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旧帝大のパイプオルガン

2017年04月18日 | その他
パイプオルガンといえば巨大な楽器。というより、建造物であって、とてもお金がかかあることで有名です。そのいわば「ぜいたく品」が、国立大学(旧帝国大学)にあるのはご存じでしょうか。

まずは国内総合大学の最高峰、東京大学。
入学してまず通うのが「駒場東大前」にある駒場キャンパスです。ここは、旧一高があった場所で、現在も由緒ある建物がそのまま学生に使用されています。

その中に、900番教室と呼びならわされている建物があります。

設計は内田祥三。内田ゴシックと呼ばれる端正な設計作法で知られ、東大総長、建築学会会長などを務められた泰斗でいらっしゃいます。


正門から続く一本道の突き当りに広場、その両側に同一デザインの建屋がたっていますが、向かって右が現在は博物館として使用され、左が900番教室という駒場東大キャンパス内で最大の収容数(600席)を誇る講堂となっています。

問題のパイプオルガンですが、この建物の正面入り口を入って講堂に足を踏み入れ、後ろを振り返るとそこに見ることができます。正面はステージです。

二階席の上にあるんですね。
つまり、演奏は後ろから聞こえてくるしかけになっております。一階の座席は可動式のようですので、もしかすると演奏会のときには逆向きに並べるのかもしれません。(二階席は固定)

構造体である不思議な形のピラーが講堂内側に突出しておりますので、たぶん音の響きは複雑なのではないでしょうか。

このオルガンは別名「森オルガン」とも呼ばれています。そもそもここにパイプオルガンが設置されたのは、吉祥寺の教会にあった古いパイプオルガンを移築しようとしたところ、使用に耐えられるものではないということが作業途上で判明し、移築に資金協力を仰いでいた森ビルオーナーがそれではほぼ新造であってもお金は出しましょう、とおっしゃり、移築(というより新築)されたという歴史があるのだそうです。1977年整音完了とのことです。
ストップ数12、パイプ本数700の「小型オルガン」です。
現在、学内にあるオルガン委員会が管理を行い、オルガン同好会の学生さんたちが演奏活動を行っています。


そして、もう一つ。
実は、森オルガンより先に、北海道大学にパイプオルガンが設置されていました。
北大といえばその広~~~~~いキャンパスで有名ですが、その南端に「クラーク会館」という学生会館があります。(全国初の学生会館)



クラーク会館(地元の人はクラ館と呼びます)は、創学80周年を記念して1959年に建てられた建物ですが、その時の学長杉野目晴貞さんが、「これからの総合大学は学問の場であると同時に教養文化人として芸術を愛する者を育てる場所である」という高邁な精神の元、パイプオルガンの設置を提案されました。そして、OBに声を掛けて資金を調達する一方、ドイツのオルガン工房に楽器を発注、オルガンは3年の月日をかけて制作され、ハンブルク港から小樽港まで船で運ばれました。
そして、クラーク会館に搬入され、設置・整音が完了したのは1966年。



こちらは講堂の正面ステージ奥に楽器が設置されていますので、お客様も前を向いて演奏を聞くことができますね。また予め楽器の設置が考慮されての建築設計だったでしょうから、音響的にも東大よりも優れていそうです。

ストップ数26、パイプ数1556
とのことですので、森オルガンよりも大きいですね。

哲学者の森有正さんが避暑でおとずれたある夏、このパイプオルガンを演奏されていたのだそうで、その時の演奏がCDになっているとのこと。すごい教養ですね!

北大でも学内のオルガン研究会が管理を行い、学生さんたちが定期的に練習・演奏活動を行っています。

聞いてみたいですね!
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