chuo1976

心のたねを言の葉として

「はるかな歌」   ―わが妻の生まれし日のうた―   まどみちお

2012-04-21 06:35:04 | 文学
「はるかな歌」    ―わが妻の生まれし日のうた―    まどみちお

みなみのくにの さつまのくにの
井戸があつて みかんの木のある
一軒家
しづかな障子
大安日(だいあんにち)か さんりんぼか
あたたかい日に
鶏(とり)なく日に
妻よお前はついたのか
はるかな旅からついたのか

母も覚(おぼ)えず 父さへ解(げ)せぬ
もはやはるかな方言(くにことば)で
アヲアヲアヲ アヲアヲアヲ
たどりついたといふ挨拶(あいさつ)ばかり
母でもなく
父でもない
とほくのとほくへ呼んだのか
障子のむかふの田のむかふ
すはうのくにの 海のほとりの
海に映つたひなたの村の
杏樹(あんず)の下に
菜畠(なばたけ)に
その日の俺の一年生

きよげにひかる耳殻(みみたぶ)は
風にふかれて遊んでゐた
風にふかれて遊んでゐた
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札幌国際芸術祭

 札幌市では、文化芸術が市民に親しまれ、心豊かな暮らしを支えるとともに、札幌の歴史・文化、自然環境、IT、デザインなど様々な資源をフルに活かした次代の新たな産業やライフスタイルを創出し、その魅力を世界へ強く発信していくために、「創造都市さっぽろ」の象徴的な事業として、2014年7月~9月に札幌国際芸術祭を開催いたします。 http://www.sapporo-internationalartfestival.jp/about-siaf