木工芸・漆・道具        

 木肌の美しさに惹かれ、指物の伝統技術と道具に魅せられて・・・・・ 木工芸 市川 (宇治市炭山)

久しぶりに東京へ

2021-11-15 20:41:02 | 木工
14日、東京の国立科学博物館で開かれている「木組」展に行ってきました。



午前中は、工芸技術記録映画「木工芸ー須田賢司の技ー 」の上映会。
この映画を見るのは2回目ですが、又新たな気付きがありました。
指物については師について修業するということがなかった自分にとって、実際の制作場面を見られるのは大変貴重な機会でありたくさんの事を学べます。
今回も次の作品についてヒントをいただけました。

午後は須田先生の講演「木組ー美と強度を求めて」
1世紀、弥生時代に作られた「案(机)」とグレコローマン時代の「棺」。
更に、赤漆文灌木厨子の支輪の仕口など、加工技術の高さには驚きますが、考古学の常識以上の道具や技術、文化があったのではないかという思いが一層強くなりました。
関東や長野の木工家の皆さんとも久しぶりにお話にできたのもうれしい事でした。

早めに終わったので、浅草橋のルーサイトギャラリーに寄ってみました。

4月に煎茶工芸4人展をさせていただいて以来です。
この日はモハンさんの「絨毯展」の最終日。
初めて見る絨毯の世界とお話に圧倒されました。
オーナーもお元気そうで何よりでした。

一泊し、15日は「日展」が開かれている国立新美術館へ。
高校時代の友人の大塚君が、今年も工芸部門で入選。
京都展では関西の作家の作品が中心なので、埼玉県に住む彼の作品を見たくて行ってきました。
同じく高校時代の友人の柳沢君とも待ち合わせて会場へ。

作品のタイトルは「動く形態パート2螺旋」


陶芸の作品なのですが、板状にした粘土を決まった形に切り抜きそれをつなぎ合わせて作った部品を螺旋状につなぎ合わせた立体作品。
伊羅保の油薬がかけられています。
大塚君に制作についていろいろ話しを聞きました。
木などに比べ、重量があり軟かい粘土を使ってこの形に組み、焼くのはさぞかし大変だったろうな、とその苦労が忍ばれました。
強くは主張しないながらも、内からの動きで訴えて来るような、見ていても心地よさを感じる作品でした。
とにかく作品が多いので、工芸と彫刻の作品を中心に急ぎ足で見て回りました。
その後3人で昼食をとりながら、暫し歓談。楽しいひとときでした。

1日お茶会の翌日で、少し強行軍でしたが、2日間の余韻に浸りながら京都への帰路につきました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

テレビ台の制作

2021-11-02 20:44:42 | 木工

9月の下旬から制作に取りかかったテレビ台。


10月に入ると展示会、帰省などが続き木地の刻みが完了したのが10月半ば、


やっと本体の仮組みまでこぎ着けました。塗装は迷った末拭漆仕上げにすることにし捨て摺り。


そのまま室に入れっぱなしで、研ぎに取りかかったのは10月下旬。


一回目の研ぎのすんだ部材。すべての部材を研ぐには1日かかります。


11月に入り、天板の裏や地板の裏がほぼ仕上がってきました。
5日からは伝統工芸展京都展が始まります。完成はいつのことになるのでしょう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

払子の修理

2021-10-12 20:32:22 | 木工
払子の修理をしました。


二又に分かれた木の枝を用いた珍しい払子(ほっす)ですが、
片方の軸が虫に食われたのか穴が空き割れていました。


穴の中に補強のための削り出した桐の棒を入れ、刻苧(こくそ)で埋め、乾かしながら少しずつ盛り上げていきます。


最後は元の形になるよう削り出し、漆を塗って完成です。
少し黒いですが、漆が透けてくるとちょうど良い感じになるでしょう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「伝統工芸IN宝泉院」が終了しました。

2021-10-10 20:00:42 | 木工

「伝統工芸IN宝泉院」が昨日で無事終了しました。


期間中たくさんの皆様がおいで下さり、作品をご覧いただことができました。
いろいろお話しも伺え、これからの励みとなりました。
ありがとうございました。
名刹の中での初めての展覧会でしたが、お庭も楽しめ来て良かったという声をたくさんいただきました。
お世話になりましたご住職をはじめお寺のスタッフの皆様、安田様本当にありがとうございました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

唐木卓修理

2021-09-24 09:52:11 | 木工
仏壇の前机を作って欲しいというお話しをいただきました。
今使っているものが大分痛んでしまい、その上奥行きが広すぎてお仏壇の都が閉まらない、ということでした。
拝見した卓はかなり古いもので、接合部の糊が切れ、天板も幅が痩せ大きなすきまが空いていました。
歴史を経てここにあり、部材自体には大きな傷もなくしっかりしているので廃棄するのは忍びなく、修理を提案させていただきました。

早速持ち帰り分解

框や脚は紫檀、天板は縞黒檀、天板の裏には大鋸目が残っています。


外した部材の接合部に残っている膠は、お湯で溶かして拭き取りました。


どうせならと、すべての部材を外してお掃除
奥行きを短くするため、妻手の框を切り詰め仕口を加工。


天板の幅を切り詰め、木端を決り直して框に嵌め
欠損していた摺桟を補充して、留めを接合


脚を立てて、飾の透かしを接合


材の狂いも比較的少なく、何とか組み上がりました。
これでまたしばらくお使いいただけると思います。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

五稜箸

2021-09-20 09:24:44 | 木工

久しぶりに「五稜箸」をつくりました。

今回できたのは全部で26膳。


9月の初めに楓の縮杢の材を使い、鉋で五角形に削り出し


空研ぎはせずに生漆を塗り、良く乾かして水研ぎ。#240からはじめ、#320、#400,#600とくり返し


下地ができた後、生漆を塗って拭き重ね、少し漆層を厚く仕上げます。


黒田乾吉流の拭漆ですが、箸、食器などには向いているように思います。

「五稜箸」という名前は、私の高祖父が勤めていた故郷にある「龍岡城五稜郭」にちなんでつけたものです。
十数年前から作りはじめ、年間100膳近く作ったこともありました。

ちょうど数日前、NHKBSの「心旅」という番組で、火野正平が故郷の町とこの龍岡城五稜郭を訪ねていました。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

椅子修理

2021-04-16 22:57:34 | 木工
10年前の2011年に東京のIさんにお納めしたタモの椅子2脚。
最近少しガタつくということでしたので修理のため送ってもらいました。
梱包を解いてみると、10年の年月を全く感じない位きれいにお使いいただいていました。



思った通り、2脚とも座板と脚のほぞの糊が切れていました。材の乾燥などまだまだ腕も未熟でした。
シンプルな構造にしてるので接合部にかかる力も強く、長年の使用で糊が切れたのだと思います。
ただ、シンプルが故に修理も簡単。



それほど痩せていたわけでもないので、接合部をきれいにして糊(接着剤)を入れ、ほぞを入れればOK。



胴付きを密着させるために暫くクランプで締めます。



汚れを落としてガラス塗料でちょっとお化粧して、修理完成です。
明日梱包してお送りします。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

制作は続く・・・

2021-03-17 21:46:21 | 木工
このところ制作の記事をUPしていませんが、幸いなことに休みなく制作は続いています。
伝統工芸近畿展、日本煎茶工芸展と続き、来週初めには日本伝統工芸木竹展の搬入。


出品作品の制作の目途がついたので(写真は制作中の一コマ)、同時に開催される「秀作小品展」の作品の制作にかかっています。

時間が足りない中で、勝負が早いのが

挽物。


楓の銘々皿を制作。


ついでに、4月14日からの伝統工芸近畿展と同時開催の「ひとり呑み展」に出品する酒器も。


こちらは栃の杢材を使い、蘇芳で染めて拭漆仕上げにします。


続いては、共箱を含む桐箱の制作・・・。

近畿展同時開催の「わざの美・現在展」の出品作はまだ手つかず。(・・;)
おっと、その前に4月2日~4日は東京のルーサイトギャラリーで「煎茶の設え」展が控えていました・・。(^_^;
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

桐小箪笥の制作

2020-12-10 22:09:17 | 木工
久々の投稿です。
FaceBookで先月指先の怪我について記事をUPしたところたくさんの皆様からお見舞いや励ましの言葉をいただきました。
本当にありがとうございました。
あれから2週間半ほど経ち、お陰様でだいぶ回復し、薬指、小指はまだ爪は伸びきっていないものの、皮膚も再生し、元の状態に近づいています。
中指もまだ皮膚は完全に再生してはいませんが、だいぶ肉も盛り上がってきました。
テーピングをしながらですが、仕事もほぼ通常通りできるまでになりました。大変ご心配をお掛けしました。

怪我の前から取りかかっていた桐の小箪笥です。

幅34cm、高さ47cmで6段。


箪笥を作るときいつも思うのですが、抽斗の部材の多いこと。
あの狭い棚にこれだけの材料が入って物を入れるスペースができるのだろうか?と思うくらいです。




抽斗には細かく仕切りを付けました。


落とし戸がついて完成。

次は、印籠の小箱。

木釘も爪楊枝くらいの太さに削りました。


桐は大好きな素材。いろいろ学ぶことも大です。

なにはともあれ、怪我がたいしたことなく仕事が続けられて良かったです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ハイバックチェア

2020-10-16 14:47:32 | 木工
制作中のハイバックチェア。やっと仮組みまでこぎ着けました。



この椅子の注文をいただいたのは、かれこれ7~8年前だったような・・・。
食事の後など、テレビを見たりしながらゆったりくつろげる椅子を、という注文でした。


そしてもう一つ。
丹後の森林組合の仕事をしていたSさんが、ご自分で伐採・製材した楢の木で作って欲しいという注文でした。
製材してから2~3年現地で保管。湿気の多い丹後よりこちらの方が乾燥しているので私の工房内で保管して5~6年が経ちました。
まだ完全な乾燥まではいきませんが、使えるレベルになってきたので9月に荒木取り。
約一ヶ月養生し制作に取りかかりました。


木取りをして、まずは仕口の加工。


部材を鉋で削り出す作業。なかなか手強い楢の材で、削り甲斐がありました。


部材の加工が終了。


今回、楢の材は硬いので、身体が直接あたる部分には柔らかい杉を貼りました。
これも丹後の杉です。
座板には杉の板に座彫りをして乗せています。


仮組み。
この椅子、従来制作してきた椅子の構造を元に、座および背の角度を計算して設計した物です。
それぞれの材が干渉し合って、一旦組み立てたらほぞが簡単には抜けない構造になっています。


Sさん、もう暫くお待ちください。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする