まちづくりはFeel-Do Work!考えるより感じよう、みずから動き、汗をかこう!(旧“まちづくり”便利帳)

まちづくりの支援者から当事者へ。立ち位置の変化に応じて、実践で培った学びの記録。もう一人の自分へのメッセージ。

地域でお金が回る仕組みをつくる~氷見はとむぎ茶の場合

2009-06-22 07:47:49 | まちづくりのキーワード
6月12日、埼玉地域ファンド研究会における家守公室代表/小松俊昭さんのお話の続きです。当日のレポートは、長岡素彦さんによるインターネット新聞JANJANの記事に詳しく報告されていますので、ここでは小松さんのお話に登場し、氷見市の地域ブランドとして注目を集める「氷見はとむぎ茶」を取り上げたいと思います。

国内のハトムギの生産は、現在自給率10%程度、そのうち氷見市産は11%を占めます。JA氷見市などの呼びかけにより、主産地や実需者、研究機関等が連携して活動する「全国ハトムギ生産技術協議会」が設立され、今では全国に広がるハトムギ生産地の核となっています。
氷見市でハトムギ栽培が始まったのは昭和60年(1985)と古いのですが、地域ブランドとして注目を集めるようになったのは、JA氷見市がペットボトル入りのハトムギ茶を売り出すようになった平成18年(2006)以降と最近のことです。このハトムギ茶の成功が生産拡大を促し、地域ブランド確立の追い風となりました。今では、金沢大学の鈴木教授や太田教授と連携し、ハトムギの医学・薬学的な効用を科学的に実証する研究なども進められ、食材の長所を理論的に裏付けし、商品力を全国へとアピールする産官学の連携も生まれています。

ペットボトル入りハトムギ茶「氷見はとむぎ茶」は、平成18年に15万本、平成19年に50万本、平成20年には150万本と、わずか3年の間に10倍まで売れ行きを伸ばしました。各地の地域ブランドの成功事例が少ない中で、「氷見はとむぎ茶」の成功の鍵を握ったのは、意外にも『寄付制度』を取り入れたことでした。
「氷見はとむぎ茶」(350ml、100円/本)は、販売当初から、1本につき5円の寄付金が氷見市に入る仕組みとなっています。寄付を受けた氷見市はハトムギ茶による寄付金を、市民の目に見える形で、毎年地元で開かれる「春の全国中学生ハンドボール選手権大会」に贈ることにしました。「どうせお茶を買うなら、地元の役に立つ商品を選ぼう」。この思いが商品の差別化に貢献したことは、容易に想像できます。実際、この活動は市民の共感を呼び、民宿や旅館、飲食店などが積極的にお茶の販売に協力するようになりました。平成18年は75万円、19年は250万円、20年には750万円が同大会に贈られるなど、着実に売上げと寄付金を増やしています。

「ハトムギ茶の売れ行きが、地域の発展に直結する」

この非常にわかりやすい仕組みが、地域を動かす原動力となりました。共感を得ることによって、地元の応援者が次々と生まれ、強力な基盤を築いています。地域特産品のブランド化においては、消費者の基盤をつくることができるか否かが、その後の成長の明暗を分けるのです。
もちろん、ハトムギ茶の成功には、「しっかりとした商品力」「大量に安定供給できる生産者ネットワーク」「販売ルートと流通システムの確保」なども欠かせない要素と思います。講師の小松さんがおっしゃっていたように、「種の管理を氷見市が行い、全体を把握」していることも、要因の一つかもしれません。

しかしながら、この氷見市の事例から学べる最大のポイントは、地域ブランドの確立において、
市民にわかりやすい形で「地域でお金が回る仕組みをつくる」こと。
このことが、ブランド化の基盤を築く大きなポイントであることを教えてくれます。

※冒頭の図は、お金とモノの流れの「一部」を単純化したイメージ図です。

  <参考>
氷見はとむぎ物語
http://www.ehatomugi.com/story/

小松俊昭さんが下記のイベントに参加されます。ご関心のある方は、是非どうぞ。
◆6/28(日)9:30~終日
早稲田大学まちづくりシンポジウム2009
『まちづくり市民事業が拓く世界』@早稲田大学国際会議場
詳しくは、↓こちらで。
早稲田都市計画フォーラムwebsite
http://www.toshiforum.arch.waseda.ac.jp/symposium.html
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