晴れときどき化学、ところにより雑想

もしかしたら何かの役に立つかもしれない化学のお話(と、よしなしごと)

テルペン

2012年05月07日 23時50分17秒 | 化学のお話
テルペンは天然有機化合物のひとつで、様々な植物の精油中に存在する化合物の総称です。

狭い意味でのテルペンは、モノテルペン(C1016)のことを指しますが、

一般的にはセスキテルペン(炭素数15個)、ジテルペン(炭素数20個)、トリテルペン(炭素数30個)、およびこれらの誘導体もテルペンに含まれます。

※テルペンに分類される化合物としては、6000種類以上が知られています。


テルペンはほとんどの場合、炭素数5個のイソプレン骨格を単位として構造が組み立てられています。

また実際の植物中での生合成においても、イソプレンを単位として作られていることが示されています。

※炭素原子の一部を放射性同位体で置き換えた標識化合物を用いることで、そのことが確認されました。


テルペンには芳香を持つものが多く、普通の人にとってはよい匂いのするものが多いです。

そのため、香料の原料として重要です。

※なお香料以外にも、医薬品や可塑剤、殺虫剤などに用いられるものもあります。


テルペンには、抗菌作用、昆虫の摂食阻害作用、抗腫瘍作用などの様々な生物活性を示すものがありますが、

これらを対象とした研究によって、有機化学や生物化学がさらに発展することとなりました。