積ん読の部屋♪

本棚に積ん読な本を読了したらばの備忘録。

カレル・チャペック『園芸家12カ月』内容と感想

2022-03-05 15:16:33 | 紙の書籍
中公文庫 カレル・チャペック『園芸家12カ月』小松太郎訳 を読了しました。

内容と感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【目次】
庭をつくるには
園芸家になるには
1月の園芸家
 種
2月の園芸家
 花つくりのコツ
3月の園芸家
 芽
4月の園芸家
 労働の日
5月の園芸家
 恵みの雨
6月の園芸家
 野菜つくり
7月の園芸家
 植物学の一章
8月の園芸家
 シャボテンつくり
9月の園芸家
 土
10月の園芸家
 秋のうつくしさについて
11月の園芸家
 準備
12月の園芸家
 園芸家の生涯について
訳注
解説 小松太郎
新装版解説「愛好家」礼賛 阿部賢一
参考地図


【内容】
われわれ園芸家は未来に生きているのだー。
草花をこよなく愛したチェコの作家、カレル・チャペックが描く、園芸家愛好家の幸福な熱狂に満ちた一年。そのユーモラスな筆致で世界中の読者を魅了し続ける、無類に愉快な名エッセイ。


【感想】
園芸あるある♪な文章が延々と綴られている、とても楽しいエッセイ。カレル・チャペックの実兄が描く挿絵も可愛い♡
ただ、どうしても全編、田口トモロヲの顔が浮かんでくるのには困った~。NHKのドラマ『植物男子ベランダー』好きだったからね。


【余談】
文庫の帯には、園芸王子の三上真史が爽やかなお顔で文章を載せている。彼がNHK『趣味の園芸』のメインMCから外れた頃から、番組があまりおもしろくなくなってきたので、最近はもうほとんど観ていない。
いや、別に村雨辰剛 はいいんだけれども、氷川きよしはこの番組向きなんだろうか?とか思ってしまうし。バラエティ色が強くなってどうもね…。


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和田はつ子・宮部みゆき他『なぞとき〈捕物〉時代小説傑作選』あらすじと感想

2021-10-20 10:00:50 | 紙の書籍
PHP文芸文庫 和田はつ子・宮部みゆき他『なぞとき〈捕物〉時代小説傑作選』細谷正充編を読了しました。

あらすじと感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【目次】
五月菓子 和田はつ子
煙に巻く 梶よう子
立花の涼 浮穴みみ
人待ちの冬 澤田瞳子
うき世小町 中島要
鰹千両 宮部みゆき
解説 細谷正充


【あらすじ】
五月菓子 和田はつ子
商家の妾が主夫婦の息子を柏餅で毒殺した疑いをかけられる。料理人の季蔵は独自の捜査を進めると…。

煙に巻く 梶よう子
弥太郎と弥二郎の兄弟は煙草屋吉田屋の看板息子。実はこの兄弟には、本人たちも知らないある秘密があった。

立花の涼 浮穴みみ
茶漬屋夢見鳥のお蝶はきっぷがよくてお節介。またぞろ面倒なことに首をつっこむことになり…。

人待ちの冬 澤田瞳子
幕府直轄の御薬園で働く真葛は、薬種屋から消えた女中の行方を探ってほしいと頼まれるが…。

うき世小町 中島要
一膳飯屋のたつみの看板娘お加代は器量よし。三崎屋の「江戸錦絵小町比べ」に絡んで、幼なじみのお八重、お志乃と思わぬ成りゆきに…。

鰹千両 宮部みゆき
棒手振りの魚屋角次郎に、鰹を千両で買いたいという奇妙な申し出があり…。


【感想】
五月菓子 和田はつ子
お大尽な商家の妻と妾というだけで、もういろいろと想像できてお腹いっぱい。妻のお加代は悋気が強い、妾のおいとは心優しい。
結局、死んだ息子の弥太郎は今でいう、小麦アレルギーのアナフィラキシーショックで亡くなったのだった。一件落着したが、家庭内はこの後どうなるやら…。

煙に巻く 梶よう子
弥太郎と弥二郎の兄弟は実は双子。生まれたときから兄弟として育ててきた。
双子は畜生腹、陰と陽がふたつに分かれたとされ、子の命を絶つことさえあった。人はなんて身勝手な生きものなのだろう…。勝手な理屈をつけて、それに振り回されて。

立花の涼 浮穴みみ
茶漬屋夢見鳥のお蝶は、珍しい朝顔の鉢を持っていた、女の子の格好をした男の子と関わることに。その子は高田屋の寮に住む兎一郎。義母のおつた恋しさに、おつたが喜ぶと思って朝顔を大切に育てている。
兎一郎が薬といって飲まされていたのは、心臓を弱らせる毒薬。拝み屋善治と女中のお松の仕組んだことだった。
兎一郎の健気さに泣ける…。みなそれぞれに、いろいろな事情や人に言えない過去を抱えて生きている。切なく哀しい…。

人待ちの冬 澤田瞳子
元岡真葛は肉親の縁に薄い生い立ち。それでも、健気に御薬園での仕事に励んでいる。薬種屋成田屋の悪い噂を確かめようとするうちに、思わぬ事件に巻き込まれる。
薬種屋成田屋の当代は入婿で、色男だが仕事もいい加減、女癖も悪いし、妻のお香津に手をあげることもある最低の男。なんでこんな男を好きになって婿に迎えるのか…。理性を失う「好き」ほど厄介な感情はないとつくづく思う。
一番哀れだったのは女中のお雪。夫を殺してお店を守りたいお香津に頼まれ、手伝うことになったうえに、無理強いされた末に身ごもらされて…。自分ではどうしようもない、弱い立場のお雪が哀れで仕方がない。

うき世小町 中島要
一膳飯屋のたつみの看板娘お加代は器量よし。増田屋の娘のお八重は不器量、貧しいが器量よしのお志乃。三人は手習い時代からの幼なじみ。
お志乃を殺したのはお八重だった。お志乃の放ったひとことが、お八重のコンプレックスのスイッチを押してしまった…。
三人三様、みな愚かだ。お加代は器量を気にかけないことで、お志乃は器量を鼻にかけることで、お八重を傷つけてきた。みんな仲良し♪幼なじみ♪ そんな無邪気が人を傷つけるのだ。無邪気は邪気がないからいいのではない。無邪気と愚かはイコールでもある。人間関係の難しさ、無情を感じる。

鰹千両 宮部みゆき
棒手振りの魚屋角次郎に持ちかけられたのは、鰹を千両で売ってくれという妙な話。言い出したのは大店の呉服屋伊勢屋の主人。
実は本当に欲しいのは鰹ではなく、角次郎の娘のおはるだった。実はおはるは伊勢屋の双子の娘。「双子は畜生腹」と言い張るきつい母に逆らえず、橋のたもとに捨てた子だった。手元に残した娘が疱瘡で亡くなり、その娘の代わりとばかり、おはるを千両で渡してもらうつもりだった。
伊勢屋夫婦のあまりの身勝手さに腹がたつ。娘が亡くなったのは気の毒だが、亡くならずにいたらそのまま知らん顔なのだろうか? もっといえば、母親に意見も言えず、自分の妻を守ることもできない、伊勢屋の不甲斐さが元凶だが…。
いろいろと腹がたちつつ、最後はほっとできる話。落語の人情噺のよう。


【余談】
捕物話はそれほど好きなわけではないが、嫌いなわけでもなく。作品にもよるし。
どの作者の作品でも、世間知らずのはねっかえり娘が出てくるのは苦手。事件によって成長していくーというのも苦手。正直、イライラしてしまうので。
実年齢に関係なく、人の世や心がわかっている、十手もちや同心が捜査にあたる捕物話が安心して読んでいられる。

「煙に巻く」と「鰹千両」はどちらも、たまたま双子が生まれたことから起こる悲劇。時代とはいえ憂鬱な気分になる。本当につい先頃まで、人の命は軽かったのだろうな…。
関係ないけど、私の弟も双子。二卵性の。この時代に生まれなくてよかったね…。しみじみと…。

収録作のうち、宮部みゆき『鰹千両』は読了していた作品。新潮文庫『初ものがたり』だった。アンソロジーはよくあるね、読了作品がかぶること。
「あれ~?これ読んだことあるよ?」みたいな。













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Photoli『“好き”を切り取るPhotoliの写真帖』内容と感想

2021-09-12 11:31:21 | 紙の書籍
インプレス Photoli『“好き”を切り取るPhotoliの写真帖』を読了しました。


内容と感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【目次】
はじめに
PHOTO GALLERY
写真が生活を豊かにすると思う理由
各章の紹介
1 知っておきたい写真のきほん
2 日常の“好き”を切り取る発想
3 “好き”を活かす写真のコツ
4 偏愛フォトスポット


【内容】
Webメディア「Photoli」が伝えたい、写真のコツや楽しみ方のアイデア。


【感想】
この手のテクニック&アイデア本にしたら、とてもわかりやすく初心者向け。解説が優しい♡専門用語だらけで初心者を置いてけぼり。。にしない。
載っている写真も素敵で真似してみたいし♪ 初心者におすすめ♪


【余談】
現在、ミラーレス一眼カメラの修行中♪ その前はコンデジを10年くらい。
コンデジもよかったんだけど、“ボケ”ないし、思ったところにピントが合わないし。これがどんどんストレスになってきて…。
思いきってミラーレス一眼を購入♪ 一眼レフは大きさと値段で諦めた。そのうちに購入するかもしれないけど。まずは、ミラーレス一眼に慣れることが先決だ~!
あ、RAW現像も勉強しないとな~。がんばろ♪ 





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紀伊國屋書店でお買いもの♪

2021-09-08 16:17:18 | 紙の書籍
紀伊國屋ホールで観劇ついでに、書店でお買いものしてきました♪
開演待ちの間に店内をぷらぷらしていて、見つけた! 最近、勉強中の写真の本です。



いつ行っても、紀伊國屋書店は楽しいな~♪ ほかにはない品揃え。いつまでもうろうろできる♪
まぁ、それが危険ではあるけど。いっぱい買いそうになるからな~。
今回は1冊のみ。観劇前だったしね。

観劇の記事はこちら。→「『DROP』ストーリーと感想」
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畠中恵・宮部みゆき他『あやかし〈妖怪〉時代小説傑作選』あらすじと感想

2021-08-18 10:14:10 | 紙の書籍
PHP文芸文庫 畠中恵・宮部みゆき他『あやかし〈妖怪〉時代小説傑作選』細谷正充編を読了しました。

あらすじと感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。




【目次】
四布の布団 畠中恵
こおろぎ橋(こおろぎは虫偏に車) 木内昇
あやかし同心 霜島ケイ
うわんと鳴く声 小松エメル
夜の鶴 折口真喜子
逃げ水 宮部みゆき
解説 細谷正充


【あらすじ】
四布の布団 畠中恵
長崎屋の病弱な若旦那、一太郎のために特別に注文された布団の中から、夜な夜な若い女の泣き声が聞こえてくる。その正体とは…。

こおろぎ橋(こおろぎは虫偏に車) 木内昇
佐吉は年老いた母のために下総屋から暇をもらった。母の白内障に良い薬種屋があると聞き、やってきたがそこは妙な店だった。

あやかし同心 霜島ケイ
南町奉行所定町廻り同心の柏木千太郎は、れっきとしたあやかしでのっぺらぼう。奇妙な女から訴えがあるが…。

うわんと鳴く声 小松エメル
医師清庵の娘、真葛は弟の太一と共に、あやかし退治をしている。今度は西国屋に異変が起こり…。

夜の鶴 折口真喜子
料理屋勤めのお咲には五つになるお梅という娘がいた。ある日突然に高熱を出し亡くなってしまう。憔悴するお咲だったが…。

逃げ水 宮部みゆき
三島屋の姪おちかは叔父の発案で、“変わり百物語”の聞き手をしている。今回の話は平太と可愛らしい少女の姿をした神様だった。


【感想】
四布の布団 畠中恵
病弱な一太郎のために、祖母ぎんが妖たちに一太郎を守らせているという設定がおもしろい。
泣き布団は田原屋の奉公人お梅の生霊だった。田原屋の主人松次郎の癇癪が怖くて泣いていたのだ。今でいうパワハラ、モラハラ。いつの時代にもあったことだろうな…。
最後に松次郎を妖たちが懲らしめるところは痛快! 現実でもそうだといいのにね~。

こおろぎ橋(こおろぎは虫偏に車) 木内昇
薬種屋の娘那智のお役は、家に戻れなかった御魂を、船に乗るまでお戻しすることだった。死人はこおろぎ橋から船に乗って旅立つ。
佐吉は死んでいた…。お店を辞める日、酒席の火の不始末から火事になったのだ。
おどろおどろしいかと思えば、家族のしがらみにうんざりしたり、怪奇ものと人情ものを混ぜたような変わった味わいの作品。

あやかし同心 霜島ケイ
柏木千太郎の父兵衛は艶という狐と結婚し、生まれた息子がのっぺらぼう。それも南町奉行所定町廻り同心という設定はさすがについていけない。荒唐無稽すぎて。これなら登場人物?が全部妖怪の京極夏彦の『豆富小僧』のほうが楽しめる。
解説で作者はライトノベル出身とか。なるほどな~薄っぺらいわけだ。

うわんと鳴く声 小松エメル
シリーズものらしく、解説の説明を読むまで設定がわかりづらかった。
真葛が思うこと…。(この世は因果応報じゃないのよ)。
全くそのとおりだと思う。悲しいけれど、この世はすべからく理不尽で不平等だから。

夜の鶴 折口真喜子
わが子を亡くした母親の悲しみ、苦しさ、辛さが胸に迫る。
お梅と狸のエピソードが可愛らしく微笑ましくて、そこだけが救われる思いがする。

逃げ水 宮部みゆき
平太に憑いている神様は“お旱りさん”。切髪、色白、眼のぱっちりとした可愛い少女の姿をしているが、実態は山の主、大蛇だ。手当たりしだいに水を飲むから「水が逃げる」のだ。“お旱りさん”は怒っている、もっといえば悲しんでいる。村人たちに必要とされなくなり、祠は荒れ放題。
哀しいような、ほっとするような読後感。


【余談】
やっぱりアンソロジーになるとわかるな~。宮部みゆきのすごさが。
他の作者に、どうしても宮部みゆきの影響を感じてしまうし。

最後に収録されている宮部みゆきの『逃げ水』は、角川文庫『あんじゅう 三島屋変調百物語事続』にあって読了済みだった作品。あらためて読んでみてやっぱりいい話だな~と思った。
記事を探してみたら画像しかなく、読了したのにもたもたしていてアップしていなかった模様。読了したら、感想が薄れないうちに記事に書いておかないとね~。反省。
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