晴れときどき化学、ところにより雑想

もしかしたら何かの役に立つかもしれない化学のお話(と、よしなしごと)

酸化防止剤

2012年06月11日 22時53分11秒 | 化学のお話
酸化防止剤は、プラスチックやゴムなどの二重結合を持つ材料や、食品などで酸化しやすいものに加えることで、文字通り酸化を防止する物質です。

このときの酸化の過程においては、一般的に酸素のラジカルが関わっていることから、酸化防止剤の多くがラジカルを補足する働きを持っています(=ラジカル補足剤)。


材料用としてよく用いられる酸化防止剤には、

フェノール系(ヒンダードフェノール系)酸化防止剤、芳香族アミン系酸化防止剤、硫黄系およびリン系酸化防止剤などがあります。


フェノール系酸化防止剤や芳香族アミン系酸化防止剤は、一次酸化防止剤として、ヒドロペルオキシラジカルを補足する機能があります。

一方で硫黄系およびリン系酸化防止剤は、ヒドロペルオキシドを分解する作用があります(二次酸化防止剤)。

一次酸化防止剤と二次酸化防止剤は、このように作用機構が異なるため、それらを併用することで酸化防止効果が高まります。

※なお芳香族アミン系酸化防止剤は変色性があるため、プラスチックに用いることはあまりなく、主に(変色してもわかりにくいタイヤなどの)ゴム用として用いられることが多いです。


食品の中で酸化されやすいものとしては、(油脂に含まれる)不飽和脂肪酸がありますが、

これらの酸化を防止するために(食品添加物として)「酸化防止剤」が添加されています。

主なものとしては、トコフェロール(ビタミンE)、アスコルビン酸(ビタミンC)、没食子酸エチルなどが挙げられます。