晴れときどき化学、ところにより雑想

もしかしたら何かの役に立つかもしれない化学のお話(と、よしなしごと)

キチン

2012年06月15日 21時35分25秒 | 化合物のお話
キチンは、エビの殻やカニの甲羅、昆虫の殻、さらには菌類の細胞壁の構成成分です。

その構造は、N-アセチルグルコサミン(ブドウ糖のOH基のひとつがアセトアミド基[CH3CONH-]で置換された化合物)が、平均でおよそ850個ほどつながったものです。


キチンは有機溶媒や水、薄い酸や薄い塩基には溶けません。

キチンに濃塩酸を作用させると、加水分解されて単糖であるグルコサミンと酢酸が得られます。

一方でキチンに濃水酸化ナトリウム水溶液を作用させると、アミド結合の部分だけが加水分解されて、キトサン(グルコサミンのポリマー)と酢酸が得られます。


キチンを分解する酵素としてはキチナーゼが挙げられますが、ヒトにはその酵素はありません。

ただしヒトの体内ではリゾチームなどの酵素によって分解されるため、毒性や安全性に関して問題はない化合物です。