スティーブン・ハンターの作品は映画にもなったが、その最新作「四十七人目の男」を読了した。作者は米映画に嫌気を刺していたところ日本のサムライ映画にハマり、その結果、サムライ小説を書いたとのこと。刀剣に関する記述などが非常に本物っぽく、かなり調査をして作られていること、さらに、外国人によって書かれているということには素直に驚いた。しかし、日本の歴史に対する理解が均一でないため(妙に深く知っていることは . . . 本文を読む
マイクル・コナリー著 ハリー・ボッシュ・シリーズ 7作目「夜より暗き闇」読了。いつものシリーズとは違って、プロットはそれほど複雑でないが十分に楽しめるもので、主人公(この作品は二人)の内面の描写が重々しくも洗練されている点は変わらない。これは翻訳者の腕もあるとしみじみ関心する。詩的で音楽が流れるような雰囲気は少し物足りなさを感じたが、満足できる作品だった。文庫の解説によると、次の作品がシリーズの山 . . . 本文を読む
先週、本屋の直筆ポップに「一気読み間違いなし」なんて書いてあったので、つい買ってしまった。五十嵐貴久氏著の「交渉人」である。コンビニ強盗犯が病院に立てこもり、その犯人と警視庁の特殊捜査班の交渉人が対峙していく・・・というお話。あっと驚く展開というにはいかなかったが、非常に読みやすい文章で、物語の組み立ても面白い。確かに読むのが早い人なら一気読みの作品かもしれない。NHKあたりがドラマにしそうな内容 . . . 本文を読む
英国のミステリ小説を好む人は多いが、レジナルド・ヒルはどちらかというと知る人ぞ知るというタイプの作家だ。今回、その中でも傑作と名高い「骨と沈黙」を古本屋で手に入れたのをきっかけに読んだ。主人公が事件現場に立ち会うところから始まるが、その殺人事件を主軸に自殺予告をする女性の手紙や、主人公が出演することになる演劇などが微妙に絡み合う。物語の組み立てとしては、複雑で、何とも良く出来ている。■
また、 . . . 本文を読む
この題名、とにかく本屋で見た時のインパクトが大きかった。地球環境の危機を訴えている本かと思ったが、手に取ってみた。トビラの裏にあるイラストを見ると、人がいなくなった後の世界が10年後、20-30年後という形で描かれていた。発想が面白いと思った。■
人類がいなくなったことによる地球に対する様々な影響が書かれている。初めは人が橋や地下トンネルといった施設維持に労力を掛けているものに対して、その労力 . . . 本文を読む
播磨灘物語(二)読了。黒田官兵衛がまだ播州小寺家の家老である身だが、実質は秀吉のために働いている時代のお話。主を何とかして織田方になびかせようとしているのだが、毛利か織田かでウジウジと悩む決断力の無い主に困惑する様が、何とも現代のサラリーマンに通ずるところがあって面白い。また気難しい主を持った秀吉の苦労もこれまた現代ではどこかの会社で起こっていそうな話で興味深い。
この小説の中では必ずしも信長 . . . 本文を読む
エンプティー・チェアは成田空港に行く列車の中で読み終えた。面白いことには間違いがないのだが、ミステリーとして手がこみ過ぎているように感じた。手を加えすぎて形が崩れてしまった美術品のような印象。第1作のようなテンポの良さが薄れているのが残念。題名は物語の中身を考えても、なかなかクール。
隣は飛行機の中で読んだ。私は飛行機の中では余り集中できないので、シンプルで軽い小説は時間をつぶすのにとてもありが . . . 本文を読む
会社の方からこの本「ヤマダ電機の品格」をお借りした。街の電器屋から売上日本一の家電量販店になるまでのストーリーやその後の競合との争いなどを書いている。小売に関わる者としては、非常に興味深く読むことができた。
表紙には「何で「激安」にできるのか」と書いてある帯がある。その理由も書いてあるが、最終的には企業としての行動を問題視する文章が多く書いてある。読んでいて色々な意味で愉快な本ではない。
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そもそも本を読むのが遅い私だが、ここ最近は仕事が忙しいこともあって電車の中での読書が進まない。それはそれで言い訳なのだが、この小説、戦国武将の黒田官兵衛を描いたものだが、前半30%ぐらいでは官兵衛自身が出てこない。どうやって調べたのかつくづく感心するが、曽祖父、祖父の時代の黒田家の流浪の日々などから話は始まっていて、波乱万丈の武将の物語が始まるまでは時間がかかる。そんなこともあって非常にゆっくりと . . . 本文を読む
ロス・マクドナルドはどうも嫌いという人が多いが、確かに心理学的な問答を登場人物がしていたりして、読むのに疲れたり、なかなか読み進むことができなかったりということがある。そんなに厚い本ではないが、この「運命」を読むのにえらい時間がかかってしまった。■
また、上流階級、お金持ちに起こる家族間の悲劇がテーマとしても多く、一見美しく、上品なものの化けの皮がはがれる様を見せられると人は余り良い気分にはな . . . 本文を読む