晴れときどき化学、ところにより雑想

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ナイロン

2012年06月25日 23時39分12秒 | 化学のお話
ナイロンは、アメリカの化学メーカーであるデュポン社が開発した世界初の合成繊維で、

分子内にアミド結合(-CONH-)をもつポリアミド系合成繊維です。

当初、「ナイロン」はデュポン社の商標名でしたが、徐々にポリアミド系合成繊維の総称として用いられるようになりました。


ナイロンには様々な種類のものがありますが、

[a],[b]-ナイロン、のように前に数字が2つある場合には、

ジアミンとジカルボン酸を縮合して得られるナイロンで、最初の数字[a]が ジアミン成分の炭素数、後の数字[b]が ジカルボン酸成分の炭素数を表します。

例1) 6,6-ナイロン:
 ヘキサメチレンジアミン(H2N(CH26NH2)とアジピン酸
(HOOC(CH24COOH)を縮合することで得られます。

例2) 6,10-ナイロン:
 ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸(HOOC(CH28COOH)を縮合することで得られます。


また、[c]-ナイロン、のように数字がひとつの場合には、

アミノカルボン酸を重合して得られるナイロンで、数字[c]は、原料となるアミノカルボン酸の炭素数を表します。

例3) 6-ナイロン:
 ε-カプロラクタム(-NH(CH25CO- の両端が繋がって環状になった化合物)の開環重合によって得ることができます。


なおデュポン社が最初に開発したナイロンは、6,6-ナイロンでしたが、

「水と空気と石炭から作られ、クモの糸より細く、鋼鉄よりも丈夫な繊維」

として大々的に宣伝されて発売されました。


ナイロンは合成繊維の中で最も強く、弾性があり、耐薬品性にも優れています。

肌触りや風合いは絹によく似ているので、女性用ストッキングに重用されていますが、

それ以外に魚網やタイヤコードなどの用途もあり、衣料用から工業用まで幅広く使用されています。