晴れときどき化学、ところにより雑想

もしかしたら何かの役に立つかもしれない化学のお話(と、よしなしごと)

触媒毒

2012年05月04日 21時28分33秒 | 化学のお話
触媒(正触媒)の作用を減少させるか、あるいは全く失わせる物質を触媒毒と言います。

反応物質中に触媒毒が混入している場合には、たとえその量がごく少量でも、触媒に対してかなりの悪影響を及ぼします。


触媒毒の具体例としては、以下のようなものがあります。

・ハーバー・ボッシュ法に用いる鉄系触媒: 硫黄分や一酸化炭素

・硫酸製造法(接触法)に用いる五酸化二バナジウム: ヒ素

・接触水素化に用いるニッケル触媒: 硫黄分

などが挙げられます。


触媒毒は、触媒表面に吸着されて触媒の活性点と反応あるいは結合することにより、触媒表面を不活性化してその機能を大幅に低下させます。

なお触媒毒には、触媒活性を回復させることが可能である一時的な触媒毒から、そうでない半永久的な触媒毒まで、触媒との結合の強さに応じて様々なものがあります。

また、触媒毒によって目的とする反応が抑制され、別の不必要な反応が生じることもあります。


効率よく触媒反応を行うためには、反応物を事前に精製することで、触媒毒となるものを除去しておくことが重要です。