どこかにあったはず、と思いながら行方がわからなかった品が出てきました(^^;
何も書かれていな古箱です。
中には、3組の茶托が入っていました。
台:径 10.1㎝、高 2.9㎝。蓋:径 9.9㎝、高 1.9㎝㎝。大正時代。
木目を生かした溜塗りです。暗赤色の地です。摘みの頭と蓋裏が黒色です。
蓋の裏側に、謂れが書いてありました。
此の茶托は明治の末年浄財七拾余萬円を
集めて奈良東大寺大仏殿を修繕之際
不用となりし古欅材を請受け記念の為
同地石田東雲堂に命し東大寺に所蔵の
茶托に模し作りしものなり
蓋し材は今を去る二五十余年前宝永時代
仏殿再建の時使用せし良木なり
大正二年十二月 奈良
高田勘次郎
公慶上人の尽力により、宝永6年に再建された大仏殿の古材を使って作られたのが、この3個の茶托だったのですね。その後、大仏殿は、明治12年から大正4年まで大規模な修繕が行われ、その時に不用となった古材が出たわけです。
東大寺所蔵の茶托を模した品です。
けれども、東大寺ではその茶托にどんな茶碗を乗せて茶を出すのかわかりません。そこで、例によってその辺にある茶碗を乗せてみました。
薩摩茶碗:
古染付麦藁手茶碗:
柿右衛門茶碗:
古染付楽人茶碗:
九谷養老滝茶碗:
うーん、どれもイマイチですね。
東大寺ですから、どっしりとした陶器系の茶碗の方がよいでしょうか、それともお寺ですから天目茶碗?
素人目にはシマシマが合うような気がします。
3番目も座りがよさそう。
持っているだけでお守りになりそうな古さですね。
故玩館はお守りだらけ
何が良くて何が悪いかは一概に言えないです。
麦藁手は、巷で、白洲正子好みと言われる類のものです。民芸調なのですがちょっと気の利いた所が女性の心をくすぐるのだと思います(^.^)
私は知らないのですが、天目台と蓋を合わせて茶托というのでしょうか。以下、そのように定義して(大袈裟)書きますので、ご了承ください。
やはり、立派なお寺の古材で作った茶托ですから、茶托には天目茶碗を載せ、それに蓋をして使ったのでしょうか。
これを読んでいて、拙ブログに2020年6月26日に紹介しました「伊万里 染付 松竹梅文 天目茶碗」のことを思い出しました(^-^*)
これを売っていた骨董屋のオヤジの言うことには、「高貴な人には天目台に載せ、それに蓋をして差し上げたんだよ。だからコロ茶碗なんかとはちがうんだよ」ということでした。
その言うことが正しいとすれば、拙所蔵の「伊万里 染付 松竹梅文 天目茶碗」もこの茶托に合うのかもしれませんね(笑)。
結構大振りの茶托で、高台が高いので、やはり天目茶碗用だと思います。
箱の裏書きに茶托とあったので、この品を思い付いた高田氏に敬意を表して、茶托の名称を使いました(^^;
Drの品を置いてみたいですね(^.^)
東大寺大仏殿の木材で作られた茶托!
そのような品が存在していること自体が驚きですが
これを作らせた、高田勘次郎なる人物にも興味が湧きます。
こういう古材を使った小品、他にも時々見ます。思い入れが価値ですね😀