真似屋南面堂はね~述而不作

まねやなんめんどう。創業(屋号命名)1993年頃。開店2008年。長年のサラリーマン生活に区切り。述べて作らず

Inside histories エニグマ・コード―史上最大の暗号戦 ヒュー・S=モンティフィオーリ/小林 朋則訳 2007/12

2023-12-21 | 読書-歴史

Inside histories
エニグマ・コード―史上最大の暗号戦

天才解読者のひらめき、諜報員の賭け、そして水兵の勇躍。第二次世界大戦時、ドイツと連合軍が水面下で繰り広げた激闘の全容が、新発見資料と豊富な関係者証言により、よう...

紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア

 


1 裏切り―一九三一年ベルギー、ドイツ
2 機密漏洩―一九二九~三八年ポーランド、ベルギー、ドイツ
3 直感―一九三二年ポーランド
4 致命的ミス―一九三三~三九年ポーランド
5 脱出―一九三九~四〇年ドイツ、ポーランド、フランス、イギリス
6 最初の捕獲―一九四〇年スコットランド
7堂々めぐり―一九四〇年ノルウェー、ブレッチリー・パーク
8 エニグマの秘密を守れ―一九四〇年五~九月フランス、ブレッチリー・パーク
9 行き詰まり―一九四〇年八~一〇月ブレッチリー・パーク
10 イタリア事情―一九四一年三月ブレッチリー・パーク、地中海
11 序章の終わり―一九四一年三月ノルウェー
12 現状打破―一九四一年五月アイスランド北方沖
13 プリムローズ作戦―一九四一年五月大西洋
14 KOパンチ―一九四一年六月アイスランド北方沖
15 疑惑―一九四一年五月~一〇月ブレッチリー・パーク、大西洋、ベルリン
16 諸刃の剣―一九四一年九月大西洋、カーボ・ヴェルデ諸島
17 無謀と無策―一九四一年十一月~一九四二年三月南大西洋、ノルウェー
18 二連字表を入手せよ―一九四一年十二月ブレッチリー・パーク、ノルウェー
19 ブラックアウト―一九四二年七月バレンツ海、ブレッチリー・パーク、イギリス海軍本部
20 局面打開―一九四二年一〇~一二月地中海、ブレッチリー・パーク
21 転換点―一九四二年十一月~一九四三年九月南フランス、地中海、大西洋
22 罠―一九四二年十一月~一九四三年三月南フランス
23 逮捕―一九四三年三~九月ベルリン
24 シャンルホルスト撃沈―一九四三年十二月バレンツ海
25 カヴァード作戦―一九四三年八月~一九四四年三月パリ、インド洋、大西洋
26 最後の波瀾―一九四四年三~六月ドイツ、フランス、南大西洋
エピローグ―彼らのその後は?
訳者あとがき
用語解説
年表
付録1 ボンブ
付録2 海軍エニグマ
付録3 シリ―(cilli)
付録4 海軍エニグマ・オフィツィーア設定の解読方法

第二次世界大戦中にドイツのエニグマ装置に関する秘密をフランスに売ったHans-Thilo Schmidt - Wikipedia
ポーランドの暗号解読員や、拿捕した独艦船からの暗号表の入手に命を懸ける英海軍将兵の奮闘を詳述。
関係者の写真も巻頭に掲載多数。
スヴァラ歯科。

救助して捕虜にした独艦の乗員が乗船隊の行動を見ていたりして、「艦が沈む前に英海軍兵がボートで乗り付けて艦内に入って行って、大きな袋を持って出てきた」のを見られていると、非常にまずいわけ。
捕虜収容所から家族への手紙にその件を書かれたりすると、暗号表が奪取されたことに気付かれてしまう。
それをどう避けるか。

独側には暗号が解読されていたのに気付くチャンスがしばしばあり、デーニッツはかなり疑っていたが、いつも「調査の結果、それはあり得ない」という報告が返ってきて、疑念が否定され続けた。
「これなら絶対に大丈夫」という仕組みを整えた人たちに、「本当に大丈夫か?」と聞いてもダメなのよね。そもそもが。

暗号インテリジェンス史の決定版

Hugh Sebag-Montefiore - Wikipedia

Hugh Sebag-Montefiore | Official Website

Enigma : the battle for the code : Sebag-Montefiore, Hugh : Free Download, Borrow, and Streaming : Internet Archive

448 pages

Internet Archive

 


Harry Hinsley - Wikipedia

 

日本語あるけどはなはだ簡単ハリー・ヒンズリー - Wikipedia
ハリー・ヒンズリー 著 権力と平和の模索―国際関係史の理論と現実 第二次世界大戦時にはイギリス政府の諜報機関で情報解読の任務に就く。その後、大学に戻り、ケンブリッジ大学国際関係史教授を長く務めた。専門は歴史学、インテリジェンス研究

Sir Francis Harry Hinsley (1918–1998) | Art UK

3つの転機に3冊の歴史書 | 文藝春秋 電子版

ケンブリッジ大学はソ連のスパイを養成していた | 中西輝政 | テンミニッツTV

京都大学名誉教授 中西輝政/冷戦期のケンブリッジ大学は、ソ連のスパイを養成する大学だった。歴史学者で京都大学名誉教授の中西輝政氏が、自らの留学経験を振り返り、日本...

 
若干⇒弱冠
「彼が亡くなったのは98年ですが、99年頃になって彼の一番のお弟子さんが、ケンブリッジ大学の同窓会の会誌にこうしたことを発表するのです。われわれみんな腰を抜かしてびっくりしました。何十年も付き合いがあったのに、ヒンズリー教授自身は一言もしゃべらなかったのです」

(後年、中西輝政氏の恩師となる)ハリー・ヒンズリー青年は、22歳でブレッチリ―・パーク四号舎の海軍情報班の分析官として奮闘。p193
トラフィック分析で頭角を現す。
ふむふむ。
独軍の偽装トロール船(じつは気象観測船=護衛なし)を襲って暗号表を入手するアイデアをひらめいたのもヒンズリー。p201
月別の暗号表の入手可能性(使用中の当月分は海中投棄されるだろうが、次月分はまだ金庫保管であって急襲すれば海中投棄が間に合わないだろう)から、ミュンヘン襲撃を提案。
~はなはだ論理的かつスマートな推論で大当たり!
Enigma Code Broken
5 May 1941 British Royal Navy's 18th Cruiser Squadron (HMS Edinburgh, Manchester and Birmingham with five destroyers) sailed from Scapa Flow, Scotland, United Kingdom and headed north. The operation (codenamed EB) had been mounted by the Admiralty with the specific aim of intercepting and capturing the German weather ship München. Using surprise and speed, Admiral Lancelot Holland intended to capture and board the enemy vessel and, all being well, secure a set of coding tables which would enable the German naval cipher system, Enigma, to be read immediately for the first time.

U110の自沈に失敗して独に取り返しのつかない損害を与えたレンプ艦長フリッツ・ユリウス・レンプ - Wikipediaは、1940年後半のUボートが跳梁を欲しいままにした時期には好成績をあげており、デーニッツ指揮下の艦長のうちで最も有能な一人とされていたという。 p207
ただし、規則を無視することも少なくなく、艦長自ら実施することとされていた毎晩12時の暗号機の設定変更を無線通信員にさせており、これが大きな災いを招いた。
手順を勝手に省いてはいかんのよね。

PQ17船団 - Wikipedia
The Ordeal of PQ-17
Horror in the Arctic: The Catastrophe of Convoy PQ-17 | The National WWII Museum | New Orleans
ダドリー・パウンド - Wikipedia彼の最も非難される決断は、PQ17船団に対して分散を命じたこと

Convoys HX 229/SC 122 - Wikipedia
Convoy HX 229 - warsailors.com
Canadian Star (British Motor merchant) - Ships hit by German U-boats during WWII - uboat.net

原文と対照させたわけではないものの、訳は高水準と思われる。
どこかの翻訳のように、HMSなんとかを全部「戦艦なんとか」にしてしまう戦艦まつりとは違い、きちんと訳し分けていて、(たぶん)正確。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 物理学者オッペンハイマー〜... | トップ | 「ヒトラーを陥れた女スパイ ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

読書-歴史」カテゴリの最新記事