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あの町この町

2018年03月23日 | 曲目解説
中山晋平・野口雨情のゴールデンコンビによる「あの町この町」は、『コドモノクニ』1924年1月号で発表されました。

あの町この町日が暮れる 日が暮れる
今来たこの道 帰りゃんせ 帰りゃんせ

おうちがだんだん遠くなる 遠くなる
今来たこの道 帰りゃんせ 帰りゃんせ

というこの曲、1924年ということは、関東大震災の数か月後です。2番の「おうちがだんだん遠くなる」という歌詞が、うっすらとしたおそろしさを醸し出していますが、そういう時代背景があったことを思い起こさせます。


画:岡本帰一

二番の解釈については疑問に思う人が多いようで、なぜ家路についているのに「遠くなる」のか、という意見が多数派のようですね。
幼いころこの歌を聞いて、私は「やむにやまれぬ事情がある子どもが夕方に家から遠出して、目的地はまだ先にあるのに日が暮れて恐ろしくおもっているところに、踵を返して家にもどりなさいという天の声が聞こえるが、やっぱり目的地に向かわざるを得ない」恐ろしい歌、と思っていました。この子どもはどちらに向かって進んでいるんでしょうね。今もってわかりません。

岡本帰一の絵は、夕暮れのお正月の風景です。女の子は羽子板を持っています。とくに用事はなさそうですね。

この歌は、子ども向けの演奏会で、「うさぎのダンス」とセットで子どもたちにその場で教えられたそうで、うさぎのタッカタッカというピョンコ節のリズムに引きずられて、「あっのまっちこっのまっちひっがくっれる~」と歌う人も多かったとか。付点だとなんだか楽しい感じですね。

素朴な歌ですが、けっこう音域が広いので(1オクターブ+3度)、油断大敵(笑)です。
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