今回の品は、鶴首花瓶(瓶子?)1対です。
先回の小皿と同じく、類例の少ない物です。
同じ模様(逆向き)の鶴首花瓶、2本です。
口径 1.3㎝、胴径 5.8㎝、高台径 3.3㎝、高 11.6㎝。重 110g(1個)。明治初期。
軟陶で、胎土はクリーム色の陶土、やはり薩摩系でしょうか。
草花と鳥が泥七宝で描かれています。これまで多く紹介してきた錦光山系の七宝模様とは、少し異なるようです。
鶴首は、2パターンの幾何学模様が施されています。
一方、胴には、鳥、
鳳凰、
草花、
そして、草花(?)が描かれています。
底には、色釉で謎のドット。しかも、二個ともに。まさか、疵を隠すためではないでしょう(^^;
ん!?、もしかして・・・
ドットを合わせてみると・・・・
二羽の鳥が向き合っています。
反対側は、
鳳凰も向き合い。
どうやら、二個の花瓶を置く時の目印のようです。
これは、明らかに、西洋人を念頭にしていますね。
この鶴首花瓶も、輸出向けの品だったのでしょう。
酒田の人さんへのリコメで、鶴首花瓶は実用的ではない、と断定してしまいましたが、violet vaseなるものがあったのですね。
上品な夫人が、瀟洒な庭からお気に入りの花を摘んで、violet vaseに挿して楽しむ・・・・いかにも絵になりますね。
百数十年前には、そういう需要があって、日本から輸出したのかも知れませんね。
これは俗称らしく、検索しても出てきませんが、要は茎が長く華奢なスミレを活けるためのもので、花瓶の口の狭さで花を盛るように活ける小さな花瓶のことを指すようです。
英国の影響色濃い土地柄のせいか、イングリッシュガーデン風に野の草花、雑草に近いものまで季節を堪能するために飾る習慣がある高齢者も多いので、この大きさは納得できました。
素材が何であれ、この大きさは過去のものらしく、「なかなか見つからない」
と彼女は嘆いていました。
故玩館ならあったんですね~^^;
こうような品が存在するのは驚きでしかありません。
海外で鶴首がどのような用途に用いられた(あるいは単なる装飾品?)か
何となく興味をそそられるものがあります。
ただ、こんな小さな物が、ヨーロッパで好まれたというのも不思議です。
もう、王侯貴族の時代ではなくなって、一般向けの品が多く輸出されたのでしょう。
でも、底の目印を見つけてからは、こりゃあ外人さん向けだと確信した次第です。
鶴首の陶胎七宝もあるんですね!
よく伊万里なんかでは見ますがこれは珍しいものなのではないでしょうか!?
手取りの大きさもよくいいサイズ感ですね(^^)
Kさんも書いておられますが、この色合いがなんとも独特でよいですね!
やっぱり気になるジャンルです笑
単に2本揃えたのではなく、ちゃんと2本が一対になっているのですね。しかも、2本がきちんと対になるように、置く時の目印まで付けてあるのですね(^_^)
色も、ケバケバしい色調を押え、しっとりとした華やかさを醸し出していますね(^-^*)