真似屋南面堂はね~述而不作

まねやなんめんどう。創業(屋号命名)1993年頃。開店2008年。長年のサラリーマン生活に区切り。述べて作らず

CIA本部ビル、ロビーの壁の星は殉職者の追悼碑、匿名の星も多数

2010-02-01 | 世間
米国諜報史上に残るCIAの大失態 あまりにも痛い「ダブルスパイによる自爆テロ」(菅原 出さん)
相変わらず鋭い切れ味。

あわせて読みたい、というか、同じ話題:「CIA工作員7人死亡 支局長は3児の母だった」(春名幹男さん)
惜しまれつつ4月号を最後に休刊になる「フォーサイト」誌の「インテリジェンス・ナウ」コラム、2月号。

この辺の記事からまとめたものであるようだな(菅原氏文末のリスト):
“CIA bomber struck just before search”, The Washington Post, January 10, 2010
“How this suicide bomber opened a new front in Al-Queda’s War”, The Times, January 10, 2010
“In Afghanistan attack, CIA fell victim to series of miscalculations about informant”, The Washington Post, January 16, 2010
“CIA bomber calls for attacks on U.S. in video”, The Washington Post, January 10, 2010
“Jordanians question alliance with US after Human Al-Balawi’s CIA suicide bombing”, The Times, January 12, 2010
“The Meaning of al Qaeda’s Double Agent”, Wall Street Journal, January 7, 2010

着々と実績を積み重ねて、信用を勝ち得ていた二重スパイ。
それまでには、「実績」のために犠牲にされた人たち(一般民衆を含む)も多数いたわけね。

菅原 出氏関連エントリ:
『戦争詐欺師』
『外注される戦争―民間軍事会社の正体』

ワシントンポストの記事、こんな感じ(女性支局長のくだり)
The official was referring to a nearly 20-year agency veteran killed in the attack, a 45-year-old woman with three children. At the CIA's request, The Washington Post has agreed not to use her name in this article.
A former reports officer in the agency's directorate of intelligence, she started tracking al-Qaeda before the Sept. 11, 2001, attacks. She spent nearly 10 years in the agency's counterterrorism center and had several brief tours in Afghanistan before landing in Khost six months ago.

その後も関連記事は続く:
When CIA operatives die, the agency stays quiet /January 17, 2010 /washingtonpost

要旨とは言わないけど、印象に残った部分、ということで:
◇CIA本部の殉職者追悼・顕彰の星と殉職者名簿の匿名の星は、現在90名(これで全員というわけではない)のうち氏名記載55、匿名35。
さる12月にアフガニスタンで犠牲になった女性支局長以前に、「壁の星」になった女性は少なくとも5名。うち氏名記載は1名。

◇死後すぐに認定して刻むわけではなく、何十年もたってからというケースも。時系列順でもない。順不同。
このたびはの7名は、それほど時間をおかずに認定され刻まれることになるだろうと情報機関関係者。(どういう関係者だか明記しないとダイジンに怒られちゃう?)

「CIA殉職者といえばGup教授(元記者)」という権威らしい。
著書もあるし(邦訳ないのかな?)。

このくだりが強烈:
最近はインターネットやら何やらで情報がすぐに駆け巡ってしまう。氏名などもすぐに知れ渡ってしまう。
CIAの元高官いわく、「もし、第2次大戦当時にこんな風(最近のように何でもかんでも出回ってしまう、透明性ありすぎ)だったら、勝てていたかどうか分からない」。

何でも表に出てしまう風潮は、もう後戻りさせられない(覆水盆に返らず)。
~やつら(前身のOSSというわけだが)、相当いろんなこと、やったらしいからな、第2次大戦では。

8名が殉職した1983年のベイルート米大使館自爆テロ事件:
1983 United States Embassy bombing / Death toll

大使館内でちょうど開催中だったCIAの中東地域の幹部会議を狙われた、というのは誰に聞いたんだっけ・・・。

CIA公式サイトの本部ご案内:CIA Home > About CIA > Headquarters Tour

CIA Home > About CIA > Headquarters Tour > Headquarters Virtual Tour > Flash Movie Text
このへんの説明を:
THE CIA MEMORIAL WALL
90 stars
THE BOOK OF HONOR

旧本館ビルのロビー階を記念館的に使っている、というわけ?よく分からないけど。

wikiの写真(2005年当時、83の星):CIA Memorial Wall
同、殉職者名簿の写真 :File:CIA Book of Honor
~1960年の1名について、後日コメント予定

Gup記者(当時)は、2000年の著書執筆の過程で、匿名殉職者全員の氏名を解明。
匿名殉職者の遺族に取材し、彼らが抱える問題の数々に接する。
危害が及ぶ可能性に配慮して非公表に…、という事情もあるが、誰にも言えないという制約は、心の折り合いというものが難しい。

例:
・CIAの公務で亡くなったことを公表できない(関与していることを当局が認めることができない秘密工作に従事)~何十年も経てば、公表されて構わないというケースもあり。
・殉職の経緯など詳細を知らせてもらえない~「・・ということに」の作り話で無理やり納得させられて(同上)。

・外国籍の場合、当該国との関係もあって氏名公表は微妙に。
・真実を伝えてもらっていない(病院に運ばれ懸命の治療を受けましたが・・・は真っ赤なウソだったり)。

・棺の蓋を開けることを許されなかった(棺の中味がじつは空っぽだった)というケースも。
・長官名のお悔み状を係官が持参するが、読んだら返せと言われ、そのまま持ち帰ってしまう(局の外部に一切の記録を残したくない)。

・名簿に氏名を記載して貢献を認めて欲しいという遺族の積年の強い要求に、ようやく折れて…というケースも。

・近年はかなり改善。
・当局としては、カウンセリングや遺児への奨学金なども含めて、できる限りの対応はしてきた…。

とはいえ、遺族からは、愛する家族が国のために命を捧げたのに、真相が分からず、悲しみを分かち合うことも難しく、心の折り合いがつけられないとの声。
こういうのは、同じ立場の皆さんがグリーフをシェアするのが有効(いくらかでも癒し効果あり)なのだが、「匿名殉職者遺族会」というわけにはいかないか・・・。年次追悼式典には呼ばれるようだが。

そういえば、自衛隊の公務死亡者のケアは大丈夫か?(昔は肩身が狭いなどという言語道断な話もあったようだが)
また、鉄道事故の遺族が連絡を取り合いたいからと照会しても「個人情報だから」と情報開示を拒否したと報道されていた、人の心の痛みというものを理解しない西日本の鉄道会社は、その後どうしたのかな。

GriefShare: Find a Group これは英語圏だけか。

グリーフシェアを論じた日本の修士論文要旨

【話は戻る】
CIAの殉職者を論じたTed Gup 元記者の著書:
The Book of Honor : The Secret Lives and Deaths of CIA Operatives /Ted Gup
(単行本2000年、ペーパーバック2001年)

エマーソン大学ジャーナリズム学科長に就任するTed Gup教授(2008年10月)
Ted Gup named chair of Journalism Department October 2008 /Emerson College

「学科長ご挨拶」だな

お値段はお問い合わせくださいという(記者時代の)写真:Getty Images - Ted Gup;Jesse A. Helms
ジェシー A ヘルムズ上院議員にインタビューするTime誌のテッド・ガップ記者(1988年)

エマーソン大学と聞いて、ぴんと来たそこのあなたに、読者サービス:
"関根麻里はボストンのエマーソン大学を首席で卒業"を検証したファン
「週刊 関根麻里ウォッチ」から

つづく
2017年1月追加
President Trump can’t fix his relationship with the CIA just by giving a speech

Sources say Trump's CIA visit made relations with intel community worse

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