chuo1976

心のたねを言の葉として

「はじまり」   工藤直子

2012-09-20 06:05:40 | 文学
「はじまり」   工藤直子


畠があり川があり
また畠があり森などもあって
ついには地平線がある

背中をのばして地平を見つめ
地平の奥の雲を見つめ
雲のむこうの青さをみつめ
青さのなかの見えない星を見つめ・・・・・
おお 目が痛くなるのだが
何もないあそこから
何かが始まっているようだ

光が駆け抜けた!
風が追い抜いた!
・・・・・・
空はいま
いまのいま 突き抜けた!


忘れたいことがあり
忘れたくないことがあり
判りたいことがあり
判りたくないことがあり・・・・
でも しかし・・・・
だが しかし・・・・
そんなことどもは まるで
どうでもいいようなふうに

ごうごうと地球はまわりつづけ・・・・
あらゆる生き物の鼓動をのせて
ごうごうと地球はまわりつづけ・・・・

目まいしたわたしの前に
相変わらず畠があり川がある

光が また駆け抜けた!
風が また追い抜いた!

空はいま
いまのいま 突き抜けた!

何もないあそこから
確かに何かが始まっているようだ
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