みなさまこんにちは! 雨が続きますね・・・。
先日ブレスの記事でご紹介した雑誌パイパーズですが、表紙の写真をご覧になって「何の楽器?」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
こちら、ダブルウォールメタルクラリネットといいまして、金属素材で作られたクラリネットです。(リードは通常の植物素材を使用します)
ダブウォールという言葉通り、管体が二重になっており、内部は空洞です。二重になった金属の管は、ベル手前の楽器のジョイント部分と各トーンホール(管体にあけた穴)部分で接合されており、これにより空気の層が閉じ込められる構造となっています。つくるのが大変そうです。木製のものより軽いそうです。
クラリネットは木管楽器で、現在通常使われている楽器は、管の部分は堅木(グラナディラ、ローズウッドなど)で作られていますが、現在は金属素材が主流であるフルートが木→金属に素材が置き変わったのと同様、素材の金属化が目指された時期がありました。19世紀始め~半ばころのことのようです。
なぜ加工がむずかしい金属に?という疑問がわきますが、これは、木質材料が温度と湿度に影響されて「割れる」という事態が出来したからで、乾燥したヨーロッパならではの悩みですね。また、金属管を二重にすると間の空気層が保温の役目を果たし、外気による素材の伸び縮みの影響を最小化することができ、したがってピッチの狂いを免れ得たというメリットもあったようです。
現在は木質材料が主流ですが、やはり戸外で演奏するときはお天気や湿度に大変気を使うとのこと。甲子園球場で応援演奏をする吹奏楽団のみなさんは「プラ管クラ」といって、管体がプラスチックのものを使うこともあるようです。「なんか、軽い音がして吹きにくいで~す」と知り合いの女子が言っていました。
共鳴させるボディは重い方がいいのか、密度はどうか、という問題は、声楽家の体の大きさ問題ともリンクしますね。「歌は脂肪で歌うわけではありません」という細身の声楽家もいらっしゃいますし、たとえば着用する衣裳の関係で体重を落とすために胃の体積を外科的に小さくされたデボラ・ヴォイトさんなどは、やはりもとのボディのほうがよく響いていたという評価もあるようです。
なお、ダブルウォールクラは、金属製であっても木管楽器だそうです!