chuo1976

心のたねを言の葉として

毎日新聞6月24日 短歌月評(歌人・加藤英彦)一部抜粋

2019-06-27 05:24:23 | 文学

毎日新聞6月24日 短歌月評(歌人・加藤英彦)一部抜粋
十代の感性は柔らかくて自在だ。その感覚の芽を全開して豊饒な詩歌の森に放てばよい。淡い恋も青春の孤独も生や死の不条理も、パズルのように答えが用意されているわけではない。人間とは厄介な生き物だ。そんな人生の濃淡を生きる力を文学の奥深さは教えてくれる。それは読み、語りあうことで開かれる”知”の扉である。
しかし、これから高校の国語は大きく変わろうとしている。小説や詩歌を扱う時間は極端に減少し、論理国語という実用性重視の傾向が強まるのだ。実社会に有用な論理力や読解力を優先する考え方で、この実学偏重の流れは2021年から実施される大学入学共通テストと連動している。すでに小説や詩歌に代わって生徒会規約や駐車場の契約書が国語のモデル問題になったと聞く。背景には国際社会における日本の国語力の低下がある。その解消も大切だが、どこかに強い違和感がのこる。
今年一月、この傾向に日本文藝家協会が声明文を出し、最近、現代歌人協会・日本歌人クラブも連名で声明文を発表した。いずれも文学軽視の新学習指導要領を深く憂慮する内容である。
豊かな心は論理が育むのではない。行間を読み、心の余白を感じとる力こそ実社会には必要だろう。いじめる心の闇やふと兆した狂気の逃がしかたさえも文学は抱きよせる海なのだ。

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札幌国際芸術祭

 札幌市では、文化芸術が市民に親しまれ、心豊かな暮らしを支えるとともに、札幌の歴史・文化、自然環境、IT、デザインなど様々な資源をフルに活かした次代の新たな産業やライフスタイルを創出し、その魅力を世界へ強く発信していくために、「創造都市さっぽろ」の象徴的な事業として、2014年7月~9月に札幌国際芸術祭を開催いたします。 http://www.sapporo-internationalartfestival.jp/about-siaf