と語らう作家、いつまでも戻らない、夫に、苛立ちの妻、窓から覗くと、向かいのお屋敷の窓が見えて、そこでは、くつろいで座って夫人と語らう夫の姿が、怒り、睨み、嫉妬、ルビッチぇだ、ヒッチコックだ、見えてしまった様子に、何を見る、音楽、ダンス、マダムの歌、陽気に、西洋かぶれの近代人のお屋敷、マダムの世界、叱りつけるはずが、いい様にあしらわれて、笑みで、玄関先で、飲み物を飲み干して、酔ったままに、もどってくる夫、妻は何しに行ったのだと、ご機嫌で、机の前、相変わらずに、高なる音楽、しかし、今や、笑みで聞き入るばかりの呑気な劇作家、苛立たしくて、ならばとミシンを掛ける妻、その音には、溜らず、何をしてると夫、二人の、何をしても、空回りの、世界、が、それでも、締め切りに間に合ったか、文字で語られる、その後、無事に、仕事は成って、この郊外の丘下を、歩く家族、夫と妻と子供らと、高みの場所では、新しい建築の始まり、えんやこーら、掛け声の人たち、姉娘が真似て、よいこら、えんやこら、夫も一緒に、その様子を見ている働き手、妻は、みっともないと窘めて、近代化は、進み、スピードの時代、屋敷でマダムが歌う歌は、スピード、スピードと、今時が歌われるのだ、するとまた少女がおしっこと、判ったと夫、妻は、外では恥ずかしいと、家まで我慢と、でも出るものは仕方ないと夫、ならば私がしますと妻、そこに、飛行機が、飛んできた、少女は走り出し、おしっこはどうした、見上げる家族、これまた、近代化の夢世界、乗るのならば一緒だと夫、落ちるのもまた一緒、御屋敷からだろうか、あおぞらー、あーおそら、と、歌が聞こえてくる、仕事も成って、余裕の家族の歩み、おしっこも収まったか、226の年の映画、先日観た墨東奇譚もまた、小説は226の年、西洋のスピードスピードに絆されて、わたしたちの、我慢、我慢、コロナ禍の後、震災の後、復興支援を夢見て、我慢我慢、劇作家の、絵描きの、一獲千金、隣の西洋マダムの世界を夢見ての、夫が屋敷から戻る前の、一人、田中絹代のきんらんどんすのおびしめながらと口ずさまれる歌、西洋音楽に対しての日本の歌、なぜなくのーでしょ、そして、負けじとミシン掛け、ラストは、劇作家の仕事は目出度く解決してのハッピーエンドに見えますが、あの遠景の中、力仕事の人々、顔の見えない働きて、妻の語る、みっともない、だから、あなーたーと呼ばれ、隣ではスピードスピードと歌われ、その最中に、なぜなくのーでしょ、我慢我慢、みっともない、これが、トーキーの始まりの、日本の映画の、この時代の音、声なのです、そして100年近くが過ぎた今、私たちの背中には、相変わらずに、我慢、我慢、なぜなくのでしょ、みっともない、が、張り付いてはいませんか、暢気な、家族の背中を安易に笑みで見送ってすましていませんか、彼らは、戦争世界に歩み始めたのだから、私たちもまた、

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