新・台所太平記 ~桂木 嶺の すこやかな日々~

N響定期会員・桂木嶺の、家族の介護・闘病・就職・独立をめぐる奮戦記を描きます。パーヴォ・ヤルヴィさんへの愛も語ります。

わたしが専業主婦をえらんだ理由(わけ)。

2018-11-27 06:00:46 | 日々のエッセイ
もうちょっと私のことについて、お話しますね。

専業主婦を始めようと思ったのは、
実は今の彼と24年間つれそって、離婚したせいでした。

離婚の理由はいろいろあったけど、
結局1年間彼と離れて暮らしてみて、
彼の存在がとても大きいことに、あらためて気づいて、
それで復縁をしたのでした。

復縁の条件はいろいろあったけど、
その中で、私が申し出たのは、
「専業主婦になりたい」ということでした。

それまでは、音楽評論と、演劇評論をしていました。
日々コンサート、観劇、調べ物の日々で、
正直家庭を顧みる余裕がまったくなかったです。
もちろん、家事はするのだけど、
愛情をきちんと込められたかといえば、うそになります。
それを、彼にも見抜かれていたのでしょうね。

でも、自分が性格的に評論に向いていない性格だとさとりました。
その評論の対象になった人を、愛してしまうからです。
これはいけない、と思い、ずいぶん葛藤したのですが、
やっぱり愛情を抑えることはできませんでした。
なので、思い切って、評論そのものをやめてみようと決意したわけでした。

やめてみると、精神的に、ずいぶん余裕がうまれました。

まず、それまで世の中の事象に対して、
なにかと批判的だった私が、
すなおに、周りの事に対して笑顔で屈託なく受け入れることが出来る様になりました。

その最たるものがテレビのバラエティです。
前は「こんなひどい番組、どうして作るのだろう!」と憤るような性格でした。
でも、いまは、彼とたのしく番組を見て、ときには涙する喜びもしりました。
まさに一家団欒、という言葉の意味をさとったのでした。

世の中のすばらしさが、音楽、美術、芸術だけでなく、
日々の生活の中にも息づいていることがわかってうれしかったです。

たとえば、きのうは近所のスーパーに行ったんですが、
白菜の四つ切が87円で売られていたんです。
白菜、大好きなので、うれしくてついつい買ってしまいました。
豚肉と合わせて煮込んだら、白菜は最高です。
なんていい季節になったのだろう、と、私はうれしくなりました。

料理も、つくってみるとなんて幸せなんだろう、と思います。
きのうはポトフを作ったのですが、野菜をたっぷりいれて、
コンソメを入れて、お肉を入れて、コトコト1時間も煮込むと、
いい香りが漂います。

お肉がとろとろに柔らかくなっていて、
彼がとてもうれしそうに、ポトフをおかわりしてくれるのも
幸せでなりませんでした。

お皿をピカピカに洗うのもうれしいです。
お皿がキラキラ輝いて、また次の料理をつくってくれと
せがむからです。

洗っている間に、次の料理はなにを作ろうかと
私の頭はいそがしくはたらきます。

冷蔵庫にある具材を思い浮かべながら、洗っていると
あっというまに時間がたつのです。

おふとんに、彼と一緒にくるまって、ぬくぬくと眠っているだけでも
しあわせです。
彼の寝息を聴いているだけで、やすらかな眠りにつけるからです。
気が付けば、すやすやぐっすり眠っていました。

日々の、こんなささやかな幸せをつみかさねていくと
人間、ストレスをためることもないし、
優しさにあふれる日々を送ることができるし、
もっとみのりゆたかな人生を送ることができるのではないかと
思うのです。

きょうも一日、ちいさな幸せをみつけながら、すごしていきたいと思います。



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